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―0 nor 7―
穏やかな春の陽気。 それは、始まりの季節。終わりの季節。終わりの始まりの季節。
『あれ』は私にとっての始まりだった。 でも、今は……今、こうしている自分は始まりでもない、終わりでもない。
終わりの始まりでも恐らく、無い。
きっと、始まりの終わりが相応しい。 ……あの時出合った思いの始まりは、もう終わりに近づいていたのだから。
―――――――――――――――
―1―
春風は、はじかれることを知らぬようにただ空を道を木々の元を走る。 空は蒼く、ただ蒼い。
その日、ユーノ・スクライアは休暇をわざわざ取って、そこ海鳴市に来ていた。 地球では土曜日なので、10歳の彼が歩いていても何も違和感は無い。転送も目立たないところにしたため、というのも管理局の転送装置を使ったわけではなく、転送魔法で来たからそういう風に気をつける必要があった。 ちなみに、私立聖祥学園系列校は完全週休二日。日本でも私立では週休二日にする必要は無いのだが。
もし、管理局の施設を使うならハラオウン家にある転送ゲートを使わせてもらうところだが あいにく、リンディ提督もクロノもアースラと共に任務に出ており、そこにいるのはフェイトとアルフだけという状態に、二人がいつもいるとは限らなかったので、転送ゲートを使わずに直接転送魔法で来ることにしたのだった。
にしても、とユーノは街を歩いて毎回思うことをまた思い浮かべる。
四季がはっきりしているよね、と。 ミッドでは四季がはっきりとしているミッドチルダ首都クラナガンでさえ、春だと分かる方法は『桜の木が咲いていた』という物的なものを見ないとはっきりしない。 でも、この地球の日本という地域では、ただそこにいるだけで空気の暖かさや雰囲気で、そこが春だったり夏だったり分かる。風土というものもあるのかもしれない。春先の日本では卒業式やら入学式、入社式などもあるためか少しばかり雰囲気的にも上昇気流と言った感じで。
この季節のここは、とてもユーノにとって過ごしたくなるような環境だった。 ただこの世界自体は、ユーノにとっては魔力との結合が上手く行かない「過ごしにくい環境」だということは皮肉でしかないが。
「春だなぁ……」
「あら、もう4月も半ばだから、春なのは当たり前じゃない。ユーノ君」
「いえ、そうなんですけどね。桃子さん」
そんな道中を歩いて今ユーノがいたのは 海鳴市ではそこそこ有名で、シュークリームは特に一品の喫茶翠屋。 桃子さん疑惑「有名ホテルのチーフ・パティシエもやっていたのよ?」というだけあって、シュークリーム以外にも種類豊富なケーキをはじめ、頼まれればなんでも作ってみせるということを実感させられるほどの味と腕を高町桃子は持っているだけに、女子高生を始め、さまざまな年代層の人が来るお店でもある。 ちなみに、喫茶店でもあるので、ちゃんとランチもある。
ユーノには、その手の洋菓子の心得というのはよく分からないので、ただただ感服するだけだ。
目の前には桃子さん特製『さくらケーキ』の試作が置かれていた。 午前10時半。高町家の末っ子さんはお寝坊さん、ということやここ1年で起きたことに加え今彼女がやっていることを考えれば、たまの休日はおやすみぃ……ということになるらしく、まだ家にいることは明確だった。
せっかくだから、うちの末っ子さんの変わりに試食してくれない?と冗談交じりに話す桃子さんに 思案顔をユーノは浮かべるとにんまりと頷いて今に至るわけだ。
「そういえば、ユーノ君」
「えっ、なんですか?このさくらケーキは味が絶妙ですけど……?」
「ユーノ君の表情だけで、私は分かるけどなぁー?」
桃子からすれば、ユーノが口にそれを運ぶと同時にふいっと笑みがやってきたように見えたので 表情だけを見ても分かりやすかった。その笑みがパティシエとして桃子ががんばってきた意味でもあるわけであるし。その笑みに関して、桃子は恐らく高町家で誰よりも敏感なんだろう。
「って、そうじゃなかった。やっぱり、なのはを待ってるのかな?」
ピクッ、と桃子の後ろでケーキを他のお客に運び終えて戻っていた店長の士郎が耳を立てていた。 いや、体も反応している様でぶつぶつと何かを呟いている様子だった。そのさらに奥で恭也が皿洗いをしながら聞き耳を立てて、隣にいた忍を呆れさせているのだが、さすがにユーノはそっちの方は見えなかった。
「えっと、その……まあ、そうなりますね。 予定では午後だったんですけど、書庫の方のデータベース更新で追い出されまして」
「そうなの……デートかしら?」
「デ、デ!?そ、その違いますよ!」
狙ったようににひっと笑みを浮かべながら核心を聞く桃子さん。 そんなことを聞かれて冷静にいられるほど、ユーノも妙なニュアンスで切り返す。
事実、僕となのははそういう関係とは違うのだから、と断りを入れるように。
「今日ですからね、ちょうど一年前の」
「……ああ、そういうことね」
少しだけ思案を中空に持ち上げるようにあごに人差し指をぴたっと添えて考えた桃子さんは、すぐに分かった様子でなるほど、と相槌を打つ。
そういえば、末っ子さんがフェレットさんを見つけてきたのもこの頃だったっけ、と。 あれから劇的に変わってしまった娘のことを思うと一緒にいたいという親心と娘を押したいという思いが交差する。目の前にいる彼は、その世界へ引き込んだ最もたる人間だけに。
「まあ、うちのお寝坊さんは、まだ寝ているわね……」
母親としても、彼女の決意も知っているし、だからこそ偶の休みはゆっくりさせてあげたいとも思う。 子供好きな桃子は、でもなのはが早々に親離れするのではないか、と若干心配でもあったがそれ以上に。 目の前にいる彼自身の決意も知っていたから。
