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2008 12,25 23:59 |
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クリスマスにpromiseが間に合いそうもないので、別にクリスマス用SS。 結局、私はユーなの派だよね、書いた作品の数的な意味で^^ 時間が無いというだけあって、即席で作ったため、あまりわかりやすいかは疑問視ですが ヴィヴィオ視点があるSSを初めて書いたと思うー^^www カップリング ユーノ×なのは 時代設定 StSより5年後(新暦80年12月) クリスマス 真夏の夜の夢様の機動六課日誌Ⅱに参加させてもらいました。普通はバナーを張らない私ですがまあせっかくなので こんな感じで、よろしくお願いいたします。というか、自分の作品が凄く心配になるような人たちのラインナップに緊張というかなんというかw クリスマス。冬の時期にある行事といえばそれまでである。 実際にイエス・キリストの誕生日は12月25日ではなく、春ごろという説があったりして、誕生日に関して細かいことは一切分かっていない。 そもそも、イエスに関してはキリスト教やその母体であるユダヤ教、さらにはユダヤ教からの波形として生まれたイスラム教でも預言者扱いだ。 宗教に関係なく重要な人間として考えられるのは、あらゆる宗教にこのイエスの存在が強く残っているためだ。 まあ、そんなことを知りたい人など、本ばかり読むような無限書庫の司書長でもあるまいし、ほとんどいないだろう。 クリスマス、という話を最初におかーさんに聞いてから5年。自分が無限書庫で調べたらでてきたのはそんなことだったし……と、もうちょっとファンタシーを期待していた“彼女”は、落胆したものだった。 ミッドチルダ・ザンクト・ヒルデ魔法学院。 雲が多く、雨も降りそうな天気な12月25日。今日が地球で言う『クリスマス』ということを知る数少ない一人としては勿体無い気がしてならない“彼女”ことヴィヴィオ・T(高町)・スクライアは、朝からずっと空ばかりを眺めていた。 朝の気温計は6度を指しており、もちろん日中は10度を超えていた。ミッドチルダがいくら寒い冬の時期で曇り空でも、この気温では“雪”が降るはずもなかった。 ヴィヴィオの“おかーさん”こと『なのは・T(高町)・スクライア』は朝、空を見上げて『残念だなぁ……』と言っていたことを含めて、ヴィヴィオはとっても残念な気がして仕方なかったのだ。 ちなみに“ママ”の呼び方は去年に卒業。今でも、時々ママとは呼ぶけど……それでも、おかーさんと呼んであげたいと思ったから。 一応、聖王教会のミッションスクール(教会の伝道を主とする学校)なのだが、生憎聖王の血を持つのにヴィヴィオは教会の聖書系の授業はせいぜい平均程度の成績で、ほかの……世界史や語学が毎回学年トップクラスなのに比べるとやけに低いほど、あまり興味が無いようだから、聖王教会とは関係ない地球の宗教行事を楽しみにしていても、悪いことかなーという罪悪感は無かった。 雪が降らないなら、曇っていても意味がないのにぃ……と愚痴りたかったが、クリスマスを知っている人などヴィヴィオの回りには家族と地球の関係者ぐらい。愚痴っても意味が無かった。 ヴィヴィオがそんなことばかり思っている内にも、今年最後の学校は終業式も終わり、成績の返却をしていた。これが終われば今日は午前中で終わり。クリスマスは無くても、年末年始はあるからこそ、回りの生徒たちも浮ついている様子。ヴィヴィオの家は年末年始はいつもおとーさんもおかーさんも忙しいので、お留守番なんだけど…… 「ヴィヴィオさん!ヴィヴィオ・スクライアさん!」 午前中で終わりだから、終わったらどうしよーかなー、と思案にふける。 そういえば、フェイトママは今日は休暇を取ったって話だったから、会って買い物に付き合ってもらおうかなー、ううん。はやてさんに付き合ってもらったほうがなんとなく、買い物のとき値切ってくれそうな気がしないでもない。 