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2007 12,30 01:02 |
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Web拍手を横の常時と、SSの一番下の二つに置いてみました。クドイような気がするので不評なら消します。 というか、Web拍手を置いてみて数日。そこそこ拍手があって実は感激w で。 たまには自分、ユーノ君主役から落とさないといけないなって思い立ったんです。 なんせ、カテゴリが全部ユーノ君とのカップリングですし。 別にそれが悪いとは思ってないけど、そもそも小説で固定キャラに傾斜すると、だいたいシナリオの自由度が失われやすいっていうことがある。用は特定キャラを使うために特定場所を使わないと『いけなく』なるとか。 ユーノなら無限書庫がその『特定場所』です。彼を描くのに無限書庫という特定された場所を使用することを強要されるため、シナリオの自由度が減るわけです。で、減ると用はマンネリという『シナリオの差異が小さい』状態になってしまいます。ユーノから離れたいのはそういう束縛度を減らすためです。ただ、もちろんユーノを出さないわけでも、また無限書庫と舞台として使わないようにというわけでなく、シナリオがその場所を要求する(たとえば、誰かが無限書庫に行くならシナリオが無限書庫を要求していることになる。逆にユーノを書くと無限書庫はシナリオにかかわらず必要性を持ち、シナリオがそれで束縛されるので駄目となる)ならいいわけですが。 とにかく、ユーノというキャラに傾斜してしまい、シナリオの自由度が減るのはまずい。そう思い、別キャラを主観としてやることにしたわけです。 で、まあクロノとエイミィさんの家庭日記(笑)なんて書けないので、エリオ君をメインにしようかなって思い立ったのが25日。ちょうど、クリスマスSSを書いていたときですね。ユノフェイを書いていましたけど、二人の関係からしてエリオとキャロは欠かせない。いや、クリスマスSSでは欠かしているんですが(汗 相互リンクをしてもらっている『蒼穹の青空へ』さんのところのMy familyもそうですけど、この二人はエリオ&キャロってつき物ですよね~いや、むしろパズルのピースのように必要(ぁ ただ、これは先ほどの『シナリオの自由度』ともかかわってくるので、どれだけそれを見せつつ、自由度を維持するか、で色々と考えてしまう部分もあります。あまりにもユーノ・フェイト・エリオ・キャロの必然性が増えると彼らがいないといけなくなり、シナリオの自由度が落ちますからね。たとえば、そうすれば必然的になのはの主演頻度が落ちることとか、六課関係のシナリオは無理になります。ユーノが六課にいないので、シナリオ上、六課の話ができないようになってしまうわけです。 まあ、そんなこと含めて妄想で、最初はあくまでもユノフェイ付属としてのエリキャロを考えていたのですが、それじゃあ結局ユノフェイでユーノ主役じゃないか、と思ってエリキャロを主役に置くことにしました。 というわけで「彼が愛したパートナー」です。続きよりどうぞ。 12月も末。 冬の寒い季節になり始め、そろそろ暖房を全館に入れた機動六課。 もっとも暖房とはあまり縁が無い前線メンバーではあるが、だからこそ寒いことは誰よりも感じていた。 そんなある日、エリオとキャロは2人そろってフェイトに呼び出されて。 「休暇、ですか…?」 「そう。休暇。明日、ライトニング分隊は休暇なの」 フェイトがエリオとキャロにホットミルクを渡す。 明日は何でも休暇らしい。エリオもキャロもJS事件後の小休暇(病院)はともかく、普通の休暇は久しぶりだった。あの時はちょうどキャロと一緒に休暇をしていて、それが途中で事件になって休暇が中止となってしまっていたけど、と横でフェイトの話を同じように聞いていたキャロも同じことを思ったのかエリオの方を向いて。 「あ、キャロ。