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2008 04,04 23:12 |
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あえて、カテゴリーをパートナーシリーズに入れて見る。 ブランクというかはさておいて、とりあえず腕慣らしのD.C.ⅡSSの後はリリなの王道(?)のユノなのSSです。こうやって見ると私ってやっぱりユノなの派だと言うことがよく分かりますw 今回は、私の趣味的な部分も多分に含みます。 もっとも、オリキャラはいません。長編にはいるんですが、原則短編でオリキャラを作る必要性がないことと 作ると、すでにリリなの世界から離れ始めてしまうので。 そういう意味では、長編はあの世界そのものを利用した話であって、リリなのの話じゃないのかもしれません。 と、短編の予定が延びたので3部作ぐらいを予定している作品の前編。 初シリアスを目標に書いてます。なんだか、すべてがバラバラに見える世界ですが、推測してみてください。 では、本編どうぞ。 冷たく冷たく……ゆえに凛とした何かを感じるような冬の空気。 寒さと同時に襲う日差しは、ダブル・アタックを決めたいかのごとくに自分を襲ってくる。 寝ているときのの暖かさとふんわりとした触感にずっといたいとは思うもののそれにはさようならを告げないといけない。軽い倦怠感がダルさを主にして降り注いでくる感覚に捕らわれたが……そうも言ってはいられない。 ゆっくりと身を起こして、今日と言う日の朝におはようの挨拶をする。 だけど、ちゃんと起きて、顔を洗って、歯磨きをして……そういった一連の動作をしても倦怠感が抜けない。 この倦怠感がどこから来るかは分からない。 前日も、別にそれなりに『とあること』をしたとはいえ、それはここ数ヶ月、いやそろそろ年に至る自分の日常の一つであり、それから倦怠感が起きる事は殆ど無い。 もし、倦怠感がその『いつもやっているとあること』で良く来てしまうなら、自分はまともに日常生活を行えない。 なら、これは何なのか。 考えてみても、その理由は見当たらず、またその理由があればすでに分かっていて…… 堂々巡りの空回り……っていうのは、どこの本の言葉だったっけ、と友人が言っていた言葉を思い出しながらも意味と言うよりも、この倦怠感の正体が分からないことに何よりも不自然さを感じた。 といっても、倦怠感がナニモノか、自分の中に何かがあったような感じすらするものの いつもどおり、そしてこれからも、な一日が動き出すことも事実。 「なのはー、朝ご飯よー!」 「はーい!今いきまーす!」 お母さんの声が響き、それにあわせて倦怠感を隠すように返事をする。 私、高町なのは、今年で10歳。今日も今日もで、何かがあるような突っかかりを感じつつも、同時にいつも通りに始めた、そんな日だった。 ―――――――――― 果たして、科学的根拠が見当たらないのに、理由を探せ、と言われてどう探せ、というのだろうか。 無限書庫司書長ユーノ・スクライア、そういう肩書きがある自分にとってはそれは非常に難解だった。 科学というのは、理屈や法則といった結論が分かっていることに関して言うもの。 最低でも、その理由が分かっているものを世間一般的には科学的根拠を持った現実、という。 朝、別に普通に出勤してきて……もっとも平常業務になってもう数年だけど…… そこで未だにあのツンツンつけたバリアジャケットなクロノ・ハラオウン管理局次元潜行部隊所属艦艦長兼提督に美少女が美女になった、と言っても間違いではないと思うフェイト・T・ハラオウン執務官……この二人は幼馴染で、まあクロノの方はあまり認めたくは無いものの、とりあえずそういうことにしておくとしよう。 どちらを、あるいはどちらも事実として、とにかく二人が無限書庫で丁寧にも僕が買っておいた紅茶を飲んで待っていた。クロノはともかく、フェイトまで勝手に人のを、と思って少し頭を抱えて、それを見たフェイトが慌てて謝罪の言葉をかけてくれて、それでとりあえず少しばかり時間を使ってしまった。 もっとも、そういえば結局クロノからは謝罪の言葉を聴いていないような気がする。 後で請求額を増やして紅茶代請求してやろう、などと片手間に考えつつも、それでも検索は続ける。 二人が話した話は、普通なら信じられない話。 信じられないのが、それが科学的根拠を持っていないから。 別世界からは魔法世界と言われるミッドチルダだけど、それもまた科学と言える。