まあ、目の前の子も相当可愛い子なので、それは良しとするし、彼とうちの子ならいいかな、と思えるのも 初めてあの子が連れてきた男の子、という以上に信頼しあっている二人を見たからか。
「あの子が初めて作った男の子のお友達だから特別サービスしちゃおう!」
「え、ええ?」
だから、突然そんなことを言ったのも、ちょっとした母親としてのサービスだった。 後ろにいた士郎と恭也は母の時には無茶苦茶な何かが始まったと、おずおずとすることになったが。
―2―
仕事に学校、それらを両立していた意味で高町家の末っ子、高町なのはは 有能と呼ぶに値するだけの才能があった。 もっとも、正式に局員になるのは、5月なのでまだ先ではあるものの、実質仕事は始まっていた。
もっとも、まともな人間が見れば無謀にも見える「魔法と現実」の交差は今のところ順調に進んでいたし なのはも、こうやって自分の力で誰かを助けることができることにとても嬉しいところは大だった。
ただ、唯一言ってしまえば……
「うにゃぁ……」
布団は気持ちよい。これを否定するほど私は馬鹿じゃないよ、と言わんばかりに掛け布団に抱きつくように 力強くベッドで幸せのすべてをしまいこんだ様子で寝ているなのは。
私だって、幸せを享受したい、という自己アピールなのか、どっちにしても 今のなのはには布団こそが幸せ絶頂フィールドなのは確かだった。
うーん、幸せぇ……と布団に包まりながらなのはは思う。 お仕事に学校に、フェイトちゃんやはやてちゃんにすずかちゃんにアリサちゃん。お友達との関係もちゃんとやっていけているものの…… やっぱり無いものが増えるよりもあるものが減る、そっちの方がはるかに衝撃的であることは事実。
あの事件以降、なのはにとって親友だった彼は同じ家にいることは無くなった。 最初は何も気にしなかったものの、こうやってお仕事と学校もなく、家でのんびりとしていると何かが足りないようでつい思うこともある。
――ユーノ君って、もういないのに何度言っちゃったっけなぁ。
そんな些細かもしれないけど、でも自分の中でのちょっとした変化への戸惑い。 あの出会いから始まったこの日常は、今では始まりの面影をなくしつつある。始まりは終わりに近づいて、もう終わってしまったのかもしれない。そう思うと、自分と彼との絆すらも一つの区切りがついたかのように思えてしまう。事実、闇の書事件後から、彼と会えることはほぼ毎日だったあの時からはあるかに減っている。 ただ、今日は午後に会う約束をしていて……それはとても嬉しいこと。朝から布団の中で笑みを浮かべていたのはそういう理由もあった。ここの居心地のよさもあるけど。
そう、彼と会えることは今でも確か。お友達として親友として、今でも会えることは変わらないのに 何かが決定的に違うと、時々思ってしまうのはなぜだろう。
布団の温かくて眠くなるようなまどろみの中でのんびりと考えてみても、その理由は分からぬまま。 あえていえば、さっきよりもちょっぴり寝ているのが心地よくなったかもしれない。 でも、少しばかり長居している気がしないでもないけど。
そんなこんなで、その幸せ絶頂フィールドを妨害するかのように悪魔の美由希お姉ちゃん(なのは談)が、本日3度目のなのはの部屋へに入室をしようと階段を上ってきていた。なのはの部屋は二階なので、階段を昇る過程で誰かが来ること程度ははっきりわかる。もちろん、美由希が本気を出せば気配を見せずにいきなりなのはの横に来ることもできるがそんなことをする必要がないので、美由希も普通に上がってきていた。
階段の上る音が響くと同時になのはの部屋のベッドに非常事態宣言が発令された。 つまるところ、睡眠妨害は排除排除、というわけだ。
「な~の~は~?まだ起きないのー?もう時計がだいぶ回ってるよー?」
「お姉ちゃん……まだ眠いのぉ……」
姉の独特のイントネーションが、逆に子守唄のように聞こえるのは幻聴なの?と思ってしまう。 そんなことお構いなしに美由希はなのはが絶対防衛ラインとして死守しようとしていた掛け布団をいとも簡単に排除してしまう。姉の力恐るべき、である。 あー、なのはの楽園がぁ~と布団をなのはから引きちぎられて、姉の方をううぅぅ、と恨めしそうに、だけど寝ぼけているのか表情ではあまり分からない様子で見つめるなのは。
「姉としては、やはり妹のキチンとした生活習慣に協力をしないといけないんだよ、なのは」
「しなくていいから、妹のためにお休みタイムをちょーだい~」
本当にそうしてほしい。なのはの切実なお願いだった。 寝ていて失敗したことなんて、フェレットユーノ君をおいもだと思ってかじってしまったことぐらいで…… あれはとても恥ずかしかった。赤面とあたふたのコンビネーションプレイと呼ぶに相応しいぐらい。 歯形までついてしまって、ひたすら謝ったりしたっけ、と一緒にいたころを一つまた思い出す。
とはいっても、やっぱり眠い。掛け布団が取られたとはいっても、まだまだ眠い。 むしろ、どうやってそれを取り戻そうか、と妙案を考えていると、天国を奪った姉は続けて言うのだった。
「ああ、ごめんねー。ユーノ君、なのはまだベッドでおやすみしたいみたいで」
「あの、いいですよ。なのはもきっと疲れているでしょうし」
えっ、ええ? 驚嘆と戸惑いの絡み合い。一瞬、姉の言葉の意味とその後に続いた言葉を理解できなかった。
とりあえず、姉のいる方向をじっくり見る。うん、お姉ちゃんだ。と納得。 で、その横にいる少年も良く見る。間違えるはずがない、一年近く一緒にいたユーノ君だ、と姉と同じように納得……とそこまでのんびりと笑顔で行ってようやく、朝に弱く、さらにこのところの忙しさで回転数を極端に抑えられたトルク重視のモーターのようななのはの脳も活性化する。
……美由希お姉ちゃんで、ユーノ君。
「って、ユ、ユーノ君!?」
スルッ! ドスーン!