休暇だって。よかったね」 「うん。でも、休暇と言ってもどうしよう、エリオ君?ああ、そういえばフェイトさんはどうするんですか?」 前回の休暇は結局、レリック事件のこともあってフェイトは普通に休暇をとっていない。 でも、今回はもう担当事件を持っているわけでもないために、フェイトだって休暇のはずなのだ。 2人ともできれば、フェイトも一緒なら3人で、と思っていたところは2人らしいのだが。 「ごめん。その日は私も個人的な用で……ああ、でもちょっと待っててね」 こそこそと電話と取り出した会話を始めるフェイト。明らかに怪しい。怪しい。 「電話の相手って誰なんだろうね、エリオ君?」 「うーんわからないよ。でも、スターズ分隊は普通に仕事らしいからなのはさんじゃないだろうし……」 しかも、わざわざ電話でこそこそとすることでもないだろうし……疑問は深まる一方の2人と尻目にフェイトは電話相手との会話を進めている。時々顔が赤くなるのはなぜだか、2人ともさっぱりだったが。 「うん。それじゃ、明日ね……その、 もう一人増えちゃうけど、それでもいいなら大丈夫だよ」 「良かった~ね、エリオ君?」 「あ、う、うん。でも、さっきの電話って誰なんですか?」 気になるのは自分の姉か、あるいは母親みたいな存在であるフェイトのことが気にかかるのか。 エリオ自身、そこら辺は良くわからなかったけど。そう聞かれたフェイトはなんて言おうか迷った末にこう二人に告げた。 「私の……先生、かな?」 とりあえず、2人のその相手を知って驚くのは翌日のことである。 「彼が愛したパートナー」(エリキャロ+フェイト&ユーノ) とにかく、その日、休暇の前の夜。眠らないといけないのに、エリオは明日について考えてしまっていた。 前の休暇で、自分はキャロのことを……どう思っていたのか。 パートナーとしてみていた自信もある。親友のように見ていた自信もある。だけど、それだけじゃない別の見方をしていないか、と問われてそれを否定できない自分もいる。 「……パートナーなのに、なんで僕は……」 なんで僕はキャロのことを好きになってしまったんだろう。 しかも、likeじゃなくてloveで。 あれから、キャロの笑顔を見るたびに今までよりも心が騒ぐようになって。 あれから、キャロのために、そんな理由で練習をがんばるようになった自分がいて。 あれから、キャロが何を思っているのか、ずっと不毛に考えてしまう自分がいて。 「あああ!!!もう、ううう……」 フォワードメンバーは2人1部屋。でも、男女であることを考慮してエリオとキャロは隣部屋。 本当にそれでよかったとエリオは改めて思う。こんな奇怪な行動を……ベッドでうなされて突然ちょっと叫んだり、と知られたら怖い。 それでも、思ってしまうのは、彼女が好きだから。 どうすればいいのか、この思いを言うことは、簡単なのかもしれない。 でも、パートナーとして、彼女にこの思いを伝えることが正しいのか。わからない。どうすれば良いのか。 彼女を守りたいと思って、練習に力を入れた。 誰かを守りたいとも思っても、その中心にあったのは……キャロだったから。 そう、パートナーと思っても、自分は相手をもっと大切な人として思っている。それが良いか悪いか。 「明日、どうすればいいんだろう……キャロと一緒に」 キャロと一緒に何をすれば、前はシャーリーが作った指針があったが、今回は何も無い。キャロに何かするのは自分で考え、自分でしないといけない。明日行くところは一応、ミッドの中心地でショッピングその他らしいが、それだってどうすればよいのか。 別にこういった思いを無視すれば、普通にフェイトとキャロと買い物ができるのに。 でも、それができるとは今のエリオには思えなかった。日に日に、彼女の純粋で優しいところを見ているエリオ。 そんなキャロに偽りを続けることも、またエリオには苦痛だったから。 しかし、明日が自分にとってのターニング・ポイントになる。それだけは間違いないと思えた。 