すべて、説明がつく、というレベルでそれは科学と呼ぶに値する。 魔法だって、人間が固有に持つリンカーコアに蓄積されたエネルギーを変換放出する、と言う意味では科学だ。逆に古代において太陽を魔法の力の一つとしたのも、その原理が分からなかったから。原子核融合を起こしている、と知っているからこそそれを今、僕たちは科学と出来る。だけど…… つまりはわけの分からないことを調べているわけだ。自分は。科学で証明できないそれを。 「しかも、それを調べる理由がたった一つの、しかもヴィヴィオの言葉、とは些か…… ううん、確かに話を聞く限りでは……」 機動六課、先日JS事件を解決した管理局でも有名な部署。 そのJS事件で助けた少女で、今も機動六課で保護しているその少女の名前がヴィヴィオ。 フェイトやクロノ、後は今日は会ってないけどはやてを含めて、幼馴染が集まっている六課が保護した というだけあって、自分もヴィヴィオには何度か会っている。 笑顔がとっても似合う子、かな?と個人的には思っている。そういう雰囲気をかもし出していると言ってもいい。 その雰囲気は他人を心配させないためなのか、それとも天性がそうさせているのか、それはわからないだけど。年相応な面もあれば、年に合わない表情もする、そんな子だった。 そんなことをフェイトやはやてに言うと 『……一番、小さいころに子供らしさがなかったユーノ(君に)言われたらヴィヴィオも可哀相かな(やね)?』 … …… こう、もう少し僕に配慮した言い方ぐらいしてくれたっていいじゃないか、いやそうかもしれないけど。 それがどうであるにせよ、押し付けられた難題は、これ以上のものはない、と言えるほどのものだった。 「……『存在が消えたかもしれない』存在をいると過程して、それを戻す方法言われてもなぁ……」 それは数日前、フェイトと寝ていたヴィヴィオが突然口走った言葉にことを発するらしい。 『清き聖者は、巫女の消失を嘆く。聖王は道を示し、賢者は巫女を救うために時の橋を渡る。 そして、橋が崩れ始め、聖王は自らの力と引き換えにすべてを愛しいものへと還した』 それは古代ベルカに伝わる歴史書の一ページの文。 問題はそれが実話であり、その歴史書時代の聖王は突然引退している。 存在の消失。いくら現代のミッドチルダと言ってもそんな魔法技術は無い。だから、信憑性の薄い話として別の引退理由もあるのだが、悪魔の証明のようにすべては証明できていない。 逆に言えば、その話をそのまま受け取るのが一番納得行く話でもあり、それが一番、その時の歴史研究家を混乱を起こしている理由でもある。もっとも、そういうのは僕からすれば単に頭が固いだけじゃないか、とも思えたりもする。 歴史なんてそもそも信じられることを信じるなら解明する意味が無い。 信じられないことでも、それを証明すれば事実なのだ。だから、歴史において最初は仮定しか立てられない。 それなのに、この問題に対して歴史家がするのは二択。存在の消失を認めないか、あるいはそもそもそれを見なかったことにするか。 もちろん、ヴィヴィオがそれを知るはずも無い、それを言ったからと言って不自然ではあるけどそれだけのはず。問題なのは、その後機動六課で不可解な事件が連発していること。 その最もな理由は、今まで部隊の前線メンバーの面倒を見るべき教導官がいなかったこと。 普通、そんなことはありえない。 僕だって、無限書庫司書長になったときに、必要な職種の人間すべてを集めてから始めた。 僕よりもしっかり者(一部は思いっきり抜けているけど)のはやてが、新人で固めた前線メンバーの教育係を忘れているはずも無いし、そもそも今まで気づかなかった、なんてことはありえない。 だいたい、そんな部隊構成で本局が許可するはずも無いし、査察に来た事もある今は無きレジアス地上本部中将がそんな点を見逃すはずが無い。 そして、教導官がいないのに前線メンバーは明らかに腕が上達している。特にティアナ・ランスターさんあたりはスターライトブレーカーと呼ばれる収束系上位魔法の自己流すら使えるほどに。 大きくはそれから大小関わらずさまざまな問題がそこでは起きていた。 問題の大半は結局、部隊長のはやてに向かっているらしく、さっき情報が欲しいと思って六課に連絡したときには悲痛の叫びを全力で上げていた。本局や地上本部からどういうことか、という抗議文が大量に送りつけられているらしく、僕は笑いながら速やかに通信モニターを消したぐらい。 い、いや。だってはやてと話していたら『この書類、片付けるの手伝ってやぁ!?』