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事前文 この二次創作は、リリカルなのはvividのアナザーストーリーです。正しくはパラレルワールドものに近く、背後設定に当サイトの「だって、家族ですから。」を使っているユーなの家族(恋人とかじゃない)設定前提なので、読む方は事前にそちらをお読みいただくことをお勧めします。 設定をvivid本編に近付けるために流用はやめました。普通にユーノとなのはは親友以上夫婦未満です(それって恋人じゃん、的な突っ込みはOKですがww ぶっちゃけ、24歳にもなって相手の一人もいないのに、(変態フェレットさんもとい)ユーノ君とは何もイベント発生しないなのはさんに対する一つのアンチテーゼ的なストーリー……なのかなぁ?(苦笑 いろいろと、本編とは背後設定が違うので、違和感があると思います。まあ、フラグはしっかり立てているんですけどね。なのはさんは。
また、作者はコミック単行本でvividを見ているので、最新話に対応する予定が全くございません。このプロローグもプロローグと打ちながらも打ち切る気満々です。これが長編形式をとるかは……まあ、感想次第です。
それでは、それらのことにご承諾の上で読みたい方は……リリカルでマジカルなアナザーストーリーの世界へどうぞ。
魔法少女リリカルなのはvivid another story プロローグ -0- 物語は何時でも二人から なのっ!
――次元の海と、その海に点在する数多の次元世界の数々。 ミッドチルダ、それはそんな次元の海に存在する“魔法”と呼ばれる技術が発達した中心世界。 そんなミッドチルダが数多の次元世界の間で共通の問題に対応するために生み出した組織を「時空管理局」という。
次元世界を超えた犯罪者を摘発し、“魔法”の名のもとに存在する数々の危険物、ロストロギアを管理、または破棄するために生み出された管理局。しかし、それらはいつも成功ばかりしているわけでは決してない。多くの「こんなはずじゃなかった」を生み出しながらも、ただ平和を目指して。
そんな中で管理局の中枢であったミッドチルダ地上本部に始まり、ミッドチルダや管理局システムそのものを揺るがした大規模次元世界間テロ事件「ジェイル・スカリエッティ事件」
“管理局システムの崩壊”という聖王教会騎士「カリム・グラシア」少将のレアスキルによる預言が現実となった場合に本局や地上本部が動き出すまでのあくまでも「時間稼ぎ」を目的として設立されたはずだった部隊、機動六課をその活躍で全世界……とは言わないまでも有名にし「奇跡の部隊」などという事件の当事者からすれば「過大評価」すら得て。 そんな様々なことがあった事件からも、もう早4年が経過していた。機動六課の解散と六課にいた人々も、様々な進路へと道を進めて――
その中にいて、機動六課の“エース・オブ・エース”の異名を持って呼ばれていた時空管理局教導官ことなのはも、また新しい自分と、新しい道を、共に歩く大切な“家族”と共に小さいながらも歩みを続けていて。 それは執務官として着実に、キャリアの道を歩み続ける彼女であったり。それは捜査官としてもう一度しっかりと勉強をしようと努力している彼女であり。そしてこの世の謎という謎を調べ尽くしたいと言わんばかりに遺跡の調査や遺物の発掘をしている彼でもある。
そして、それは同時に……彼女にとっての大切な“家族”の一人。愛娘と言ってもきっと本人でさえ否定しないザンクト・ヒルデ魔法学院初等部4年生の少女……“ヴィヴィオ”という名前を持つ少女の、ちょっぴりリリカルで、それでいてヴィヴィッド(生き生きした!)な物語の始まりの合図でも、それはあった……
――――――――――
新暦79年4月5日 第一世界ミッドチルダ首都クラナガン 時空管理局ミッドチルダ地上本部 中央転送ゲート前