そんなありがちな効果音が響く。 ベッドにいたなのはがあまりにも想定してなかったことに慌てた挙句にベッドから落ちて倒れた音だったりするがここまで基本に忠実とは、と姉の美由希も声も出ない。
「だ、大丈夫なのは!?」
「う、うん……にゃはは、驚いて落ちちゃった」
「本当になのはって今でも注意緩慢なんだから」
「だ、だっていきなりユーノ君がいるんだもん。驚くよー!」
頭から落ちてないところが唯一の救いだろうけど……本当になのははぁ、と何だか恋する乙女としてありがちすぎて、美由希としては複雑な心境だ。よく本で読む恋愛小説を目の前で見ているような錯覚すら感じるほどに。 きっと、無自覚なんだろうなぁ、と心の中で二人にツッコミも入れておく。 なのはもユーノも自然体で笑っていて、親友と呼ぶに相応しい雰囲気もあって、どっちなのか姉としても悩むところでもある。恋愛したことが無い私が言うのもなんだけど、と自分に対するツッコミも忘れない。
あるいは、二人の仲に対するプロテクトでも作らないと、この空間に耐えられないと思ったのかもしれない。
もっとも、なのははなのはで、完全に脳は動き出したものの、パニック状態には変わらなかった。 ――朝起きて、ベッドでのんびりしていたらユーノ君がいた。 言っている本人が一番馬鹿馬鹿しいと考えてしまうほど、強烈なミスだった。おまけに今は適当に着替えてボタンを掛け間違えたパジャマに寝癖も強く残っている髪と、到底顔をあわせるには不都合この上ない。
「そ、その恥ずかしいから下で待ってて!すぐに準備するから!」
「いや、別にそんな急がなくてもいいし、別に何も」
「私が気にするの!
そんな気にしなくても良いのに、と呟くユーノを無視して部屋からユーノと美由希を追い出し始めるなのは。 朝が弱い割には、起きてから追い出しまで手早いのは、それだけ衝撃だったのか。 なのは本人もよく分からなかったが、美由希は「分かった分かったから、なのは!」というとユーノの背中を押して退散する。
「……いきなり、なんだもん」
いきなり、ユーノ君がいるからいけないんだもん。 さっきまで、彼がいない今を少し寂しく思っていたから。
今が前と違うと分かっていても、分かっているからこそ恥ずかしかった。 そこにいるだけで安心する、だけど……
――ユーノ君って、私にとって何なんだろう。
そんな単純なことがまだはっきりしていない。
―3―
――桃子さんも無茶苦茶なんだもんなぁ、あの押しは、間違いなくはやてレベルだよ……
高町家一階のリビングでなのはを待つユーノはここに来ることになったとある発言に考えを回していた。 ……とりあえず、なのはの部屋に入ってなのはの慌て様に恥ずかしくなったわけではないが。
そういえば、なのはがお母さんは関西にも住んでいたことがあるんだよ、と言ってたっけと記憶を掘り出してあの押しの強さの原因を実感する。日本ではその地域の人は押しが強いと評判らしい。
午後に約束していたのだが、桃子さん疑惑『大丈夫よ、なのはだもん』という理由などまったくないまま ここに押し込まれて会いに来たはいいものの……
「なのは、そんなに慌てることかなぁ……?」
ほんの半年ぐらい前までは普通に過ごしていた空間なのに、やけに遠くになったものだ、とその距離感を実感する。いや、無限書庫勤務にユーノがなってから、距離は開く一方だったというべきかもしれない。 自分自身、なのはと一緒にいたあの時を思い出すとだいぶ寂しくなったなぁ、と自室に帰るたびに思うし……と今まで、スクライアのユーノとして過ごしていた間には感じなかった孤独感をユーノは実感していた。
「普通に考えれば慌てると私は思うんだけどなぁ……」
「えっ、そうなんですか。美由希さん?」
「いや、女の子のプライベートの塊である自室に、しかも寝起き場面にいきなりお友達とはいえ男の子がいるんだよ?」
「でも、今までだって何度もなのはと僕は……」
「うん、今まではね。今やこれからじゃないよ。なのはの心境変化なのかな?」
今まで続いていたことが、決してこれからも続かない。そういうことだと思うよ、と締める美由希。 そういわれれば、今まで男女でいたのにあれだけフラットだった方がおかしいことにも納得は行く。
「そうですか……はあぁ」
「なんだ、男の子の癖に溜息しすぎだぞ、ユーノ君」
「いえ、その……なのはにとって僕って何なんだろうって思いまして」
「うーん。最初の男の子のお友達、親友……いや、最初にして最後かもしれないね」
「最後、ですか?」
「なのはは、もう道を決めちゃったからね。その道で同じ年の男性と一緒いる機会ってほぼ皆無じゃない?」
「……そういえば、そうですね」
極端に能力主義な管理局本局でさえも、なのはほどの歳の職員はほぼ皆無。 地上へ目を向ければ、年齢以前に数がまったく足りていない。 なのはが、同年代の男性と一緒にいることは、今のここ以外にはもう無いのかもしれない。
自分のせいかな、とちょっぴり自己嫌悪を抱いてしまう。
「それに、普通お友達や親友と言っても、男の子と一緒に同じ部屋で過ごすってこの世界でも無いよ?」
「あ、あのそれは本当に悪かったと思ってますよ?」
「いやいや、悪いとかじゃないんだよ。 なのははユーノ君が人間の男の子と知っても一緒にいた。なのはにとってユーノ君は特別なんじゃないかな?」
「特別、ですか?」
「そう、特別。まあ、何が特別なのかはおいおい分かると思うけどね」
だから大丈夫さ、とさらっと話を流す美由希。ユーノとしては特別の意味はさっぱりで。 それが余計にユーノにとって、高町なのはとはどういう人か、と問いかける。