と言われそうだったし……ねぇ? 結局、それからクロノとフェイトが調べて分かったのは『その問題は管理局全体に少なからず影響している』ということらしい。その最もなところが機動六課だったらしいが、本局や地上本部でも混乱は起きているらしく、それは無限書庫も同じ。 そういえば、数日前からデータベース登録した本の登録ページと実際ページの差異が多く見つかっていることも思い出して、その話は嫌でも信憑性を強める事になった。 そういった理由から『消失した人間』がいること、それを僕らは気づいていないし覚えていないことは分かった。 もっとも、それらは今の管理局が知っている限り事例は無いのだ。 『というわけで、おとぎ話でも何でもあるだろう無限書庫の司書長さんにそれを頼もうと思ったら、おお、そういえばわが幼馴染のユーノが司書長さんだったじゃないか、とそういうわけだ』 完全に人の事を忘れていたのか、それともわざとなのか、クロノは嫌味を散らせながらそう言って二人で集めたらしい資料を僕に渡すと『他にも仕事がある』と言って出て行く始末。 フェイトの方も4月には六課から次元潜行部隊に戻る事もあって、忙しいらしい。 よって、この案件を僕に、ようは面倒だから回したってわけか。 しかも無限書庫に置き見上げを置いていって……。 重力を相殺しているこの空間。ミッドチルダではグラビトン、重力子も発見されていて、それによって重力制御が可能。よって、無限書庫には本の劣化を抑えるために重力は基本的に0になっている。ただし0.1程度の微弱な重力が上層から下層にかかっている。本が勝手に本棚から出ないように。理由は無重力にすると、ふとした空気の流れで本が動く可能性すらあるため。 本当は空気も無い方が劣化が遅いのだが、それでは人が使えない。人が使えない本に価値は無い。 価値があっても宝の持ち腐れ。別の意味で腐ってしまう。 そんな空間にぽつんと浮かぶ金色の髪、殆どはストレートにおろしているものの少しだけは黒のリボンを使ってツーテールに纏めている。そして左右違う色の瞳。印象的な素顔と性格は、もう数回あっているのに新鮮さを感じて…… 「ユーノさん、これ、探してるの?」 「あ、うん。ありがとう、ヴィヴィオ」 重力なんて殆ど無いのに、綺麗に髪をなびかせる。 言葉は年相応の幼さを感じさせながらもしっかりもの、というイメージは決して間違いではないだろう。どっちにしても、わざわざその言葉を言った子を持ってこなくても、と思うが、まあそれだけにかもしれない。僕としては、やるべきことがたくさんあるだけに、逆にこうやって必死に探してくるヴィヴィオの必死な表情がとっても気分転換になるのだ。 それにしても、存在が消えてしまった人、なんていうものはそもそも戻せるものなのか。 前例が無いし、そもそも「存在」という概念は哲学を主とする人にこそ調べるに値するべきものだろう。 物質的に存在が消える事はありえないのだ。エネルギー保存則に反している現象だ。 ゆえに科学ではどうしようもない、本来は。それこそこの世界の消えた人間の遺伝子データが残っていて、それをクローニングする、なんていう外道な方法以外には。 だからこそ、科学的よりもむしろ純魔術的な、幻想と呼べるに近いものに頼るのが常であるし、そうあるべき。 科学が証明できないものは、科学でないものでしか解くことは出来ない。鍵の穴に近いものを選ぶべきであり科学や魔法科学はそれではない。おとぎ話すら手助けにしないといけないぐらいなんだから。 それだけに思っているし、同時に冷静にこの事件を解こうとしている自分は確かにいる。 だけど、何なんだろう。この胸の叫びは。 明らかにこの世界がおかしい事をまるで警鐘しているように、存在が消えた、という話をフェイトから聞いて、フェイトが預かっているヴィヴィオと一緒に調べモノをして、それは収まるどころかさらに拡大の一途をたどる。 自分の根底のどこかが崩れているのに、それを気づいていないような、そんな不自然な感覚。 いや、実際にそうなのかもしれない。 「……僕の身近だった人が消えている、から……?」 そうとしか言えない。機動六課の人間なら僕と身近な関係だったのかもしれない。 それなら、まるで自分の今の存在すら崩し兼ねない心の底からの何か、というのも分からないでもない。 いや、あまり詮索するのは行けないことなのかもしれない。 自分が探しているのは消えた人を戻す方法であって、消えた人がどんな人だったか、じゃない。 存在を知る事は、逆に言えば消えた理由に反する事をすることになる。