どっちかというと、フェイトママって値切るのとか遠慮しちゃいそうだよねー、とあながち間違っていないことまで考えるヴィヴィオ。 ……逆に値切れなくて困ってしまうフェイトに相手の方から値下げを提案する気がしないでもないが。 ヴィヴィオのお小遣いやちょっとしたお手伝いの“アルバイト”のお金を含めても、今日の買い物は少しばかり微妙なところなのだ。 だからこそ悩んでしまう。どうしようかなって。 だから、彼女の担任が名前を呼んでいても気づかないのも無理はないのだ。きっと。 と、名前を連呼していた先生はついに呼ぶのを諦めるとヴィヴィオの前にまでやってきて一言。 「ヴィヴィオさん!!」 「あっ、は、はい!?ええっ?!せ、先生どうかしましたか!?」 「……成績表です。なんなら、今すぐにでも中身を書き換えても宜しいんですよ?」 いえ、それはやめてほしいかなぁ……?と何も言わずに成績表を「ごめんなさい」のポーズで受け取る。 こういうときはきっと、誠意を示せば問題ないんだよ!と分かっているのか、それ以上は何も言わなかった。 というか、ヴィヴィオの担任が怖かったというだけの話でもある。 貰った成績表を開いて……とりあえず安堵するヴィヴィオ。 聖王教会の聖書に関しては、あまり自信が無かったのだが、今回は特に心配だったのだ。 でも、成績は平均より若干高い。予想外に好成績だった。世界史は今回は学年トップ。語学とミッドチルダ式魔法、選択科目だった情報管理も学年トップクラスの成績だった。 聖王教会、と銘を打ってはいるがミッドチルダ式が一般的になっている以上、魔法訓練も主なのはミッドチルダ式なのだ。 ――これなら、おかーさんもおとーさんも喜んでくれる……はず。 ぎゅっと、成績表を持った手に力が入る。 きっと、きっと喜んでくれるよね……と、そう願っていた。ヴィヴィオにとっては、とっても大事なことだから。 ――――――――――――――― ――コーヒーっていうのは、どうして苦いのだろうか。 とはいっても、苦いこのコーヒーにも大分慣れてしまった自分がいることに気づくと、なのは・T・スクライアは少しばかり複雑な笑みを浮かべた。 そんなことを考えつつコーヒーメーカーから入れたコーヒーを二つ手元のトレー(おぼん)に置く。 そのまま自分の仕事部屋のドアを開けて隣の部屋に入る。 本ばかりが大量に無造作に並べられたその部屋。もう大分この部屋にも慣れちゃって、最初に来たときに汚いと思ったことも忘れかけてしまうほどだった。この部屋は毎日片付けてもすぐにまたこうなるのだ。 ため息を一つぐらい落とすと、トレイを一旦近くの机に置くとその散らかった本を片付ける。まあ、明日になればきっとまたバラバラになっているのだろうけど、この仕事はなのはにとってもう日課みたいなものだ。 今でもちゃんと片付ける自分がむしろ、健気だと思えてさえくるから不思議だった。 「はい、ユーノ君。いつものコーヒーだよ」 「あっ、うんありがと、なのは。どれどれっと……」 その部屋の奥で今も事務書類とメールを同時に返信している彼、ユーノ・T・スクライアはそれを一旦止めると、なのはが持ってきたコーヒーに手を伸ばしてゆっくりと一口。 この瞬間が毎日、毎日、なのはにとっての緊張の一瞬である。 「……うん、美味しいや。やっぱり、なのはが入れるとなぜか僕が入れたときよりも美味しいんだよね。 同じコーヒーメーカー使ってるのにね」 「色々とお豆の配合とか、これでも気をつけているんだよ?なんせ、一応喫茶店の娘ですから」 えっへん、と少しばかり威張ってみる。ごめんごめん、とユーノもそういわれて謝る。無限書庫・司書長室のここ1年ほどのいつもの光景だった。 無限書庫司書長兼管理局公文書記録管理部部長ことユーノ・T・スクライアと 無限書庫司書長補佐官にして、管理局公文書記録管理部・情報保障安全管理課 実働部隊副部隊長のなのは・T・スクライアの、それはいつもの光景だった。 ことの起こりは2年前の今頃だった。 5年前のJS事件のときから分かってはいたことが現実のものになったのは。 ある日、なのはが教導訓練中に当然落ちたのだ。また全力全開でやりすぎたのか、と周りの人は思ったが実際には違った。 ……なのはの魔力値が教導隊として働くには難しいぐらいにまで落ち始めていたのだ。 なのはとしても正直、それを聞いたときにはやっちゃったかなぁ、とただそれぐらいしか考えられなかった。 ただ、魔力値の減少速度は大分落ちているし、日常的に大魔力を行使しなければ問題ないこともまた事実だった。管理局も教導隊から教育隊など、日常的な大規模演習を行わない分野への移動を勧めてはいたが、まさかここまで消耗とは予想外も良いところだった。 それとほぼ同時期、無限書庫も荒れていた。 JS事件時に、無限書庫から大量の機密資料が盗まれていたことが発覚したのだ。言うまでも無く、それはナンバーズの2番、ドゥーエの仕業であった。 本来、無限書庫のような巨大な空間で特定の資料を探すのは至難の業だ。しかし、無限書庫がある程度管理なされるようになれば話は別だった。ドゥーエは堂々と無限書庫に入って資料をコピーして盗んでいたのだ。 その書類の数、およそ1万。無限書庫が情報として有益になったと同時に、情報を狙う組織の格好の的になるのは見えていた。 それを誰よりも痛感していたユーノ・スクライア(当時)司書長は、管理局の中央理事会に組織改編を含めた大規模改革を要求しており、その審議が可決されていたのだ。 『無限書庫に公文書庫などの管理局の歴史的資料すべてを管理している部署を統合し、公文書記録管理部を設立。その責任者に現無限書庫司書長を当てる。同時に情報漏えいに関しては、公文書記録管理部の下に情報保障安全管理課を設け、諜報及び防衛のための実働部隊を用意する』とされたその組織改革が、である。 当時付き合っていたなのはとユーノ。 その二人が再び『パートナー』として集まることになるとは誰が想像できただろうか。 なのはは、その『実働部隊』にスカウトされる形で就任した上に、司書長の警護を兼ねた補佐官になる始末。ユーノとは言うと、その組織改革が完了した初日になのはに会うまで、なのはが自分の部下になっていたことすら気づかないほど。 それからいくつかの歪曲の末、結婚して今に至っているのだが、二人とも『親友』時代の癖でどうにも、夫婦のように話すことができないのは、もう仕方ないことなのかもしれない。 その『親友』としての二人が、既に十分夫婦のようでした、なんてことには二人とも気づいていないこと含めて。 ふぅ、っとコーヒーを飲んで一息を入れていたなのはがふとユーノを見つめる。 最初に彼と出会った時からもう15年の時が流れている。かつて9歳だった自分と彼も、今では24歳。 娘のヴィヴィオも11歳なのだから、かつて自分たちが運命の分かれ道に遭遇した歳を越えている。 じっと、見つめてみるとやっぱり彼は変わらないと思う。見た目は本当に変わったかもしれない。自分だって9歳のころと比べれば見た目も、考えだってきっと違う。 数年前まで、教導隊でしか自分ができることは無いと思っていたのに、今では無限書庫でのんびりと仕事をしている毎日。これはこれでいいかな、なんて思っている自分もいて、変わっていくものだとも感じているけど。 だけど。 やっぱり、彼も自分も変わっていないところは、変わっていないのだ。 「……?どうかした、なのは。僕の顔ばかり眺めちゃって?」 「あっ、ううん。なんでもないよ、ユーノ君。それと今日のお仕事は後3件分ぐらいだから、3時ぐらいには多分終わると思うよ。ほかの雑務はここの第一公文書管理課から地上の第七公文書管理課に引き継ぐ予定だから」 「うん。ヴィヴィオにもその時間を伝えておけばいいよね」 「大丈夫、それならさっき自分の部屋で送っておいたから」 伊達にお母さんじゃないんだよ、と鼻高々に宣言するなのは。苦いコーヒーを飲みながらだったので、顔は少しばかり苦そうな表情ではあったが。 ユーノが毎日仕事をする関係上、目を覚ませるためにコーヒーはブラックばかりになってしまった。なのはもそれに習ってブラックでこの頃は飲んでいるのだが、やっぱり慣れない。 これも、確かに一つのコーヒーの味わいからかな、とは思うのだけども。 「……やっぱり苦い」 「うん、何が?」 「コーヒーだよ」 いきなりの言葉にちょっぴり意外だったのかなとなのはがユーノの顔をさらっと見直すと、ユーノはなのはの片手をぎゅっと取る。 