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新暦71年(西暦2011年)4月中旬
第97管理外世界 現地惑星名「地球」 日本 海鳴市 私立聖祥大付属中学校
学校は基本的に勉強の場。 いつもどおりに登校して、友達と話して、勉強して……
そのために学校に行くといっても間違えではないぐらいに 本来はちゃんと勉強しないといけないわけなのだが。
世の中には、だがしかし、そういうこと以外に大変なお仕事をしている人もいたりする。
「じゃ、行ってらっしゃいフェイト。ちゃんと授業のノートはこっちで取っておくから ああ、でもこれから私の苦手な国語だわ」
「うん、ありがとうアリサ。それに苦手って言っても学年順位って10位なんでしょ? 私に比べれば転地の差というか……」
時にそんな規格外な人たちが集まったりしたりして……
「ほんならすずかちゃん、また月曜になーそのときに見せてもらうわ、その新しい本も」
「うん、わかったよ。ちゃんとそれまでには用意しておくから気をつけてねはやてちゃん」
3年2組の教室のおいて、その雰囲気の違いで大きく目立つ金髪の少女二人。 フェイト・T・ハラオウンに、アリサ・バニングスが顔をつき合わせて、ごめんなさいといった感じで二人が話していたり、ちょっと離れた6組ではいつものことと、半ば普通、当然といった感じで京都訛りの少女と、独特の空気をまとっている少女、八神はやてに月村すずかが意思疎通ばっちりの様子で、話して、そしてはやての方が忙しそうに教室を出る、それはフェイトの方も同じ。
「なのはも、というかなのはは一番気をつけないよ!」
「そうだよ、ちゃんと気をつけてよなのはちゃん」
「はぁーい!というか、皆心配しすぎだよー……」
そんなことで、教室に残る方のアリサとすずかに厳重に釘を刺されるポニーテールの少女、高町なのは。 もうちょっと言い様があるんじゃないかなーと二人の厳しい意見の前に思うものの 確かにそれだけ言われる理由があるので、強く反対できなかったり。
「ってちょっと、フェイトちゃんもはやてちゃんも待ってよ!」
いつの間にか自分を置いていってしまう親友二人(8割方、はやてが先行してフェイトを引っ張っている)にちょっと頬を膨らませて怒るが、別に本心で怒っているわけでもない。ふいっとなのはも走って後を追いかけ、屋上につく。
そして……
「レイジングハート!」
《Yes My Master》
「バルディッシュ!」
《Yes Sir》
「リインフォース!」
『はい!マイスターはやて!』
皆の、それぞれのデバイスの声と一緒にあわせて、彼女たちのもう一つの姿が現れる。 それは、この世界では魔と恐れられ、神に対峙する存在とまで言われている力。 それであって、でも神と同一視もされる謎の力。
《Stand by Ready》
「「「セーット・アーップ!」」」
三人そろって15歳。未だに魔法少女は続けているらしいが、少女もやっぱり成長していると思わせる そんなエースたちの15歳のある話。
魔法少女リリカルなのはStrikerS~もうひとつの物語~ 第1話「エースの思いは乙女チック?~高町なのはの幼馴染問題~」
―――――
同日 第162観測指定世界
時間と、時と、世界を超えて。 時空管理局創立当時、管理局はどんな考えで動いていたのだろうか。 自らがもたらす平和は、世界の人々のための平和か、それとも自らそのものが知る人々の平和か。
そんなことを思えるのは、あるいは自分が今ここにいる理由を求めているからだろうか。
アースラから指示通りの目的地に向かって空を飛ぶ三人組。そんななかで白いバリアジャケット…… 侵略者なんて意味を持つアグレッサーモードのバリアジャケットを着ている少女、高町なのはは 時折そんなことを考えてしまうことがある。
別に理由は無い。あえて言えば、それは数年前に空から落ちたときから、ずっと悩んでいることだ。 自分があの時落ちてから迷惑をかけた人を考えて、思うこと。
暗い考えなんてここでは無し無し、と気分をぶんっと入れ替えて見てみたのは…… 何も無いようにすら見えるその観測指定世界だった。本当にさっぱりとした世界だ。
どうやら横にいる黒い羽を生やした少女、八神はやても同様のことを考えている様子だった。 もっとも、はやてはもっとばっさりとした意見だったが。
――観測指定世界という区切りとはどういう基準なんやろ?