「考えても仕方ない……自分ができる全力を、出さないと」 それは、彼への教導をした某教導官の信念だったりするのだが、エリオがそれを知るのはだいぶ後の話。 ――――――――――――――― この前出かけたときとは違う厚めの服を着て、上にコートを着て、冬の寒さ対策は、だいたい悪くない状態でエリオは部屋を出た。そして、ちょうどそれと同じくして隣の部屋からもキャロができていた。小さな袋を片手に。 「あ、そ、そのエリオ君。ど、どうかな、これ?」 「そ、その……良いと思うよ?うん、キャロに……似合ってると思うよ」 ちょうど出てきていたキャロは、自分の髪の色に合わせて、抑え目の服の上に黒のカーディガン・コートを着ていて、彼女の雰囲気を十分に出していた。その姿は一目見るだけで似合っているといえるのだが、エリオは一瞬その服に見入ってしまって、何もいえなかったのだ。恥ずかしいことに。 「そうかな……ありがとう、エリオ君!」 「あはは……こんなところから緊張しててどうするんだろ、僕」 「うん?何か言った?」 「いや、なんでもないよ。キャロ」 なんでもないなんでもない、と手を振って表現するエリオ。 今のままだと醜態をさらしそうで、足を急ぐ。後ろからキャロも走って横で一緒に歩き始めて ――って、これじゃ意味が無いじゃないか! そうは思っても、ここでさらに走っても怪しまれるだけだ。そう思ってキャロのほうを向く。 キャロのほうは手元の時計を眺めていたみたいだった。 「エリオ君、いきなり急ぐから走っちゃったよ?」 「あ、ご、ごめん。でも、そのもう時間が」 「うん。私も急がないとって思ってたの。だから、急ごう、エリオ君?」 キャロはこと普通のようにエリオの片手を握って走り出す。 えっと、これって?ええ!?、エリオの心中が驚き・驚愕と、いきなりのキャロの行動に驚いていたがそんなこと知る由も無いキャロは笑顔で走る。 エリオは、まあ心の中から頬・手まで真っ赤だったことは語る必要もないかもしれないが。 その二人を見て、フェイトが微笑ましくなることも、また、いつもありそうな光景。 ――――――――――――――― 機動六課は首都の外れにある。 そして、今日、エリオたちが行くのはクラナガンの中心地。 前回は公共機関で行ったところだったが、今回はフェイトがいる。 なので、フェイトがわざわざ改装して四人乗りにしていたスポーツカーで、エリオたちは中心地まで向かった。 改装費用は「給料3か月分」と苦笑しながらフェイトが言っていたのだが、執務官の給料を知らない二人ではそれなりに高そう程度だったが、本当は……笑っているフェイトだけが知っていた。 車は首都の中心街の近くパーキングで止まった。 なんでも、中心地の「マリエッタ」とかいうカフェで待ち合わせらしく、そのカフェに三人は向かった。 「ここが、その待ち合わせ場所ですか?」 エリオたちの目の前にあるのは中心街の近くにあるもののそれほど目立ってもいないごくありふれたお店だった。 むしろ、待ち合わせに使うならそこそこ目立つお店にすればいいのはずなのに、と疑問もあったのだが 別の意味で、このお店は目立たないものの……雰囲気は独特だった。なんというか、空気が似ているのだ、六課に。中に入るとさらにそんな感じで。 「ここは、管理局の御用達でもあってね。キャロのフリードもここなら普通に出してもいいよ」 「あ、そうなんですか?」 「ただ、ここから出るときには六課に戻さないといけないけどね」 竜召喚師は、転送魔法のエキスパートでもあるという、キャロの言葉はキャロ本人にも当てはまる。 戦闘レベルの魔法としてのトランスポーターはキャロには無理があったが、日常で使う分にはトランスポーターが使える。用は発動時間が長いのだ。エリオも何度かキャロがトランスポーターでフリードを呼び出しているところを見ている。そのとき聞いたことは、召喚でもフリードを呼び出しできるらしいが、戻すのは無理らしい。 トランスポーターの練習にもなるし、とも言ってたっけ。と思い出す。 