「ユ、ユーノ……その、いきなりそんなことされると恥ずかしいんだけど」 思わず、君をつけるのも忘れて顔を真っ赤にしてしまう。うぅ、これは恥ずかしい。例えこの部屋にほかに誰もいないとはいえ、一応この部屋の監視カメラは24時間で録画しているのだから。 後でこの部分は消しておこうと心に誓うなのはだった。 「そうかな?」 「そうだよ」 「そうかなぁ?」 「そうだよ」 「そうかな……?」 「うぅぅ……そ、それは確かに嬉しいけど」 二人の言い争いはなのはの負けだった。 ああいわれるとどうしても、自分はユーノ君には勝てない。結婚してから思ったことだけど、本当にユーノ君って意地悪だと思う。 周りはユーノ君のことを大人らしい見本とかいうけど、実際には意外と子供だと、こういうときなのはは強く実感するのだ。 「あはは、ごめんごめん。いきなり苦いとかいうから、ね。そういえば、ヴィヴィオへのプレゼントだけど……」 ――――――――――――――― その日の夜は特に寒くも無かった。 一応、最低気温は4度まで下がる予報が出たが、快晴。雨が降る気配などどこにもなく、つまりホワイト・クリスマスなどは幻影のようなものだった。 ユーノとなのはは、仕事を終えると途中でヴィヴィオと合流して一通りの買い物を済ませて家に到着していた。 ヴィヴィオはというと、合流したときにフェイトと一緒にいたというから意外といえば意外だった。というか。 『本当に二人揃っていることがさぞ当たり前のように腕を組み合ってるね、なのはとユーノ』が彼女の第一声だったためか、なのはは妙におどおどした様子のままだったが。 なのはとユーノの付き合い始めこそフェイトとはやてが多分に仕組んだことなのだが、その後の同部署のパートナー関係から結婚までの流れは予想外だったらしく、未だに二人とも『10年以上音沙汰無しだったのに、わずか1年で付き合い始めて結婚……?』という事実にはついていけなかったらしい。 ちなみにヴィヴィオの成績表を見て、ユーノは凄いねと褒めて、なのはは娘に負けた、と少しばかり悔しそうな表情ではあったものの、やっぱり揃って褒めてくれた。 夜の空は非常に寒い。氷点下でなくても4度は寒い人にとっては凍える寒さだ。 ――ミッドチルダ地上のスクライア家。 「うぅぅ……やっぱり雪は降らないのかなぁ……」 空をゆっくりを眺めても雲も無ければ、やっぱり無意味だった。 ホワイト・クリスマスはとっても嬉しいことだろうに。それは今年はないのだ。 なのははホワイト・クリスマスにやけにこだわっていた。 それは多くの理由があったけど。 「ねえ、ユーノ君?」 「なにかな、なのは」 ちょっと外を見てみよう、というなのはの提案に文句も言わずにベランダのドアを開けたユーノ。ふんわりと周りの家の光が幻想的にすら見える。世の中見方次第だと思う瞬間だった。 花火は大量の火薬の爆発という意味では、爆弾と変わらないはずなのに、あそこまで見え方は違う。 結局、見方次第だから。 なのはとヴィヴィオは残念そうに、そんな二人を眺めていたユーノは少しばかり微笑みながら。 「こういうときこそ、魔法の出番だと思わない?」 「魔法を便利道具扱いするのは間違っているんだけどなぁ…… それになのは、氷系統の魔法はリインやはやての分野でしょ?」 どっちにしても、雪は作れないだろう。氷は雪ではない。 ううぅぅと、唸るなのはを尻目にヴィヴィオはユーノの右側に寄り添うと抱きつく。 一瞬、重心のコントロールが崩れて倒れかけるが、そこはユーノの持ち前のバランス感覚で戻す。 「ヴィ、ヴィヴィオ?!」 「うふふ~おとーさんって、本当に暖かいよね?」 「……それはお褒めの言葉なのかな?」 「もちろんです!」 そういわれると、文句のつけようがない。ユーノも自分の性分としてそう言われると文句がいえないことをよく理解していたのか。仕方ないなぁ、という表情のまま抱きつきを容認していると。 ――今度は逆の方向からも。 「な、なのは?」 「そ、そ、そのね! 娘が良いなら、その……妻とだって、良いでしょ?」 昼の手繋ぎが笑えるぐらいに今度は耳からすべてが真っ赤ななのはだった。 