時空管理局を設立したミッドチルダは、“管理世界”ではなく「第一世界」という唯一の呼称を持っている。実は管理局設立時加盟国はすべて“管理世界”という呼び方ではなかったのだが、当時の加盟国の大半はミッドチルダへの統合の中で消えていき、また管理局からの脱退をするなどしたため、現在この呼び方をするのはただ一つ、ミッドチルダのみだった。 もっとも、管理局誕生の地という名誉ある地位も、管理局中枢が次元の海へと移り、またJS事件において管理局地上本部が大打撃を受けた結果、その地位は相対的に低下の一途を続けており、“ミッドチルダの管理局”という関係はいつの間にか“管理局の一部のミッドチルダ”へと変わりつつある。すでにミッドチルダの時代は終わりを迎え、管理局という巨大組織がミッドチルダすら統括する時代へと変化しつつあるのだ。 その管理局中枢に、まるで細胞分裂を繰り返す生物のように貪欲に巨大化を続け、管理局システムとも呼ばれる管理システムを時空管理局という巨大な組織が運営するだけの能力があるのか、という内外の人的・その方針としての問題は別としても、だ。
閑話休題。
新暦も79年に入った4月5日。一般の人々にとっての次元世界との交差が小型の次元航行船があり、次元世界にある中央港と繋がっている次元港とも呼ばれる港なら管理局関係者にとってのそれは中央転送ゲート……管理局本局と地上本部をつなぐ転送装置群の周辺は混雑していた。
この時期、人事異動からもひと段落しようとしながらも引き継ぎも未だに残っている4月最初の土曜日。基本的に官僚的な色の強い本局や地上本部の後方本部などは結構お役所仕事なところもあり、この手の引き継ぎは長引く傾向にある。まあ、それが悪いわけでは決してないのだが……地上本部から管理局本局に向かう人々もいれば、同時に本局から地上本部へ演習の打ち合わせに来る人もいる。
管理局のことを役立たずと非難する人もいるが、今の平穏を支えるのに膨大な人員による日々の努力がある。そんな地道なお仕事の往来がここには存在するのだ。 と、まあ人それぞれ、そこにいる理由は千差万別ではあるものの、その人数は軽く数千、下手をすれば万に達する。それだけにこの中央転送ゲートと呼ばれる場所は同時転送数1500を誇るほどに結構広いのだが、それでも混雑はやはり避けられなかったらしい。
「もう……これなら、何処かで待ち合わせしたほうがよかったかも……此処まで混雑しているとは私も思わなかったし……前使ったときはガラ空きでこんなになんで大きいんだろうと思ったほどなんだけどなぁ……」
そんな混雑極まるゲート前で栗色の髪をサイドテールにして、地上本部の制服に身をまとっている、美女と呼んでも100人中100人が同意してもおかしくない彼女がつけている階級章は三等空佐のもの。 それが逆にその雰囲気とアンバランスなことは本人も気づいていないのだろう。周りが困ったように彼女を避けながら歩いているのもそんな理由だったりする。
確かに彼女がここを使う時はそんなに多くない。何と言っても転送ゲートを使って本局と地上本部を行き来すること自体がここ1,2年少ないのだ。使っても混雑していないときだったこともあり、これほど混雑するなどとは思ってもみなかった。
――それにしても、かな。
4年前、この中央転送ゲートはジェイル・スカリエッティによって爆破されてしまった。結果として本局の部隊の大半は次元航行船を使ってミッドチルダに向かう必要が出てしまったために救援が遅れた。徹底的な爆破はそこに何があったかすら分からないほどだったらしいが……にも関わらず今ではそんなことがあったことなど痕跡すら見つけることはできない。端のほうに再建したときに立てた記念碑があるという話ではあるが、こうも人ばかりではそれすら見つからない。
時の風化、あるいは変わらない世界などない……まるでそんなことを訴えかけているかのような光景。自分自身、あの頃からだって変わった自覚だってある。 変わりたい、などとは思いもしなかったのに。ずっとそのままが良いと願っていたのに。それでも時間は結局進むってことかなぁ、と彼女は考えに耽る、そんな思考の渦は終わりを見せずに回り続けて。
「まあ、考えても仕方ないっか……それにしても、あの人はどこにいるのやら……私でも流石にこれだけ多いと見つけるのも疲れるよ……ねっ?」
ちょっぴりのため息を付きながらそう呟く彼女。 今日、此処に彼女が探している人が来ると本人から通信で聞いて、ちょうど仕事も非番だったので迎えに行くよと張り切って言った建前、見つかりそうもなかったので先に帰ってましたということは難しいのだ。 そんな彼女は一人なのにも関わらず誰かに声をかけるように。