端的にナニが起こるか分からないのだ。 もしかしたら、戻す方法が、消えた人を思い出す事なのかもしれない。でも、違うなら取りこし苦労もいいところだ。まったく、考古学を専門にしているからか僕は考察ばかり頭の中でしてしまう。 気分を変えようと、書庫を首を回して見回す。広い広い書庫は置き行きもあって、何もかもを吸い込みな広さ。 「……その直感どおり、大切な人が、本当に大切な人が消えていた、そうだったらどうするの、ユーノ?」 「……ヴィヴィオ?」 「……ほへっ?どーかしたの?ユーノさん?」 ふと、ヴィヴィオの、凛とした明らかに先ほどのそれとは違う声が聞こえてそっちの方へと振り向く。 だけど、声がした方にいたヴィヴィオはまるで意味が分からないような表情で。 その雰囲気も聞こえた声とは違って。 一層謎が深まる。今の声はヴィヴィオじゃないのか、あるいは幻聴? 自分が精神的に追い詰められて、幻聴でも聞こえた?、そんなことはまず無い。そこまで追い詰められているとも思わない。なら、今のは……? 「あっ、ユーノさん!ユーノさん!これみてー!」 「う、うん?どうかした?」 何かを見つけたらしいヴィヴィオが、大声で僕を呼ぶ。 本当に何か見つけたみたいで、そっちの方に僕も足を運ぶ。ゆっくりと無重力にほとんど近いんだけど。 ヴィヴィオが持っていたのは一つの本。 どこの世界の本だったか……思い出せなかった。 自分にとって思い出せない、ということは中々無い。書庫勤務だったりで記憶力には自信があるし、ある程度なら書庫の本がどんな本か、ぐらいなら分かる。 それで司書たちにはそれでも「異常ですよ、異常。そんなことじゃ……」と、言ってた続きはなんだったっけなぁ……? そんなことを思い出そうとする間にヴィヴィオはその本を開き始めていた。 まるで誰かが「わざと」ヴィヴィオに見つかるように置いたかのようにヴィヴィオが見つけた、その本を。 「えっと……『じかんとそんざい』……?」 その言葉を聞いて、とっさにあることを思い浮かべるまでは。 ―――――――――― 夢を、現実ではないもの、と捕らえるなら間違いなく高町なのはは夢の中にいた。 それは別に簡単で、単純で、一つしかない答え、ではないもののまず間違いないとなのはは思っていた。 第一に、自分はちゃんと最後ベッドで寝ていたはずだ。 それが今は、真っ暗で先も見えないような空間に、ポツンと立っていた。 森のようにも見えるが、同時に暗闇が支配する常闇の世界にも見える暗黒の一面。 寝ていたはずなだけに、自分がここにいる理由を考えるなら魔法で転送されたか、いや管理局施設にはそういった類のモノを遮断する対抗魔法障壁の類は完備されている。 もし、なかったら生物兵器でも局施設に転送されたらそれだけで全滅だ。 それだけにその線は薄い。何より、何か起きたならパートナーといってもいいレイジングハートが…… 「……レイジングハート?」 そこまで考えて声をかけてみるものの返事は無い。 ちゃんと胸には赤い宝石のようなインテリジェントデバイス、レイジングハートをつけている。 が、それからは声も光もまったくと言って良いほどなかった。 でも、これが夢であって夢で無い、そんな風になのはには思えた。 ほっぺたをつねって見れば痛いし、この徐々に感じる底冷えの恐怖は夢、という類で片付けるにはあまりにも強く印象的で、それでいて、なのはの心を蝕む。 恐怖は長続きする。この世界にいればいるほど、自分が狂いそうな気がする。 そういう思いが、逆に恐怖を加速させる。不屈の心でも、人である以上は心に穴がある。 嫌にも自分がここを怖がっていることが分かる。 夢の世界でなければここはどこだというのだろうか、真っ暗の森のようにも見えた世界は今ははっきりとした黒とそこに引かれている道だけが見えた。 進むしかない、ということの現れなのだろうか。とにかく、夢じゃないとしてこれが現実である保障もない。 ここがドコなのか、その根本的な疑問すら分からないことが余計に自分を闇へと誘っているようで怖い。 そういえば、ずっと前を走って……あの事故以来、恐怖を味わったのに今もずっと走っている自分を思い出して恐怖ってそういうことなのか、と改めて理解した。 そう、自分にとって恐怖は、誰とも会えない事。死ぬ事が怖いのは、別にそれ以上生きられないからじゃない。自分を知っている人ともう会えなくなるから。会えるなら死という行為を人が、自分がそれほどまで怖がり、あの事件から立ち直るまでにいくつかの恐怖を乗り越えなければならなかったこともなかっただろう、と思う。 