結婚までしたのに、自分となのはは基本的に初心なのだ。恥ずかしい。だけど、してしまうような。 娘と妻じゃ意味が違う……のだが、ユーノはなのはの方も特に何も言わないでそのまま抱きついていた。 ユーノが真ん中で、左右にヴィヴィオとなのは。 とらいあんぐるハートにしては、確かになのはとユーノの子供だからヴィヴィオとの三人は三角形を描くけど……家族らしい光景だった。 ふと、ヴィヴィオの方から呟くような声が出てきた。 「クリスマスって、サンタクロースさんが慈善事業でプレゼントを配って回ったり大切な人にプレゼントをするんだよね?」 「……前半部分、誰から聞いたのか気になる言葉だね」 向かい隣のなのはも「あははぁ……はやてちゃんね」と恐らくそんな正しいようで間違ったことを言った相手に呆れるというよりも何を教えているのやら、といった感じだった。 もちろん、ユーノも同じだが。 そんなことも気にせずヴィヴィオは続けた。 「えっと、それでね……おとーさんとおかーさんとヴィヴィオの三人分のペンダント買ったの!」 抱きつくのをやめると大きなバックから小さな袋を三つ取り出す。ユーノとなのはとヴィヴィオ……三人分の。 ネックレスタイプのペンダントには、写真が入っていた。 なのはもヴィヴィオが笑顔で『あい♪』と持ってくるとほぼ同時にユーノから手を離していた。 「その、なのはママ……おかーさんと一緒の写真は一杯あったけど、ユーノパパ……おとーさんと三人で写ってるのはこれだけだったから」 ペンダントの中に入っていた写真を開く、と。 そこは機動六課時代の写真だった。ユーノも六課設立時には支持した一人なので、最後の日には顔を出しに来ていたのだ。クロノもカリムもリンディも含めて全員で取った写真の後に、なのはがせっかくだから、と個人的に三人で取った写真が一枚だけあったのだ。 このときは別に結婚しているどころか、付き合ってもなくて、ヴィヴィオとも『おとーさん』でもなんでもなかったはずなのに、写真に写っていた三人は笑顔だった。 ふっと、何か懐かしいものをユーノは感じた。それが何か、今当てることはとてもできるような気はしなかったけど。 でも、大切なものであることだけは、確かだった。 弱弱しい声のまま、ヴィヴィオが二人の方を見る。真剣な目で。 どうしてもヴィヴィオは言いたかったのだ。はやてから『クリスマスは大切な人に思いを打ち明ける日』と聞いてから。ずっと。 自分を助けてくれて、一緒にいてくれて多くのことを教えてくれて。 何より……自分を愛してくれた。あの人たちへ。 「その、えっとなのはママ!おかーさんって、呼び始めてからこう呼ぶことほとんど無くなったけど、ユーノパパもだけど……私の家族になってくれて、ヴィヴィオはとっても嬉しかったです!」 それは「好き」の気持ち。 いつもは恥ずかしいこと。ユーノもなのはも、いきなりのことでびっくりしている様子で。そうだよね、とヴィヴィオも思う。 ヴィヴィオもいきなりそんなこと言われたら、正直困っちゃう。それが分かるから。 でも、それがヴィヴィオの本当の気持ちだった。 呆然と二人がしている中、ユーノが先に言葉を紡ぐことができた。 「……ねえ、ヴィヴィオ。この写真を撮ったとき、君、僕になんて言ったか覚えてる?」 「ほ、ほぇ?」 今度はヴィヴィオがよく分からないといった様子でその表情をユーノに向けた。 なのははというと、そのときのことを思い出したのか、笑みがこぼれていた……涙を含めて。 「ユーノ『パパ』だよ。いきなりなんだもん、あの時は驚いたっけ」 「えっ、ええっ!? おとーさんのことを!?って、あれ正しいのかな?って、でも……」 「次会ったときには無限書庫だったから、ヴィヴィオも先生って呼んでたもんね」 ふふっ、と二人が微笑み合う。 ――えっと、ユーノ……パパぁ? あの日のその台詞のおかげで、散々ユーノとなのはは、はやてやフェイトに弄られたのだ。 一緒に写真をとっていたこともばれてしまい、本当に何も無かったのに詮索されてしまった。 あるいは、あの日のことは未来を予想していたのかもしれない。 