≪だから私は言ったんですよ、管理者(マスター)。この時期、ここは混みます、と……4度も≫
「あははぁ、ごめんごめん“レイハ”。此処に来たときはいつも思いっきり空いてたから混んでもそんなに凄いことにはならないと私、思ってて」
≪そんなだから、いつまで経っても天然ボケなところが治らないのですよ、なのは≫
胸にかけていた赤い宝石が少し光ると同時に彼女の耳に彼女よりも年上な風格を持つ女性の声が響き渡る。魔法を知らない人が見れば彼女だけが声を出しているようにも見える、そんな光景。 赤い宝石、栗色の髪の女性が『レイハ』と呼んだインテリジェントデバイス≪レイジングハート≫が『なのは』と呼んだその所有者でもある彼女に愚痴にも似た言葉を、4度、という場所では声をさらに強くして。どうやら呆れているらしい。デバイスに飽きられている女性、というのもどうなのだろうか。
そもそも、今日お休みである彼女が(デバイスであるレイジングハートを含めれば彼女たちが)ゲート前に来たのはとあるただ一人を迎えに来た、というだけでもある。 制服を着ているのも、本局に来るのに私服というのも浮くから。ぶっちゃけ、周りは制服一色なのでその判断は正しかったかなと思念顔で考えながらも視線はキョロキョロと忙しなく回す。 探すのは……彼、その数僅かに一人。 それは彼女にとって大切な家族の一人でもある。10年以上前から彼女にとっては。相手にとっても自分が家族なのかはわからないけど。 でも、毎日仕事に仕事を重ねた上でトッピングに仕事をまた追加したような、やっぱりワーカーホリックじゃないのかなぁ、と自分のことは棚に上げても言いたくなるほどの彼。 と、思わずそんな彼のことを考えてしまって、少しばかり笑みが零れる。でも、それはとある男性のことを考えてしまって恋する乙女と言うには余りにも達観してしまっている表情。
≪まったく……なのは、もう少し落ち着いて探したらどうですか。そんな積極性が10年近く前にあれば、あなたの人生観含めてもうちょっと違ったでしょう?≫
「ぐぅ……悪かったわね、昔からその手のことには鈍かったですよーだっ!だいたい、あの頃というか今もだけど、恋とかそういうことって私はさっぱりなんだから」
年上の女性、というよりかは世話好きの姉みたいなデバイスに探している時に小言のように痛いところを言われて、彼女も唸りながらも昔の自分を思い出して否定できないことにため息をつきたくなる。 彼女、まあ……あえて呼び方を決めるなら彼女のデバイスが言っている通りに「なのは」は恋とか恋愛ということに関しては、こと“全く”という形容詞を使ってもなお足りないほど無関係だと思い込んでいる節があったりする。
それなりの年齢になった時には流石にそんな自分はどうなんだろう、と結構悩んだりしたこともあるのだが一度そういった意識を全くしないで生活してしまうと結局直るはずもなく未だにどっちかと言えば恋などと言う事はしたこともない、はずだ。
「なのは」にとって恋愛などというものは、魔法という世界に関わった時にどこかに置いてきたままと言っても過言ではないと自分自身で断言できてしまうので今では殆ど諦めている。その代わりと言えば何だが、ちゃんと愛娘と言っても間違いがないほどにヴィヴィオは可愛がっているし、十分に充実した日々をしっかりと過ごしている。 そもそも、小さい頃の将来を考えた時に「お嫁さん」などという選択肢が存在すること自体、彼女の頭からは完全に抜けていたほどだ。
まあ、多分に仕方ないことであろう。そもそも、両親がいまだに新婚気分が抜けない二人なのに対して、身近にある恋人と言えば、もう互いを理解しきっているように信頼をし合っていた彼女の兄こと高町恭也と彼女の親友の姉でもある月村忍の組み合わせ程度にしか知らないのだ。 そして、あのカップルにして未だに結婚せず、そのくせもう夫婦のように一緒に過ごしているのだから、「なのは」を取り巻く環境がそもそも悪かったとしか言いようがない。 悪く言ってしまえば『彼女が恋をするようなことがない前例が多すぎた』と言うべきか。それこそ、魔法のような出来事が起きて、その中で恋でもしない限りには。