「こんなに、自分が一人だっていうだけで、私ってダメになっちゃうのかな……。 でも、進まないと。もしかしたらこの先に何かあるのかも」 夢だとむしろ嬉しいぐらいだ。 もっとも、これが夢なら、自分は高町なのはは、自分が一人、ということを怖がる少女という事実がただあるだけの、か弱い少女ということだろうか。強い人強い人、と言われる割には自分ってこんな一面もあったんだ、と自分でどこか冷静に自分を見つめる目があることに少し驚き。 でも、むしろ前から自分は分かっていたのかもしれない。 この恐怖に。この恐怖に怖がり、進めなくなる自分に。大切なものがあればあるほど。 ヴィヴィオ……と、自分が母親になることを決めた少女の名前を口に挟んで、それが巨大な壁のように、事実だ、というように圧し掛かるような負担を感じた。周りがやけに暗くて、ちょっと暗い考えになるだけでここまで感じるなら本当に自分は弱いらしい。 「……ただ、真っ暗な世界にいるだけ、なのに……なんでここまで暗く考えちゃうんだろ?」 この世界がマイナスの考えをまるで誘ってくるかのように。 ……この世界?、と私の無意識の考えがそういった事に深く納得してしまう。夢でもないここは、もう別世界としかなのはには言う言葉を持っていない。 ――言葉は、思いを状況を、ありとあらゆる何かを伝える代弁。 言葉だけでも伝わらないものがある、と思っているのはそこにある。言葉は分かりやすい。言葉が持つ意味は非常に分かりやすくて、さらに意味を端的に伝える。それだけにそこにすべての意味があるか、というレベルに置いて間違っている。言葉は分かりやすく抽象化した代償として、完全に思いを伝える事は出来ない。 言葉は不可逆なのだ。決して、自分の思いがそのまま相手に伝わる事は無い。 そして、言葉はその人のボキャブラリーに応じて幅がある。 なのはにとって、この世界を「現実」でも「夢」でもないとするなら、別の世界、という言葉でしかそれを表現することは出来ない。 もっとも、偉く陰惨で暗くて、味の悪い世界なのは間違いない。 そんなことを思いながらもなのはは、暗い細い道を一歩一歩と歩き始める。 例えどんな状況でも進む事は忘れない、それは彼女がなのはゆえか、あるいは本能がここからの脱出を願っているのか。どっちでもいいのかもしれない、ただなのはは前へと進む。 魔法を使えるか、と思ったがほとんど使えなかった。飛行魔法の類も無理。まるでここが虚数空間のように魔法を受け付けなかった。あるいは、この世界ではなのはが知っている魔法の物理法則が適用できないのか。 魔法も極論は科学。法則や数式から出来る。そして、その数式は法則は、なのはが知っている世界でのみ有効なのだ。なのはは難しいことはよくわからなかったが、魔法が使えない事実はこの世界だから、と結論だけは分かっていた。 それは電子レンジの仕組みを一々知る必要は無いのと同じように。用は電子レンジでモノが温められることを知っていれば使えるのと同じ。この世界で魔法が使えないことが分かればいいのだ。 だが、魔法が使えないことはさらになのはに、純粋に恐怖を感じさせるには十分だった。 怖い、怖い、怖い、怖い、怖い……魔法が使えなければ高町なのはは、20歳の、少女と言うには難があるかも知れないが……女性だった。 それでも何とか道を進み、進み……でも何も変わらない。 「怖い……怖いよ……ここ……」 必死にレイジングハートを強く握り締める。そうでもしていないと恐怖で自分がつぶれそう。 恐怖。それを友人に語る事を極端に嫌ったなのはは、それだけに自分しか信じるものは無く…… そして、道は突然終わりを迎えた。 小さな道は消え、変わりに現れたのは壁。横に長く長く長く……壁の向こうとこっち側を区切っているかのような壁。あっち側とこっち側で行き来が出来ないことが明確なほどの壁。 「か、壁……?」 なぜ、壁?と、なのはが思ったとき。 後ろから声が掛けられた。猪突に、今までそこに人の気配はおろか、何者もいるとは感じなかったのに。 本当に突然に。 「それは壁だよなのは。存在と消失の壁。現実世界と虚数世界の分かれ目。人がいる、といないの境目……」 「……えっ」 声に聞き覚えがあった。そして、自分を呼び捨てにするであろうことも。 でも、なぜあなたがそんなことを、いやそれ以前になんでここにあなたが……と疑いの目と 同時に安堵感と安心感と、何よりもの暖かさを感じて思わず声を上げてしまう。 ……自分ってこんなに好きなんだ、と思ってしまうほど。 