キャロが召喚でフリードを呼び出し、キュルル~と元気な声を出して出てきた。キャロと離れていて寂しかったのかキャロの周りを回って、その後エリオの目の前に来て。 「キュル?」 「フリード、元気にしてた?」 「キュル~!」 してたらしい。六課でまだ1時間ちょっとしか離れていないのでそんなものなのかもしれないが。 とそんな光景を見ていると目の前にオレンジジュースが運ばれてきた。キャロも同じもので、フェイトだけがアイスコーヒー。 もちろん、頼んだ覚えは無いのだが。 疑問に思ったのと同時に後ろから男性の声が聞こえた。とても優しそうな、声が。 「せっかく、待たせちゃったからね、お詫びにと思ってここに電話して用意しておいてもらったんだけど、どう?」 後ろを向いて見えたのは長いブロンド調の髪。黒い髪縛りで縛ってあるようで全般的に翠でコーディネートしている服はさっぱりとした印象がして。 エリオはどこかで見た人だ、と思ったのだが思い出せない。確か任務中に…… そんな沈黙を破ったのは、フェイトではなくキャロだった。 「えっと、アグスタで会ったユーノ先生、ですよね?」 「あ、えっと……キャロ・ル・ルシエさんだね。まあ、それ以来なのかな、君たちとは」 そういわれてやっとエリオも思い出す。 アグスタで古美術品の鑑定のために呼ばれていた考古学者さんで…… 「フェイトさんの幼馴染のユーノ・スクライアさん?」 「そうなるかな。エリオ・モンディアル君。そのオレンジジュースはおごりだから飲んで良いよ。 フェイトのそれもね」 「うん、ありがとうユーノ。それにしても別に待ち合わせまだ7分前だよ?」 「君より遅れたのは間違えないだろう?」 「それはそうだけど」 待ち合わせ、ということは今日、一緒に周る人はこの人なのか…… どことなく、ユーノのその雰囲気は今までの、エリオの知っている大人の男性、グリフィスやヴァイスとは違い温かみと優しさの両方があるような、悪く言えば男性らしからぬような雰囲気があって。 そんなユーノは、とりあえず椅子に座ってエリオとキャロを見る、と。 「エリオ君にキャロさん、でいいかな?」 「あ、別にさんをつけなくても……ユーノ先生の方が年上ですし」 「僕に先生なんていわなくて良いよ、僕はそういわれるの苦手だからね。 そういうなら、キャロ、でいいかな?」 「はい!それで良いです!」 「エリオ君も、呼び方変えたほうがいいかな?」 キャロから話を自分に振られて、どうしよう……といきなりだったせいで何も考えてなくて困ってしまう。 なんて呼べば良いか、といわれても。この人に呼ばれるなら君でも間違いなさそうな気がするし。 でも、なんとなく、この人にそう呼ばれるの、自分はいやな気がした。 ――なんでだろう、自分でも良くわからないけど。 「あの、できれば名前をそのままで」 「うん。なら、エリオ、でいいね?」 「はい。ユーノさん」 そう言って、こくん、とうなずくエリオ。その様子がおかしくて思わず笑ってしまうフェイト。 なんというか、兄と弟に見えて仕方ない、というのがフェイトの心の内訳だったり。 微妙に似ているのだ、二人の雰囲気が。 そんな、偶然が生んだ4人の休暇は、始まったのだった。 ――――――――――――――― とにかく買い物、というわけでカフェから出た一向は、ショッピング・タウンに来ていた。 日常品を買う必要が無い(官給品)四人なので、こと家電機器や音の張るもの、宝石などを見て回って今は。 「うん、キャロにはこれも似合うかな?」 「そ、そうですか?フェイトさん?」 服を見てフェイトとキャロはご満悦。基本的に服への興味などが薄い二人なのだが、それはそれで自由にのんびりと選べるようで。今はフェイトがキャロの服を選んでいた。 ちなみに、その前はユーノがフェイトの服を選ばされる(本人談)光景を見ていたエリオは、ユーノが押し切られて服を探していていたところよりもフェイトが珍しく強引にユーノに選ばさせていたことで、そんなフェイトを初めてみたためか、予想外の行動をされてあっけに取られていた。 