と、事の真相を聞くと、とたんにヴィヴィオはあわててペンダントを回収しようとしたのだが、二人とも離すつもりはなかった。 「あ、そ、そのこの写真ごめんなさいぃ!?しゃ、写真はほ、ほかのに!?」 「い、いいんだよ、ヴィヴィオ。むしろ、よくもまあこんな写真を見つけてきたなぁって思うぐらいだし。ねえ、なのは?」 「う、うん。ヴィヴィオがこんなことしてくれたってだけで私はとっても嬉しいから……その、ありがとう」 雪は降らなくても、なのはの目から一筋の水は流れたのだから。それはユーノも。 そういわれると、ヴィヴィオも取り戻せなくなる。 ――泣くなんてずるいよ……おかーさんもおとーさんも。 ふとおいで、とヴィヴィオがユーノとなのはの間に入る。ユーノもなのはに挟まれるヴィヴィオ。 外にはお空とお星様。寒いけど、二人に挟まれたヴィヴィオはとっても温かった。 幸せってきっとこういうこと…… 天涯孤独のはずだった。 逃げ出した中で、運命の女性と出会って助けてくれて。 一緒の家族になって。 新しい家族が生まれて。 そして、クリスマスの日に家族の愛を感じて。 「「大好きだよ、ヴィヴィオ」」 「私も、大好き!おとーさんも、おかーさんも!」 ――――――――――――――― 「ヴィヴィオ、寝ちゃったみたい……11歳って言っても子供だね」 「その歳で君は無茶ばかりしてたけどね……子供だったって分かってくれたかな?」 嬉しそうな笑みを浮かべたままヴィヴィオが寝静まった頃、二人だけでリビングで話す二人がいた。 11歳の頃、なのはは瀕死の重傷を負っていた。 それは、なのはにとっては精神的な負担の終わりと同時に、身体的な負担の始まり。 そして同時にユーノにとっての精神的な負担の始まりだったのだから。 所詮、どれだけ背伸びしても二人とも11歳。子供だった。子供だったのに、ミッドチルダでは就職年齢が低いからっていう理由だけで、自分たちは無茶をしてしまった。 無茶をせずゆっくりと進めていれば、きっと違った道が今頃開けていたであろうに。 でも。 「でもね、こういう人生を送ったから、私はヴィヴィオと出会えて、ユーノ君と一緒になれたって思いたい、かな?」 「僕だってそう思ってるよ。でもね、過去のことは何度でも『もしも』と考えずにはいられないんだよ」 「もしも」、そうもしも。現実は未来を変えることしかできない。過去を変えるというのは「幻」にしか過ぎない。 過去は変えることができないもの。現実と幻の境界線はどこにも一意に存在する。それは絶対にして不可侵なものであって。 「ねえ、そういえば僕が一つだけ聞いていないことがあるんだけど」 「なにかあったっけ、ユーノ?」 気分が高ぶっているのかもしれない。自分で彼のことを呼び捨てで呼んでいる自分に気づいて、だけどなのははやめるつもりはなかった。 恋をして、恋愛をして、結婚して。その工程は一年であり、三年であり、十五年でもある。 彼のことを、あらゆる意味で好きだから。恋でも、愛でも、切れないほどの信頼感でも、友情でも、愛情でも。 こんなこといえたり、行動できるのは今日ぐらい。クリスマスはある意味魔力なのかもしれない。 「なんで、結婚したとき「高町」の名前を残したかったの?」 「……それね」 結婚するとき、なのはは姓に高町をどうしても残したかった。ユーノも深く追求せず結婚をしていた。 形ではなく中身が大事だから、その理由も特に聞いていなかった。 だけど、今思うととても気になっていたのだ。 ユーノ・スクライアとして、最愛の人のその行動が。 「ヴィヴィオは、その名前すら意味があったのか分からない。ヴィヴィオが自分の名前はヴィヴィオって言っただけで……本当に家族ができたのは、高町ヴィヴィオになったときで。 そのときのヴィヴィオの笑顔、ユーノは知らないかもしれないけど、ヴィヴィオの笑顔の中でもベスト5には入るね。さっきの笑顔を含めてだけど」 「だから、ヴィヴィオにとっての家族の意味になった『高町』を残したかったと?」 「もし、全部スクライアに変えたら、ヴィヴィオはきっと私との繋がりも無くなるんじゃないか、と思うかと思ったから。 ……取り越し苦労だったみたいだけどね」 だって、あれだけ嬉しそうにしているんだから。 