こんな疑問を持ったのはいったいどれぐらい前やったかなぁ、と何の変哲も無い土地が続く…… 木々すらないのになんで酸素は十分にあるんやろ、なんて無駄なことまで考慮したくなるはやて。
例えば、あれだけロストロギア事件が起きたはやてたちのいる地球は未だに観測対象外の管理外世界97番。 むしろ危険度では並みの世界より高そうに見えるのだが。 そんなわけで、それでも管理外なのになら、観測指定世界は、それならなんや、と。
「ここが、なんで観測指定世界なんやろー」
ここ、第162観測指定世界に転送されて、エイミィの指示で最寄りの観測基地になのは、フェイト、はやては空を飛んでいた。正直、見渡す限りの岩地は、なんという荒地、という意見でなのはもフェイトも、はやても一致していた。しかも、飛んでも飛んでもそれが変わらない。
「ここは、旧暦時代にミッドとベルカが勢力圏争いをしていて、奪い合っていた前線らしいから 旧暦時代の遺物が残っていたりと定期的に侵入者がいないかも兼ねての警備が行われているんだよ」
「フェイトちゃんって物知りだよねーさっすが執務官?」
「道理でこれだけ荒廃してたり、時折そこそこの規模のクレーターみたいなもんがあるわけやなぁ……」
いくら風化しても、残るものは残る。 ベルカとミッドチルダが戦争をしていたのはもう100年以上昔の話なのに未だにこういった 観測指定世界は多い。それはここの番号数が162であるところからもわかる。星間戦争が可愛く見える、時空間戦争。
過去から続いていた戦乱の残りものは、見渡す限りの荒野とは、何のロマンティックさも無いが。
「スターライトブレーカーでも、ああはならへんなぁ……」
「はやてちゃん、それは私に何か言いたいのかな?」
自分を何か危険物と間違えていないかなぁ……? となのはお得意の「お話を聞かせて」モードではやてに問いかけるなのは。
むしろ、これやよ、これ……これが危険や…… もちろん、言えば自分が星になるだろうとはやては言わないが。
「別になんでもあらへんって、怖いなーなのはちゃんは~」
「あのねぇ……はやてちゃんが変なこと言うから悪いんでしょ!」
そういわれるとさすがのはやても何もいえない、というかなんというか。 横で一緒に飛んでいるフェイトは、そんな二人を見て微笑。
なのはにとっては、この三人や、地球にいるアリサやすずかなど、親友が多くて。 それで、後はアースラの艦長をしているクロノ君に無限書庫にいるユーノ君で。
と今日来るはずの面子を思い浮かべているときにちょうどはやては狙ったかのような話題を出す。
「そういや、今日はユーノ君も同窓会には来るんやったっけ? あそこ忙しいらしいけど、よく暇ができたもんやなー」
「あ、うん。それは3日前に聞いたんだけど、無理やりに時間をやりくりして作ったのに その後で、だいぶ仕事数が減って月末にはまとまった休暇って言ってた」
「ユーノと一番あってるなのはちゃんの情報なら確かやろな~ でも、私でも最後にあったのは3週間前やから、なのはちゃんってユーノ君とよくあっとるなー? そうは思わへん、フェイトちゃん?」
「ええ?私も最後にユーノとあったのは2週間前だから…… なのはが戦技教導隊ってことも考えると、確かにそうかも」
「……なんだか、皆そろって私を勘違いしてない?」
第一航空戦闘技術教導隊、基本的に「戦技教導隊」と呼ばれるなのはのいる組織。 上空を優雅に飛びつつ、目的地に向かっている彼女たちだったが、それでもなのは以外はいわゆるエリートコース的な道だ。ゆえに事務処理が多い。
よく言われることで、軍事組織の中で実際に戦闘するのは多くて1割と言われる。 それはつまり、組織全体を見た場合、事務仕事ばかりしているのが軍事組織というもの。 事務処理を甘く見てはいけない、いくら電子化が進んでも、事務処理からついに紙という事務最大の敵を駆逐することを人類は適っていない。それぐらいに、紙はいつでも事務処理で使われる。
と、フェイトやはやてのような仕事では専らその手の事務と情報が鍵になって事件解決をなるのが常だ。
逆に言えば、なのはの戦技教導隊は戦闘技術の局地にいる人間の集まりみたいなもので、出世とは離れているために事務処理はそれほど多くない。ゆえに本来、無限書庫には行かない。
と、フェイトとはやては想像したようで、なのはとしては自分のいる組織について知られてないことが多いことに複雑な心境だ。 でも、確かに戦技教導隊ってが戦闘のエキスパートってイメージが先行していることは隠せないが。
「フェイトちゃんもはやてちゃんも勘違いしすぎだよ? 戦技教導隊は、新技術・新戦術の考案をやってるから、管理局技研本部みたいな兵器研究所とか、ユーノ君のいる無限書庫のような過去の膨大な戦術データが眠っているところとはよく情報交換するんだよ? それに技研本部と無限書庫でも色々と関係があるらしくて、この前もユーノ君が「いきなり大量の資料請求をストップされた」とか言ってたから」