「女性っていうのは、なんで服でこんなに時間をかけるんだろうね」 「男性でもかける人はかけるそうですよ、ユーノさん」 もちろん、この二人がその手のものに時間を掛けるタイプでないことは言うまでも無く。 エリオとユーノは少しはなれた通路端にある椅子に座って一休み。一応、それなりに寒い。通路で目の前にお店の入り口。こっちは外なのだ。 つまり、キャロの服をフェイトが真剣に選んでいる最中は正直、暇だった。だからだろう、ユーノもエリオへ話しかけてきた。気になることもあるみたいだ。 「そういえば、エリオのパートナーがキャロ、なんだっけ?」 「え、ええ、そ、そうですけど……」 二人の視線は、話しの相手のキャロに向けられた。 服を選んでいるキャロは歳相応の表情を浮かべていて、これだけ見るとまさか彼女が激戦を潜り抜けてきた、とは思えないだろう。エリオにだって見えないのだ。一緒に戦っていても、目の前の彼女は彼女なのだ、と再認識してしまう一方で。 いやいやいや、今はそんなこと、とユーノのほうを向きなおすと、そこにはまるで回想をするように懐かしそうな目で自分とキャロを見ているユーノがゆっくり語りかけてきた。 「パートナーかぁ……昔、僕にもパートナー、と多分呼べるような人がいてね」 「そうなんですか? でも、今は司書長さんなんですよね?」 「まあ、そうだね。自分より彼女は魔法の才能も素質もあってね……二人を見ると思い出すよ。 そういう関係、大切だと思うよ。パートナーという言葉、支えあいの関係。 でも、そうはいっても……相手が、女性だと色々気遣いもあるだろうし、ね?」 自分もそうだった、というかむしろあまり思い出したくない過去もあるよ、とユーノが並々ならぬ雰囲気を漂わせる。過去に相当嫌なことがあったようだと、エリオだってわかる。彼も前のスーパー銭湯の一件(StSサウンドステージ01より)を思い出して……気遣いって大変だ、というユーノの言葉にまったく持って同意だったから。 ユーノはのんびりと昔のことを思い出して、目の前の彼らを思い出した後で。 「まあ、気遣い以前に君も僕もパートナーを……まあ、それは君自身が決めることか」 「え、何の話ですか?」 「なんでもないよ。そうだね、一言言えばパートナーといっても永遠じゃない。離れてみてわかってしまう思いっていうのもある。僕は……そういう意味では後悔しているんでね。それなら、あの人をいっそうのこと自分にとって大切な人って言うべきだった、世界で一番大切な人って……過ぎた話だけどね」 パートナーも永遠じゃない、そうだ。永遠じゃない。 エリオだってわかっていたけど、わかっているつもりだったけど。パートナーでいつまでいられるのか。 それは彼自身にもわからないのだ。 その不安は。 そして、何より今日、自分が朝思っていたことをわかっていたように言うユーノ。 「まあ、今は君とキャロはパートナーなんだから、そう暗くなることもないよ。 ほら、フェイトも買い物が終わった……のかわからないけど、来たし」 エリオが向いた先にはこちらに向かって歩いてくるフェイトとキャロ。手元にはちゃんと袋があって、服なども買ったようだ。 なんだか、様子が変なのだが…… 「なんで、途中でどこかへ行っちゃうかな、ユーノ?」 「へっ?いや、フェイトたちの買い物の邪魔になっちゃ悪いかなって……」 「私、ユーノに服選んでもらったけど、ユーノの服は選んでないよね? それと、今まで買った服、全部私の部屋に転送してくれる?」 「いや、転送とかはいいけどというか、問題ないけどさ。 というか僕はべつにって、あのーフェイトさん、手を離していただけると……」 転送に関してはトランスポーターをすぐにユーノはかけた。 ユーノの得意魔法のひとつであるトランスポーターは、六課という管理局重要区画のフェイトの部屋に直通ですぐに繋がった。本来、この手の場所への転送は妨害がかけられるのだが、ものの数秒でプロテクトを解除しているあたりはユーノの能力ゆえか。