結婚したときのヴィヴィオの笑顔も、きっとベスト5の一つ。ベスト5は全部甲乙つけがたい笑顔ばかりだ。 だけど、すべてに共通しているのは、ヴィヴィオがそれを本当に心の底から表現しているってことだ。 「そっかぁ……」 「もしかしたら、それでユーノに何か不安にさせたなら私は謝るよ?」 「そんなことはないけどね。でも、それが『高町』の理由かぁ。なのはらしくて良いけどね」 どこまで、自分以外の誰かのために。 彼女の目標も、願いも、すべては自分のためじゃない。自分のための行動はほとんど限られている。 その数少ない自分のために、なのはは僕と一緒にいてくれたのか。それともヴィヴィオのためか。 微妙に不安にはさせてくれる理由ではあったけど。 「あっ、でもね……ユーノと結婚できて、私はとっても幸せだよ? あなたは……私が始めて、わがままを言えた相手だから」 「わがまま?」 「アースラのとき。フェイトちゃんを助けるために転送してくれたでしょう? 私はこれでも、自慢じゃないけどわがままを言わない子だったんだよ……。ううん、ジュエルシード探しをしたときから、私の始めてのわがままは始まっていたのかもしれない」 彼はだって、迷惑をかけたくないと言っていたのだから。 一つの見方としては、それはおせっかいというべきお手伝い。 でも、見方を変えれば、それは彼を助けたいという一つの『わがまま』でもあった。 いつも他人のため、という思いの中で始めて生まれた『わがまま』は、彼のせい。 「そっかぁ。わがままね。それで?」 「ほえぇぇ?」 さっきのヴィヴィオのようにさぞ、予想外といった表情を浮かべるなのは。いきなり、それでと聞かれても何もいうことがなかった。 「それで、なのはの今はわがままは何かなってね」 「今の……そうだね、それはね……」 ふと、パジャマのボタンを外しながらなのはは思う。 彼は本当に人にわがままばかり言わせる。自分はいつも、良い子でいようと思うのに。彼といると、彼にだけはわがままでいたくなる。 「一緒に、聖夜を過ごそう?」 「……どういう意味かはともかく、夫だからね。喜んで」 ――――――――――――――― 後日談 後日、ヴィヴィオにユーノとなのはから渡されたプレゼントは年末年始に三人で海鳴に帰省するという家族旅行のプレゼントで、毎年年末年始は一緒にいられなかったヴィヴィオにとっては、最高のプレゼントだったことは言うまでもない。 同時に数ヵ月後にもっと別の、プレゼントが届くのは、また別のお話。 あとがき 構想30分。 執筆4時間という私が執筆した小説では最短の分類なので、構成とか誤字とかめちゃくちゃなのですが、どうでしょう? 家族愛と恋愛。 この話ではユーノとなのはは結婚済みなんですけどね。整理までに。 新暦75年 リリなのStSの開始 76年3月 最終回の部分 ここまで同じですが、サウンドステージイクスは無いことになっています(ただしヴィヴィオの司書設定は生きていますが) 78年4月 なのはの連続魔法使用の限界が教導隊をやれないレベルに。 無限書庫を含めて管理局の情報管理の一元化が決定。公文書記録管理部設立。 78年5月 なのはが教導隊から公文書記録管理部・情報保障安全管理課に転属、昇進(三等空佐) 79年3月 高町なのは、ユーノ・スクライア結婚 80年12月 本作品 まあ、どうでもいい設定といえばそれまでですw ヴィヴィオに「おとーさん」と「おかーさん」を使わせたかったのもあるんですが、一番は「なのは・T・スクライア」のTの意味を持たせたかったということが(ぁ 良くも悪くも4時間の作品なので、公開して後悔している気分満載ですw それではw PR |
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コメント |
なんか読んだ後、妙にヴィヴィオに愛着が(ぇ
というかユーのはいつからSっ気が強くなっ(ry 構想30分とか関係なく楽しく読ませていただきました。 次回作も期待しております。 それでわ~ |
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