「まさに管理職の苦悩を体現したようなユーノ君の発言やなぁ…… でも、それとなのはちゃんが頻繁にユーノ君とあっとる理由はならへんやろ。仕事で会えると言っても大半は戦技教導に時間がつぎ込まれるんのは間違えないんやろうし」
確かにそうだ。 なのはも自覚しているとおりにやけに戦技教導が多いのが、教導隊の宿命。 それは人材不足と技術不足が深刻な管理局だからこそ特に、だ。
「それでも、私は行くの。ユーノ君が心配だから。 この前言ったときなんて、無限書庫に浮いて寝てるんだよ?無理しちゃダメだよって互いに言ってるのに。 私には無理はダメって言ってるのに、ユーノ君はよく無理してるし……」
「……永遠の親友、という言葉をなのはちゃんとユーノ君に上げるわ、なあフェイトちゃん?」
「確かに、そうかも」
「??」
というかあの二人以外にありえないよ、とフェイトが思うほど、なのはとユーノの仲は良い状態のままだ。 はやてとフェイトは当初「二人が合えることが多くなれば一気に関係は進む」と思っていたがそんなことはまったく、本当に1mmとも動かないかのように関係は今も昔も親友のまま。いや、親友としての仲は進んでいるかもしれないが。
だからこそ、はやてとフェイトとしては目の前で意味がわからないと、クエッションマークを字で浮かべるぐらい鈍感な、あるいは本当にそんな気が無いのか……なのはとユーノの関係を「永遠の親友」とあわしていている。
それはどう転んでも親友以上のものなのに、だけど恋人じゃない。 まあ、なのはに自覚がなければ、ユーノは消極的で、結局関係としてはそんなことを述べる以前の話だ。
と、今まで話しをしなかった、いやついていけなくて楽しくないですーと嘆いていた(らしい)はやてのユニゾンデバイス、リインフォースIIがずっと遠くにある、岩地の中にある構造物を見つけた。
「マイスターはやて、あれですよ!観測基地っていうのは!」
「おお、そうみたいやなぁ? っと、話も手短に済ませよか。なのはちゃんがつまり言いたいことはあれやろ? 『ユーノ君とはべ、別に恋人関係じゃないんだからねー!』と」
「そ、そうだよ!なのに、なんで皆そろってそんなこと言うの? ユーノ君と私はそんな仲じゃないってば。お友達なの!」
「いや、なのはそこははやてが、なんでアリサみたいな言い方したのかも突っ込むべきだと思うよ」
控えめにフェイトが一応言っておく、言わなければならない何かを感じたらしい。 はやてははやてで狙っているところもあるみたいだが。
「まあ、なのはちゃんがそういうなら私は信じるけど、なのはちゃんって……」
「私がどうかしたの?」
――思いっきり、ほかの男の子と楽しそうに話してるところ、見たことが一度としてないんやけど…… フェイトも同じくな意見。もっとも、この三人、一人として浮いた話が無いのでここまでして 結局、何だか悲しくなってくるはやてとフェイト。なのはは、あれで10年後とかにいつの間にはくっついているかもしれないが……可能性は今のままだと極めて薄いといわざる得ないが……まあ、いいだろう。 自分たちは、と考えると悲しい。相手に値する人なんていない、この人生に。
と、そんなことを考えていても、飛んでるスピードだって相当な速度。遠くに点のようにしか見えなかった施設もだいぶ大きく見えてきた。
「とりあえず、地上に降りようか、なのは、はやて」
――――――――――
北部 定置観測基地
「本局管理補佐官、グリフィス・ロウランです!」
「シャリオ・フィニーノ通信士です!」
北部定置観測基地。 それがなのはたちが降りた基地。今回ロストロギアのある詳細な場所はここで聞くことになっている。 で、降りて迎えに来てくれたのは今、前にいる二人だった。
一人はぴしっとした感じの男性、いや男の子、というべき印象、幼さが残っていた。 もう一人はその男の子よりもさらに幼さが残っている。メガネがなんともチャームポイントって感じだ。 まあ、といっても、そんな風に見ていたなのは自身15歳で若いのだが。
「ご休憩の準備はしてあるのですが……」
「私ら、これぐらいの飛行ぐらいで疲れたりせーへんよ?グリフィス君は知ってるやろ?」
「まあ、存じ上げてはいるのですが……」
知ってはいるんですけど、と困ったような素振りを見せる。 いや、あえて言えば「上司ですから、そんなことは」といった中間管理職の苦悩みたいな。
……なんで、そんなことを私がわかるんだろう。
なのははそれを考えてみて、思わず先ほど永遠の親友、とはやてに揶揄られたユーノを思い浮かべてしまう。 まあ、彼は中間管理職というよりも一部門とトップなのだが、なのはから見て良く似ていた部分があるらしい。