そんな自問自答を何回かしているうちに二階からとんとんとん、と足音が聞こえた。
「ユ、ユーノ君!おまたせぇ!ごめんね、ずっと寝てて……その」
「ううん。早く来て連絡入れなかった僕も悪かったから」
だからおあいこだよ、とユーノは表情もニコニコに言う。
そんなユーノの目の前には服も着替えて髪もちゃんと結って、寝癖もちゃんとカバー。 いつもどおり、全力全開ななのはがいて。 ふふっ、と二人で笑うと互いが互いにちょっぴりドギマギしつつも、にこやかだった。
それだけでユーノには満足だった。 いつもの関係、いつもの位置で。
「ああっと、お弁当作らないといけないよ!?ユーノ君が早いから昼食用意しないと!?」
「大丈夫だよ、翠屋で食べればいいから」
「そ、そっか。うん、そうだよね」
と、出かける予定でいる二人組は時間もほどほどに出かける準備を終えて。
「それじゃあ、お姉ちゃんでかけてくるね!」
「あの、美由希さん、行って来ますね」
「なのはもユーノ君も外には気をつけるんだぞー、ってそれは大丈夫か。 とにかく……いってらっしゃい、なのは、ユーノ君」
魔法世界でのエースさんたちだもんね、と心配するだけ損だよ、と異世界に首を突っ込んでいる妹を思いつつもいつも通りに送り出す美由希。 ただ……
「うーん。やっぱり、どこかの恋愛小説みたいな幼馴染の二人だよねぇ…… 無意識で手を繋ぐとは…… 私は、まさかなのはにも追い抜かされちゃうの!?」
無自覚で手を繋いで出かけていった二人をみてうーん、とうなり声を上げて考え込む。
ただ、人の行く先の心配、しかし自分の心配。 行き遅れをするのではないか、と美由希は負の荷を振りほどきたい衝動にかられつつ でも、いつも通りの一日を過ごそうと心に誓うのだった。
-4-
海鳴市の広さといえば、大したことないように見えて臨海公園周辺は意外と広い。 あの後、一度翠屋で一緒の昼食を取ってからゆっくりと海鳴の街を歩いた。
二人っきりで、でも二人の距離はちょっぴり開いた状態で。
今日、なのははとってもはしゃいでいた。 久しぶりにユーノ君と二人きりなんだもん、その分はと言わんばかりに、事実そのつもりで楽しんでいた。
翠屋で二人で昼食を、なのはにとっては朝食兼用の、を食べたときも ユーノ君と二人きりで食べるのはアースラでPT事件の時以来だぁ、と思い出しながら食べていたら、ほっぺに食べていたスパゲッティ・ボロネーゼのミートソースがついてしまって。
『なのは、ソースついてるよ?ほら、ふかないと……』
そういって、ユーノがなのはの目の前まで近づいてきてフキンでなのはのほっぺについたソースを丁寧に拭いてくれた。でも、なのはとしては思いっきり恥ずかしかった。 いつもはあまり気にしないけど、間近くで彼を見るとどうにも落ち着いていられない。
なんでだろう、と思う気持ちはないわけではなく、事実それは恥ずかしかったわけで。 だから、顔を赤く染めて少し控えめにしたら、今度はどうしたの?と覗き込みながらユーノが聞いてきた。
お店の方にいたお母さんが微笑ましく見ていたのに、余計に恥ずかしさを覚えたりして。 そのまま、午後は一緒に買い物をして。うーん、服を選んでもらっちゃったやぁ、と袋に入っている服を見て心の声が聞こえれば、だいぶ気がよくなりそうなことがあって。
そして今、翠屋から、海鳴臨海公園へと続く道を二人は歩いていた。
なのははふと、ちらりと横のほうへと目線を動かす。 そこにはもちろん、ユーノがいて。それが一年前から続いていた日常だった、と気づき直す。
「こうして、二人で歩くのも久しぶりかな?」
「え、えっと……」
いきなり、となのはは思っていたが、ユーノはゆっくりと頃合を見たつもりでそう声をかけていた。 一緒に歩いてちょっぴり恥ずかしいのは、ユーノも同じ、というわけである。
なのはの方は、公園へと続く商店街の道の中ということもあってか人目を気にしながら……魔法のことは伏せて話す。それ以外にも、他人に聞かれるとなんだか秘密を覗かれている気がして気がおちつかないこともあるが。
「あの冬の日以来、だよね。二人だけっていうのは」
「そういえば、それからはフェイトやはやてと一緒ってことが多くなったりして」
「うんうん。ユーノ君も無限書庫の方に入り浸りになっちゃって」
「……なのは、入り浸りっていうのは違うと思うんだけど……」
そうかな、と首を傾げる。ユーノは本当に入り浸り、と呼ぶに値するほどよく無限書庫で仕事をしている。 なのははまだ本局に入ってない、というのにもかかわらず。お手伝い程度はしているけど、なんでそんなにがんばるのかな、と不思議なのだ。
きっとユーノ君にそういえば、むしろなのはが管理局勤めするほうが、と聞き返されそうかな、と想像できたから言うのはやめる。
「と、とにかく!ユーノ君と一緒って、久しぶりで…… そういえば、ユーノ君と男の子として、普通に二人で二人だけの理由でどこかに行くって初めてだよね?」
「えっ、そ、そうだったっけ?」
それ以外にも一緒に出かけたことが皆無じゃないけど、と記憶の中を呼び出すと やっぱり、二人だけでしかも、男の子(人として)一緒は……
「や、やっぱり初めてだよ!?」
「な、なのは?」
いつも、フェレットだろうが男の子だろうが、同じようになのはを見ていたユーノ君はともかく……と冷静になろうと、すーすーはーはーと深呼吸。
一緒に、つまり二人だけで買い物して、こうして歩いていて……デ、デート?