エリオもキャロも、そこまで緻密で早いトランスポーターは見たことが無い。キャロはおろか、フェイトや、いやルーテシアだってここまで上手いトランスポーターはできないだろう。 だって…… フェイトの手はがっちりとユーノの手をつかんでいた。これで転送したのだ、これで。 ただ力の問題は、書庫勤務と前線勤務の差なのか、まったくフェイトの手を離させられないユーノ。 むしろ、それで普通にトランスポーターをかけた才能を評価するべきか。 いきなりすぎて、キャロもエリオの隣まで来てから二人の成り行きの推移を見守っているぐらい いつものお姉さんというよりも、一人の女性としているフェイトと参ったなぁ……と困り果てているユーノが印象的だったようだ。 「いつも書庫の公文書やら、資料やら、時には勉強も手伝ってもらっているんだから、たまには私もユーノのために何かしてあげたいの?わかったなら、来てね?」 「……わかったからわかったから。だから、手を引っ張るのはやめてくれない?」 「あ、ごめん。エリオもキャロもちょっと私はユーノの服探すから、二人でいてくれるかな?」 二人、っていうとやっぱりキャロと、だよね? フェイトがユーノを連れて行くなら、間違いなくそうなのだが。 しかもエリオとキャロに有無を言わせずフェイトはそのまま行ってしまった。 本当にいつもの彼女らしからぬ行動だ。もともと、フェイトはユーノと出かける予定だったらしいので、むしろ悪いことさせてしまったような気がするのはなぜだろう。 「エリオ君。私たちどうしよう?」 「ど、どうしよう。でも、多分すぐ戻ってくるだろうから、待っていようよ」 なんとなく、いや自分の勘が正しければ、フェイトさんが選んだ服でユーノさんが難色を出すことはなさそうだ、とエリオはさっき話して変な同一感を持ってしまったユーノの性格を想像して予測した。 実際にユーノが拒否することは滅多にないので、エリオのよみは当たっているが、フェイトがその最初の服を選ぶ時間までは予想してなかった。 「エリオ君、フェイトさんって……」 「僕もあんなフェイトさん始めてみたかも」 慌てていたり、急いでいたり、時には思いっきり彼女らしからぬ行動を取っていたり。 自分たちがよく知るフェイトは、ああは慌てないだろう。 それがいったいどういう意味か、わからないわけではない。でも、それを意識するとキャロのことも意識しそうで、無意識で避けたいような気持ちもあった。 でも、もともと、自分は今日…… 「ね、ねえ?エリオ君?」 「な、なに?キャロ?」 突然、キャロにしては大きな声で自分にいきなり話しかけてきた。しかも、聞き返すと沈黙で。 沈黙で。 沈黙で。 その沈黙が怖い。 沈黙であることが怖い。まるで、自分たちの間は沈黙しかないみたいで。 ふと、キャロは先ほどの大きな声とは違って非常に小さな声で、ゆっくり言う。 「そ、そのね。このごろ、寒いよね?」 「もう冬だから寒いね。キャロもちゃんと防寒具着ているし」 「うん。寒いもん。それでね、その……エリオ君にプレゼント!」 キャロが出してきたのは、朝持っていた小さな袋。 両手で袋を持ち上げてエリオの前に差し出してくる、これは受け取ってって言う意味なのかな? とりあえず受け取って中身を見てみると…… 「これは……マフラー?」 形はお世辞にも良いとはいえない。だが、それが意味するのは…… 「キャロが編んでくれたの?このマフラー?」 「そ、その。なのはさんとフェイトさんが空き時間に編んでいるのを見て、その教えてもらって作ったんだけど あまり上手く行かないで、その変だよね?ごめんなさい」 変、なのかもしれない。歪かもしれない。だけど、だけど。 今持っているものは単なるマフラーじゃなくて、キャロが編んでくれたマフラーで。だから。 「そんなこと、ないよ。うん。それにキャロが編んでくれたマフラーだから……嬉しいよ。 あ、でもごめん。僕、何もキャロの為に用意してなくて…… キャロは僕の大切な人なのに、何もできなくて。