「ユーノ君!?」 ユーノ・スクライアの声を聞いて、ここまでとは。 後書き ヴィヴィオが劇中で見つけた「じかんとそんざい」は「存在と時間(独 ハイデガー)」からです。 もっとも、存在と時間をしっかり呼んだわけじゃないので、中身は知りません。用は劇的効果です(ぉぃ さてと、病みあがり、もといブランクからの脱出を目的に書いた三部作になりそうなSSの前編です。 シリアス風にしており、その思想の元はD.C.Ⅱですね。あれも主人公の消失を描いています。もっとも、D.C.Ⅱとは根本的に違うのは消えてるのが主人公としているつもりのユーノじゃないってことでしょうか。 後は消失原因やら、消失に関する考察やら色々と、まあ元ネタだけって感じです。 2chのユーノスレかエロパロスレか覚えてませんが、そんな話題も(ユーノの消失でしたが)上がっていましたし、ちょうどいいかな、と思って復帰作として存在をテーマにしました。 魔法も、その原理があるなら科学だと思うんですよ、個人的には。 ミッドチルダをだから「魔法文明」と呼ぶのには反対だったり。原理が分からない謎の力だから魔法。リンカーコアとか、原理がわかっていたらそれこそ科学ですよ。 存在が消える。でも、存在が消えて、精神的にその人がいなくてもよい世界が構築できても、物質的には無理です。なので、ユーノ司書長(ヴィヴィオと一緒にいる方)の世界でとある方が消えて混乱になっているのは物質的な意味での混乱です。精神的にはいないのを当然と思っている。なんせ、存在が消えて誰も消えた存在を知らないんですから当たり前ですよね。でも、いた事実は残っている。 とにかく、ユーノ司書長の世界では誰かが消えている。 そして、高町なのは教導官は、暗闇が支配する世界で出口を探して歩いている。 なのはさんって、恐怖を恐怖と口に出すことが滅多に無いですよね。多分、事故の時ぐらい。 きっと皆がいれば大丈夫系なんだと思います。一人ではきっとか弱い少女(??)です。彼女の自信は彼女を支えてくれる人あってこそ。それになのはが気づいていて、それでも彼女は前線に出るんですから、空好きなんですね。というのがStS終了時の感想w まあ、あまり多くを語るのも何ですし。中篇に期待してもらうことにしてw それではw 私が空けていた(ネトゲしていた)間にWeb拍手ログが消えていたので、何か書いたのに、という方はもう一度やってくれると助かりいます。 PR |
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コメント |
最初はシリアスかどうかわからなったけど後のほうで一気に暗くなって少しびっくりしました;;
そう言われればなのはさんが怖いというのも中々ないもんなので余計ビビリました。 次も楽しみにしております。 |
いつも楽しく読ませて頂いてます。
オールドタイプの私はこのSSを読んで、DC2よりも先にONEを思い出しましたw 歳がばれるw 次回も楽しみにしています 【2008/04/0501:48】||まる#2945423975[ 編集する? ]
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今回は何かONEのストーリーが絡んでいる見たいですね。この場合『永遠』に囚われているのはなのは見たいですね。さて何故彼女が『永遠』を望んだのか?ユーノは何時思い出すのか?後編待っています。その後はSTSのもう一つの物語の更新を待っています。では。
【2008/04/0518:20】||セブンウィンズ#51120cac2b[ 編集する? ]
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シベリアで木の数を実際に数える羽目になったぜ。誤差0で数え切れないと出れない><
ちなみにドイツだと午前中に穴掘って、午後で埋めるを一年続ける羽目になったorz とまぁ、冗談はともかく。 今回は導入付近っぽいので、今後が楽しみです。 まぁ一人で正体不明の闇空間にいきなり放り込まれたら普通怖いわなぁ。道がはっきりしてるだけに余計認識が進んでしまうし。 ユーノはユーノで正体不明の恐怖(まだそこまで入っていない?)に追われてそうだし。 【2008/04/0604:02】||名無しさん#9361f54784[ 編集する? ]
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