そこまで考えて、ま、まさかね……とユーノ君の親友、としてのなのはは、そんなことない、と沈着に見直す。 そう、あってはいけない。自分とユーノ君はお友達で……と言い込める。
でも、一度考えてしまったことを消せるはずもない。 今日、一緒にここに来たのはそういう理由ではないのにもかかわらず。
歩いているのも何だから、と近くのベンチに座る。時間はもうすぐ3時過ぎ。
「それにしても、なのはもお買い物って好きなんだね」
「うーん、ユーノ君から見ると意外かな?」
ユーノの知識では、女性は買い物好きらしいとあった。 でも、ステレオタイプ(固定概念)の女性と、なのはの性格との違い、フェレットとしていて見ていたときにはあんまり買い物をするような人には見えなかっただけに今日、なのはにひっぱられる形で買い物をしたのは意外というよりも、この世のものとは思えない形相をしたいぐらいだった。
なのはの知らない一面を見た気分で、ユーノもとっても新鮮だったし、うれしかったし、また何より……
僕はまだ知らないなのはがいるんだなぁ、と深く感じて。 手を翳してみて、その先になのはを見てみて……でも。
いすに座ってのんびりとするなのはは、ユーノの知っているなのはだった。
「3時だね、ユーノ君。さっき買ったスイートポテト、食べる?」
「うん、食べるよ……でも、そのスイートポテトってどんなの?」
「うにゃ、知らなかったっけ?こういうのだけど……」
と、バッグに入っていたスイートポテトをひとつ取り出す。 さつまいもを原料して作った洋菓子。甘いからなのはも好きで、お母さんが作るのと、今日行った海鳴中央デパートにあるお店のものが特に好きだった。
おいもさんで作ったのなの、というとユーノの表情に一瞬何かが通り過ぎたようにピクッとしたのは フェレットのとき、食べられそうになったことを思い出したためかもしれない。あれは悪かったなぁ、となのはも反省しているのだが……
今思うと、ユーノ君を食べちゃったんだよねぇ……と。 男の子を食べちゃいました。聞きようによってには父親が倒れそうな言葉だが、あいにくなのはもユーノも意味が理解できない年だったので、気にも留めてないらしい。
後々、具体的には10年後になってさつまいもを食べた娘にその話をするまで、事実気づかなかった女性がいることを記述しないといけないぐらい。
「あれ?でも、なんでよくわからないのに食べるっていったの?」
「えっ?うーん、なのはがお勧めのものなら何でも食べれるかなって思って」
「ユ、ユーノ君!?」
さらっと流した言葉、果たして彼はその言葉の真の意味を理解しているのだろうか。 笑顔でそんなこと言われたら、誰だって思わず勘違いしてしまう。
きっと、無自覚なんだろうなぁ、と彼の性格を知っているから推測はできるとしても。 そう考えれば、なのはが一緒にいて嬉しい理由だって、根本的には同じなのかもしれない。 もちろん、なのはが言われれば否定するが。
本当にさらって言うんだもん、と反論もできないままにスイートポテト2つを2人で食べる。 ユーノ君に食い意地があるなんて思われないように、と隠れてぱくっと一口、なのははスイートポテトを口に運んで……おいしい。 これなら、ユーノ君もおいしいって言ってくれるよね、と期待しながら ユーノ君にも、と取り出したのだが……
なのはが取り出す前に、ユーノはなのはが持っていた方を取って。
「これがユーノく……そっちは!」
「ありがとう、なのはっと……うん、おいしいね」
「そ、それ……私が一口食べたのに」
えっ、という声にがーん、という効果音がどこからか入る。 どうやら、ユーノ君の笑みでも凍りつくらしい……と、ばつが悪いような空気の中なのはは、冷静にそんなことを見つけてしまって、恥ずかしいのか意外、と思うべきなのか一瞬困った。 その後、ユーノの表情が一転して「ご、ごめん!?」と真っ青になって懺悔する光景。
「そ、そのなのはが食べたなんで、知らなくて、あの、別に他意もないし なのはがあんまりおいしいっていうから、食べたくてついとっちゃったりとかしたけど いや、でもやっぱり……ごめんなさい!」
「その……ユーノ君だから、いいよ!うん!」
あたふたと浮き足立つように、弁明を釈明を重ねるようにひたすら謝るユーノ。 最初はこそばゆいほど恥ずかしかったけど、ユーノ君なら、と思えてしまうのは、彼への信頼感の表れ。 男性だと意識していなかった頃と、男の子だと判ってから。そして、今も続くなのはのユーノへの思いやりと対応。 でも、きっとほかの人だったら嫌、と明確に感じるのはなぜだろう。
ユーノ君だから、特別……自分の中のそんな思い。 最初に出会ったときから同じようで変わりつつある自分と、ユーノ君への想い。 それを肌で感じるには十分すぎる。
ほわぁ、っとなのはがそんなことを考えているうちにユーノはごめんと再度謝るとなのはの前にスイートポテトを戻してきた。
「あれ、ユーノ君食べないの?お口に合わなかった?」
「いや、そのなのはが食べたのをこのまま食べるのもなんかなって思って……」