――そもそも、彼女の周りには一方向な「恋」と呼べるようなものはなく、むしろ純粋な相互の「愛」が充満していましたし……とレイジングハートもため息をつくかのような思いで諦めていた。 量産型どころかワンオフ物としてでも、世界最高レベルと言われる正体不明の超高性能インテリジェントデバイスにしても、この問題は投げたくなるほどらしい。
その「悪しき前例」の数々と、彼女の思い違い。 何より……恭也と忍のような信頼関係を持っているのに、同時にあの二人のような恋愛はしなかった“二人”のこと。その二人と似ているようで正反対な。そして、時と共に変わっていったそれが織りなす過去と今と未来と。レイジングハートでなくとも投げたくなる。 事実、“なのは”の親友でもある某執務官と某部隊長はその話を聞いたときにまず意味が分からず呆然と、第二声が全力でそんなバカな、と叫びだしたうえに最後には三人娘と呼ばれる親友三人組の中での「売れ残り」になるのでは、と恐怖したという……最後はあんまり関係ないが。 とにもかくにも、余りにも突然だった、「それ」はその当事者にしておそらく大した意味を持たなかったのだろうが、レイジングハートですらここまで突飛なことをするとは、と予想外だったのだ。
≪……あなたがその手の感情に苦心しているのは前からですしね。よろしいかと思いますよ、管理者(マスター)なのは。それに悩むことを辞めてしまうことよりはじっくりと悩みながらも出したひとつの結果に甘えるぐらいはいいでしょう? ただ、これからは事前に私に言ってほしいものです。一応、あなたの姉みたいに思っていただけている、と自負するのもあれですが、思っているのですよ?≫
「はぁ……そうかも、ね。ごめんね、これからはそうするよ?それと……ありがとう、レイハ」
それは、自分が何を思えて、何を感じているのか。結局、一番理解しているのは自分であって。その自分が、決めたことなのだから。自分が悩むことや、喜ぶことだって。きっと、自分の決めた道だから。 ……それが自分にとって「恋」を伴わない「愛」だとしても。 そんなことを心の中で自分自身に呟きながら、「なのは」は再び探し人を見つけるために視線を移……そうとした、のだが。
「全く、目立ちすぎだよ、“二人”とも?」
「……ふにゃ?!」
探そうとした瞬間だった。後ろから、その「探し人」の声がしたのは。あまりに突然すぎて、間抜けな彼女の声が逆に響いてしまうほどに。 本人たちは全く気付いていなかったが、ここは管理局の大動脈の一つ。仕事も忙しく移動している人たちからすれば、管理局で知らない人のほうが少ないであろう有名人がデバイスと口論しているのだから、いやでも注目の的になるというもの。
尤もそんなこと知ったことか、と言わんばかりに回りなど気にせずその声で思わず頬が緩んでしまいながら、なのはは天真爛漫な笑顔でくるっと後ろへと振り向く。その先には同じように頬を緩ませながらも、なのはを見つけて嬉しそうなブロンドの髪の青年が一人。
そこにいたのは探していた「彼」で。同時になのはにとっては特別な人で。何よりも……大切な家族。
だから、なのはも不満や文句も言わずに、ただ一言だけで返す。それだけで幸せなのだから。
「――おかえりなさい、ユーノ君」 「――ただいま。なのは」
そう、物語の始まりは何時だってこの二人から。 「なのは」こと「高町なのは」とブロンド髪の彼こと「ユーノ・スクライア」からだったから。 後書き えっと……結婚してちゃだめですか!(ぉぃ 本当に結婚はなかったことになりました。合掌w vividで書くのでできる限り違いはないほうがいいのでは、という貴重なご意見より。 個人的になのはさんとレイハさんの会話メインのプロローグ。 vivid第一話の前日って想定で書いてみました。このなのははレイジングハートのことを「レイハ」って呼びます。まあお姉ちゃんなレイジングハートと、そんな風には思っていないなのはさん的な構図です。 愛など恋などいっていますが、そこら辺はだって家族ですから、の続編的位置づけだったので、とりあえずその手の話を絡ませる必要があると思い、プロローグでからませることに。 でも、このプロローグ。vividなのにヴィヴィオが出ない謎のプロローグです。なんだこれ。 じ、次回(予定)の第一話はコミック第一話分を何とかカバー……できればいいなー。文量は絶賛スランプ中につき、そんなに多くはなりません。今回のだって、無理してこのサイズなんです(涙