今度、必ず何か用意するよ!」 そこの、大切な人、の変わりにパートナーと言っても良かったかもしれない。 でも、大切な人、と言いたかった。さっきのユーノさんの言っていたことも含めて、と。 「ううん。いいよ。私、エリオ君が喜んでくれたらそれだけでいいから エリオ君が喜んでくれるのが、私、嬉しいから。その……私もエリオ君のこと、大切な人だと思ってるよ」 大切な人、それがパートナーを超えた意味なのか、それとも何なのかわからない。 だけど、その意味は、確かに今までとは違う何かだとは思えた。二人にとって。 「ありがと、キャロ。暖かいや」 「がんばったんだよ、それでも?」 「うん。本当にありがとう、キャロ」 二人の距離はちょっぴり縮まって。 今までのパートナーから、ちょっぴり進んで。 そうエリオには思えたから。だから、進む。自分も。 「ほ、ほえ……?!」 「えっと、その……ありがとう。だから、そのここ、寒いし」 ショッピング・タウンだけに通路は普通に外と呼べる場所だ。それだけにだいぶ寒い。 エリオはキャロに密着して、寄り添いあった。それが自分にできる限界。恥ずかしさも、何より思いを伝えることが怖い、自分の曖昧な限界。 「う、うん。暖かいよ、エリオ君」 「それならよかったよ」 二人で寄り添って、そうしていた二人は寒く感じなかった。 横に大切な人がいたから、なのかもしれない。 自分が大切と思える人、背中が温かくて、寄り添いあっているところも温かくて。 それ以上に、互いが互いに大切だと思えることに温かくて。 それは、パートナーをちょっぴり超えた温かさ。 ちょっぴり、本当に少しだけ超えた、そんな。 「二人そろって寄り添いあいかぁ……自分でもそんなことできなかったんだけど、エリオは決めたのかな?」 買い物が終わって、さっきいた場所へと戻ってきてみて、そこに二人が密着して寄り添いあっているのをユーノは見つけた。自分となのはの関係は、結局何もいえなくて友達のまま。目の前にいる二人がまぶしく感じるぐらいだ。 「うん?なに言ってるの、ユーノ?」 ユーノの不自然さに気づいたフェイトが問う。 買い物やら何やらでフェイトはユーノと頻繁に外出している。互いにこれも「親友」としての境界を越えた覚えは無い。二人とも、まだまだ親友なフェイトとユーノだった。 「ううん。なんでもないけどね。 にしても、僕のためとは言っても毎回付き合ってもらって悪いようななんというか」 「私はね、いつもお世話になってるユーノに相応のことをしようって思っただけだよ? ジュエルシードのときから、ずっとユーノはがんばっているけど それに対する相応したものもらってないでしょう?」 「ジュエルシードはそもそも僕は見つけたもの。闇の書事件では必要性があったかどうか。 それでも、そう思ってくれるなら、嬉しいけど」 「助かったと思っているからの恩返しだと感じてくれると私も嬉しいかな?」 まったく、昔のパートナーも気遣いの絶えない女性だったが、目の前の女性もまた、やっぱり気遣いの絶えない女性だ……と、ユーノは思った。まあ、それもいいのかもしれないが。 「まあ、これも……悪くはないかな?」 パートナーと一緒にいられなかった彼も、また新しいパートナーを見つけられるのかも、しれない。 見つけようとも思わなかったのに。エリオとキャロの温かそうなそれを見て。 後日、エリオはキャロにお礼として手製の髪飾りをプレゼントしたそうな。 フェイトに教えてもらって作ったそれは、その日以来キャロのお気に入りになったとかならなかったとか。 もちろん、キャロにもらったマフラーはしっかり使っているエリオが目撃されたり。 後書き エリオ君メインだけど、やっぱり出てきたな淫獣、もといユーノ(ぁ 最後、無理やり終わらせた感がありますが、これで落ちを作るのが難しそうだったことがひとつ。 もうひとつは、あまりエリキャロと直接は関係ないユーノ&フェイトを出すのは難しいと判断。 