おいしい、と言っていたのにとふち落ちない理由をたずねた返事は やはり、彼がユーノ君だということを再度納得させるに足りた。
――さっき、いきなり私の食べたのを食べられたときは驚いたけど、フェレットのときはビスケットを割って二人で食べたりとかしてたっけ。
「ユーノ君なら私は良いって言ったのに……やっぱり、おいしいよ、これ?」
「うん、確かにおいしかったっていうか、それ僕が食べたのにそれをなのはは食べるの?!」
遠慮しなくてもいいのに、と返されたスイートポテトをなのはは一口。
――あわててるね、ユーノ君……そんなユーノ君も可愛いけど。
自分のことを客観的に見ているつもりで、案外なのはも思いっきり無自覚だったのは この二人組天然親友あるいはカップル(?)にはちょうどいいのかもしれない。
……なお、結局ひとつのスイートポテトを二人で分け合って食べたことは言うまでもない。
―0 nor 5 ―
始まりの場所……誰にでもきっとある場所。 その人にとって、基点といえるような場所。始まりの地。運命の地。 運命とはfate・・・・・・女神様の名前にしてはあっけない気がする、とはユーノの言葉。
――その名を冠する女性が友人だけに、そんなすごい女神様には到底思えなかったりね。
そういわれて、なのはがなるほど納得をしたのも記憶の内にある笑い話。 でも、そこにあるものは確かに……始まりの運命、だった。
「ここが……ユーノ君の初めてあったところだね」
海鳴臨海公園の都市部付近の緑地部分。木々がたち、さながらちょっとした林。 荒れてる道だけど近道、となのはの親友にして、ユーノも一応「お友達」という許可が出ていたアリサ・バニンクスの言ではあるが、あながち間違っていない。
ここで、ジュエルシードを封印しようとして、失敗したんだった……とまだたった1年前のことなのに懐かしく思えてしまうのは、その一年の長さを改めて感じたからか、ユーノはその場をのんびりと見つめる。 さっき買い物したときの袋をなのはと二人で持っているので、雰囲気的には何か間違っている気がするが。
「始まりの地っていえばいいのかな?ここでユーノ君と会って、魔法を知って フェイトちゃんやはやてちゃんたちと会って……だから、始まりの地」
「そうだね、なのは……」
始まりの地、という呼び方が正しいかはこの際どうでもよかった。 春という季節も、またその陽気すらも。
ただ、ここで僕は、私は……彼女と、彼と、会ったという事実がすべての始まりだったのだから。 しかし、はたしてそれだけなのだろうか。その疑問は答えられるものではない。
「一周年、だね。ユーノ君との出会い記念の」
「記念日にするには個人的にはジュエルシードに殺されかけた日、でもあるんだけどね」
「そ、そっか。ごめんね、縁起の悪いこと言っちゃって」
「ううん、いいよ。なのはが助けてくれたから今ここにいられるのも事実だからね」
あるいは助けがなければ、本当に死んでいたかもしれない。 この道も、ほとんど人は通らない道。魔力保有者もそもそも滅多にいない。可能性としてはやてが近くにいても、車椅子でこのでこぼこで厳しい道を通るのは難しいだろう。
結果的に、なのはがいたから助かったのが現実だ。ユーノはそう思っていた。
「それからユーノ君とジュエルシード探しをして……あっという間だったよー」
「いまじゃ、僕は無限書庫の司書で、なのはも5月には入局。 昔みたいに良く顔を見合わせるのは難しいかもね……今日だって、そうだったし」
「そうだね……寂しいかな?」
えっ……? ユーノは、ささやくようになのはが言った「寂しい」という言葉がとても意外だった。 いつも、家族がいて、友達がいて……そんな日々がなのはには、まだまだ続くのに。寂しい、とは。
「今だってそうだよ?ユーノ君が家からいなくなって、ちょっぴり寂しいんだ。 大切な家族だって思ってたから。今日あえて、一日とっても嬉しかったんだよ?」
「家族……って思ってくれるの?」
「うん……だって、一緒に過ごしたから」
家族、というものになのはは、とても惹かれていた。 それは、幼い時期の家族がそれぞれ忙しくて、それが終わった今でも、どこか疎外感を感じていたからなのかもしれない。そう、なのははユーノに話したことがあった。
『だから、ユーノ君がきてくれて、私はとても嬉しいの♪』
そんな中でユーノが出たことが、なのはにとって家族と呼ぶに値して、一番深い関係になったのも 当然の帰結だったのかもしれない。
寂しかったから、と淡々に話すなのはに、あるいは初めて芯のある強い子以外のか弱い何かを感じたのもあの時だったのかもしれない。そんななのはに心惹かれたのも。
「お父さんとお母さん、お兄ちゃんとお姉ちゃんはとっても仲が良くて…… そんな姿を見てると、なのはもちょっぴり相手がいてくれたなぁ。って思わなかったわけでもないから。 だから、ユーノ君がいてくれて、本当に私は寂しくなかったんだ……」
「……ごめんね、なのは」
そう、あの時聞いていたのに。 自分は今、なのはと離れている。きっと、これからもっと離れる。 ユーノが司書になって、なのはが本局勤務になれば、会う機会は両方の都合の良いときだけ。 無限書庫の都合が良いときですら稀なのだ、会いたいと思って会えるような状態ではない、と言っていいだろう。
だから、なのはが寂しかったことを知ってたのに、離れてしまったことを、ただ謝る。
「ううん、いいよ。ユーノ君にはユーノ君のお仕事があるし。 私も、寂しかったけど……皆がんばっているんだもん。ユーノ君はもちろん、フェイトちゃんもはやてちゃんも」
「そう、だね……」
でも、それはなのはとは本質的に違うことをユーノは知っていた。 フェイトは、PT事件の縛りから。はやても闇の書……夜天の魔導書が起こした問題を償うために管理局に貢献しようとしている。なのはは、そんなことする必要がないのだから。
でも……と、道の真ん中で「ここだよねー!ユーノ君が寝てたの!」と言う彼女を見ればわかる。 彼女は、そんなこと関係なく、誰かのために手助けをしたいのだと。 かつて、自分を助けてくれたように。
そう、初めて会ったときと、今はもう二人の関係を示すものは違うのだ。
「でも……今日、一緒にいて思ったんだ。 私とユーノ君。一緒にいたのに、今日だって『初めて』がいっぱいだったよね?」
「そういえば、そうかな?……うん、多かったよ。 一緒にあんなところに行くことも初めてだったし、どこかで二人で食事するのも初めてだったし」
「うん、初めて……今まで、ユーノ君はフェレットさんだったから。 でもね、だからね……これからは、ちゃんと一人の男の子として、ユーノ君と親友になりたいなって。 誰とも比較できない、たった一人の家族のお友達だよ」
こんなことを言わなくてもユーノ君と今まで、お友達だったかもしれない。家族だったかもしれない。
なのはだって、そう考えないわけでもなかった。 でも、そういわないと収まらないような気が急にした。家族だったかもしれないし、お友達だったかもしれない。だけど、なのはにとってそこを分けられる存在でも、ユーノはなかった。
家族でお友達、親友だったから。ユーノだけは。
欲張りだなぁって自分でも思って。フェイトちゃんたちとは大親友。だけど、家族の寂しさを感じて一緒にいてくれた彼はそれよりも、家族と呼ぶにふさわしいように見えた。
ユーノも、それは変わらない。 家族同然に接してくれたなのはと、フェイトにはやてではその差は大きくて。 だから、寂しくないようにしようと心に誓ったのだから。 なのはを助けようと思って、無限書庫で司書を続けようとも思ったのだから。
たった一人の家族でもあって、友達でもある相手を。
「うん、そうだねなのは」
「そうだよ、ユーノ君」
双方とも、にこっと笑う。 自然でごく当たり前のように。事実、当たり前だと思って。
そう、確かにお友達ではない。二人の関係は。 そんな二人の関係ではなく、一歩踏み出していたから。相手を大切だと、かけがえのないものだと思える家族に。
始まりの地にして、始まりではない。でも、これは終わりでもなく…… 地球について勉強していたユーノにひとつの言葉がふと浮かんで、口に出していた。
「『これは始まりではない。終わりの始まりですらない。しかしあるいは、始まりの終わりかもしれない』」
「ほへぇ?」
「地球の、どこかの島国の偉い人の台詞だったと思うよ。 ここは、なのはと僕の始まりの地だけど。でも、今は……始まりの終わり、って言うのがしっくりくるかなって」
なのはとユーノ。二人の関係の始まりの終わり。 新しい始まりが待つその先、そのまた先、そのまたまた先。
最初はただのお友達。今はお友達で家族。 その先があるとするなら、今は始まりの終わりなのかもしれない。新しい二人のステップのための終わり。
「そっか……始まりの終わり、なんだ」
「新しい始まりの前、とも取れるね。今までみたいに会えないけど、なのはとは一緒にいたいと思うし。 だから、そういう意味もこめて、始まりの終わり、ってね」
ここで確かに終わるのかもしれない。なのはとユーノが出会った物語は。 二人とも新しい道を見つけた、新しい始まりを見つけた。
でも、終わりのそれから始まるそれは、二人の関係をなんら否定せず、新しい道を導く。 出会いがあれば、別れだってある。
死が二人をわかつまで、とは言わないが、二人の転機ではあるから。
「始まりの地で、始まりの終わりを言うのはなんか、変かな、なのは?」
「でも、終わりってことはまた始まるってことだよユーノ君。だから、約束だね」
「約束?」
「うん。また、いつかここに来ようねっていう約束…… そのときは……きっと、また始まりの終わりのときに、ね」
関係の分かれ目。それがきっと始まりの終わり。 何かが変わる節目。だからこそ、一度ちゃんと会って、心を入れ替えたい。
あの時、助けてもらったときとは思いが違うかもしれないけど……それは当たり前なんだから。
そういって締めくくると、帰ろっか!と声を大にして話し出すなのは。 でも、その手はユーノの手をちゃんと握って離さない。それだけじゃなく、寄り添って歩いて。
――なんだか、照れるけどこれも良いかな?