話が区切り区切りなのは、まあ試行錯誤というか、初めてユーノ以外の話を書いたので、どうしても上手く行かないw なお、伏線が一杯あるぞ(トランスポーター系その他)という方、それはそれ。 エリキャロは続編の予定もあるので。その伏線ですよ、だって、今のエリキャロはパートナーの境界線をちょっぴり越えただけで、単なる子供の背伸び程度ですし。これをエリキャロと呼べるか、私にも謎です(なら書くな というか、裏で交差するユノフェイは、クリスマスの話とは一切関係がありませんw 自分が書いてユノなのでは、普通にパートナーだったころを思い出すなのはがいるわけですが、こっちではその気配は今のところゼロ。 というか、エリオ君は、きっとユーノにパートナーがいたと聞いても、あの悪魔だとは思わないだろーなー(伏線をここで言うな いや、だから暗礁に乗り上げていた前後ぐらいが変な感じです、ごめんなさいw 返答 上条厚狭様 三人称の難しさを改めて感じました。一人称はザッピングが面倒なので当分やらないことにしました。とりあえずは三人称。一人称だと、その人が見えないものは見えないので面倒なんですよね。 今回、エリオメインでユーノがサブぐらいに見えてくれると良いかなって思います。 どうでしょう? 白ぅ神様 一人称変化が無いって、いうのもありますよねー一人称だと、その人の周りばかり強調されますからね。 まあ、三人称でも似たようなものなんですけど。今回の、エリキャロに見えるかな? セブンウィンズ様、ご指摘ありがとうです。 エリキャロ+ユーノ&フェイトで書いたわけですが、ユノはやの関連は、仕事かなって思います。部隊長として情報資料の請求その他はしないといけないでしょうし。でも、無限書庫だと偶々来ていた陸の人(レジアス中将)と会ったりして。レジアス中将って良い人だと思うんですがねー 後、Web拍手で希望カップリングを書いてくださった方、できる限りかなえます。というか、意見の中にエリキャロを要望していた方はさっそくになるのかな?w エリキャロに見えれば、ですけどね。 エリオ主観になりすぎたかな、今度はエリキャロの視点相互変更で書いてみます。 シナリオ自由すぎて、キャロの行動が突然すぎたw 追伸 Web拍手で、某スレで投稿された方ですか、と尋ねてくれた方、多分クリスマスで酔っ払った、のだったら私です。それで、こっちのと同様の誤字で、何を間違えているのか、メールかWeb拍手で教えてくれるとこちらとしても修正したいと思います。サイトを正式に作る関係もありまして、修正しておきたいので。 誤字に関してはメールで一気にってほうがこっちは楽ですけどね。 PR |
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コメント |
エリオとキャロだぜぃ。
いややっぱりいですねー、なんか。 最後のほうのキャロの「ほ、ほえ・・・?」とかかわいいです;; あーなんかエリ×キャロが描きたくなってきちゃうじゃないですか;; 年賀状を書かないといけないのに・・;; あ、エリキャロには十分見えますよー。 |
エリオ×キャロに十分見えますよ。
あと、キャロが突然な行動をとるのはよくあることだと思いますがw←偏見かなww 僕は年賀状はさっきおわったところなので一息ついてますw それでは一日ほど早いですが、今年もお疲れ様でした。来年も無理をしない程度に頑張ってください。 ではでは^^ノシ |
お子様カップルはやはり可愛らしいですね。まだまだ本当のカップルには成るには時間が掛かりそうですが・・・。それ以上にユーノとフェイトのカップルは時間が掛かりそうですが・・・。コレってフェイトの片思いですよね!?ユーノはフェイトを友人としか見ていないようですし・・・。本年も今日で終わり、来年も宜しくです。
【2007/12/3107:38】||セブンウィンズ#2aa022e1cc[ 編集する? ]
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