そんな風にユーノですら思えたのは、新しい関係の始まりと同時に、今までの始まりの終わりを告げる鐘だったのかもしれない。
次、ここに来るときは家族であってお友達、そんな関係から何に変わるときなのか。 果たして何年後か。それは、そのときの当人にはわからない、だけど必ずまた来るような気がしてならなかった。
だって……
あなたのことが、大好きだから。
あとがき 実は宇宙戦艦ヤマトより「自動惑星ゴルバ」を聞きながらあとがき執筆(雰囲気ぶち壊し この曲、とても数十年前の曲だとは思わせないね、うん。さすがメルダーズ・マゼラン方面軍司令旗艦の自動惑星ゴルバだ(ぁ 惑星とか言いながらサイズは700~800m程度だった気がしますが。
まあ、圧倒的強さなんですけどね、自動惑星ゴルバ。なのはさんぐらい無敵です(どういう比だ
読む前に書いておいたのと同様ですが、こんなこといってなんですけど、あのイベントで公開するのこっちにすればよかった(ぉぃ まあ、あの時はあっちの方が良かった風に見えたんだ! うんw 機動六課勤務日誌Ⅱの方の原稿を書いていて、実は切羽詰ってるのに没案が実はまだいくつか……ほかは公開しないぞw 地の文が非常に多いのが自分のデフォ。ユノフェイ入れ替わりはそれを意識して台詞増やそうとしている節があったり。もうちょっとセリフ率上げてもいいのかなー?
とりあえず、あれには書けなかったコメント返信でも。 >夫婦コンビ最強・・二人の事実を知らないはやて、フェイトはなんとも。普通築くとおもうけど・・・・・・。 >こんどはヴィヴィオもいれた家族バトルがいいな キッシーさんこんばんわー^^ 意外と人間は気づかないものです。いつだって人はそんなもんです。まあ、はやてさんなら気づいている上に気づいていない振りして楽しむぐらいしそうですが(フェイトさん=天然が私のデフォ) >自分としては本編のなのはの鈍感さでどれだけユーノが傷付いているかと言う感じです。実際問題ユーなのは無いと踏んでいます。 >世間ではなのフェイみたいですから・・・。二人がそんな事している間にはやてがユーノと結婚!!!または全く関係無い奴と結婚していそうですが・・・。コレが現実ですよ。 >閑話休題。 >今回のSSはユーノがなのはの為に製作した魔法。制限が付きますがかなり反則的な魔法ですね。 >なのはの無茶が増えると感じましたがユーノに多大な負担があるから自粛しますかね? >最後に管理人サンにラグナロク!!はやては幸せに成ります、ユーノっと!!!では。 なのはさんが(私にユーなのSSを書けと脅しながら)ラグナロクから守ってくれました(ぉぃ こんばんわです、セブンウィンズさん。 まあ、ユーノが傷つくことはないと思いますけどね。彼自身好きだと言ってないんだもん。謙虚なユーノ君らしさがにじみ出ています。ゆえに進まないわけで、こんな微妙な関係を描いても小説としては、ある意味で無価値なんですが(話は何かしらの変化がないと成立しないという命題を考えれば。話そのものがネタなら関係ないw) ユーはやはありえる一つのパターンですが、まあありえないといえばありえない、かね。 本編中会話したことが無い二人ですから(ぁ 互いに顔を合わせたときにどう呼ぶんだろw その人がいないときは呼び捨てで二人とも呼んでいるっぽいけど。 >えーとですね・・・、どうも同じ町に住んでるみたいですね。いや、ビックリした。 >小説読みました。ユーノとなのはの共闘、ある意味最強のカップルでは?と思う。 こうじさん、ありがとですー。 実は知り合いだったなんてオチだったら倒れた上にリリなののDVDもってけ泥棒にでも(ぉぃ うーん。あれ、自分的には「無し」なコンビネーションだったりして。無理していることには変わらないし、ユーノがこれだと無理しちゃうので、なのはが結局許さないような気がする(ぁ >どうもごぶさたしています。やっぱりあれでしょうか。私はユーなのなんかすっ飛ばして軍事面のみコメントすべきでしょうか(爆笑)。 中略(ぉぃ >まあ、なのユーはほんわか夫婦にお似合いですね。ゲームだとメインヒロインって奴。 あの解説文を乗せるだけの勇気が私には無かった(ぁ 気になる人は見に行ってくださいw マイソフさん、こんばんわー^^ ただ、ティアナじゃなのはさんと砲撃で勝てる見込むが無いってことですね(ぁ 1945年ベルリンのドイツ軍砲兵隊がソ連軍砲兵隊に攻撃を加えるような……つまり、絶望的なまでの火力さw ユーなのにはほんわかが似合うと自分も思います。可愛いよね、二人ってw >はやてとユーノ結婚はないでしょう。はやてなんかリリカルにいらんキャラだし
とりあえず、はやてがいないと機動六課始まらないな、うん(ぁ こんばんわー、キキさん。 はやてさんがぱっとしないのは、中間管理職の使命です。 つーか、いらないと割り切るならユーノだって(以下略 >確かに、家族て言われちゃうな。 >そこで、ユーノがはい、て言えば男らしかったのに。やはりユーノとなのはは、最高です
ばんわー、キッシーさん。 共に生活をしている人たちを、英語で「コミュニティ」というケースがあります。共同体ですね、間違っても「教導隊」なんて変換してはいけません(ぁ 共同体、コミュニティはある意味「家族」と呼べます。最小のコミュニティが「家族」だからですね。だから、なのはたちはコミュニティではありますが、家族ではない。 ユーノたちは「コミュニティ」でしょう。 型にとらわれない見方をすれば、家族でも何でも「コミュニティ」ですからね。ヴィヴィオにとって、最初の家族はおそらく「機動六課」です。あれも共同体、「コミュニティ」なのでw ユーノにとっての家族がスクライア一族なのも、一族が「コミュニティ」だからです。 実のところ、コミュニティは家族ではないといいましたが、核家族ではないというだけであって、ユーノとなのはとヴィヴィオの関係もコミュニティとして「家族」の形なのかもしれません。彼らは共同体ですから^ー^ Web拍手の方もありがとございましたー 今は更新できませんけど、原稿の方ができてひと段落したら、どうにかしますのでー