「ああ、二人は会ったことなかったなぁ。こちらは、レティ提督の息子さんのグリフィス君やよ」
一瞬だけ、時が止まったかのように無音。 が、時は動き出している、止まってないので。
「……ああ!?そういえば、確かに!」
「うん、確かに似てるかも」
あのレティさんの面影もある容姿、そういわれてみれば確かに、フェイトも含めて二人とも納得していた。 それにあわせて照れるようなグリフィス。母親が母親だけに大変なところもあるのだろう。
一方、その横で顔を赤めて、緊張した雰囲気を出しているフィニーノ通信士。 それを察したのか、優しそうな声でフェイトが声をかける。
「フィニーノ通信士とは、確か初めて、だよね?」
「はい!でも、皆さんのことは凄くよく知っています! 本局次元潜行部隊で活躍なさっているフェイト・T・ハラオウン執務官に、地上の事件をいくつも解決したと本局でも有名な八神はやて特別捜査官。管理局本局・第一航空戦闘技術教導隊、通称「戦技教導隊」のエースオブエース、高町なのは教導官、ですよね!?」
もう、これは憧れで会えて光栄です!?といわんばかりに体全体で嬉しさを表現するシャリオ・フィニーノ、通称シャーリー。 特にここで重要なのはシャーリー曰く『陸海空の三人のエースオブエースにあえるなんて』とのこと。
陸海空は仲が悪い。有名なところでは本局(海)と地上本部(陸)だが、空にいたっては独自の指揮系統が不完全(本局内や地上本部の空専門部隊という形)なため、むしろ空の人間には独自の指揮系統を作りたい、という思惑が多い。なのはが佐官になりたくない、と後に愚痴る一つの要因が、この空の上層部における思惑に巻き込まれたくない、というのがあったりもする。
そんななかで、エースと言われる陸海空の人たちが仲良く3人でいることは、また別の意味で珍しいのだ。 それは、なのは・フェイト・はやての三人が特殊なだけ、でもあることを示すわけでもあるが。 なのはの心内はあはは、と自分のことなのに完全に他人事だった。自覚が無い、というのも考え物かもしれない。
と、一人除け者にされた感があった、リインフォースに彼女が気づく、と。
「ああ、リインフォースさん!?お話は聞いていますよ、優秀なユニゾンデバイスさんだって!」
「本当ですか!?ありがとうです~!」
「ええ、それは本当ですよ!もう、話だけで…ああ!時間が無くて語りきれないぐらい!」
フィニーノ通信士、思いっきりハイテンション。 もう、リインフォースとの会話は話す相手がいなかっただけにリインも続いて、終わる気配が無い。
「こら。シャーリー失礼だぞ?」
「あ、ついいつもの癖で……あはは」
フィニーノ、もといシャーリーも癖が出てしまった、ともう遅い、まったく苦笑いでも隠しきれてない。 基本的に素は相当良い人みたいだ、ということはなのはから見ても分かった。 どっちかっていうと、なんとなくだがこの二人、クロノ君とエイミィさんっぽく見えないことも無くて。
「シャーリーって呼んでいるんだ?仲良しさんなの?」
「す、すみません。子供のころから、家が近所でして」
あのときの、小さいときのことを思い出すグリフィス。 小さいときから、シャーリーには色々とされたことを思い出して……顔色は冴えなかった。 きっと、シャーリーが聞けば確実に怒るだろうが、心の声ぐらいは自由にさせて欲しい。
一方、なのはもそんな二人を見ていると思い出すこともある。6年前からのアースラの慌しい研修を。 どうやら、フェイトも同じようだった。はやても。
「幼馴染なんだー?!」
「いいね、私たち三人も幼馴染なんだ♪」
二人そろって、なのははフェイトを見ると、フェイトも自分の方を見ていた。 フェイトちゃんとは親友で幼馴染、ちょっと離れたところにいるはやても。 三人の幼馴染。そして、もう一人加えるとすれば……
「まあ、なのはちゃんにはユーノ君みたいな、永遠の親友が……なのはちゃん、そこで睨まんといてや」
「ふふ、なのははユーノのことになるとなんでそんなに敏感かな?」
「もう、フェイトちゃんまで」
なのはも、こう何度も言われると意識しない、というわけにはもちろん行かなかった。 だけど、それでも。 ――まったく、ユーノ君とはそういうことないって何度言えば……
その程度にしか思わないのは、彼女ゆえだ。きっと、たぶん。 ユーノは惨めかもしれないけど。
だから、なのはは何を思ったのか、それは分からないけど、声をグリフィスとシャーリーにかけた。
「幼馴染の友達は貴重なんだから……大切にしてね?」
それは、自分への暗示でもあったのかもしれない。 でも、なのはにとっての嘘偽り無い思いだったのだ、このときは。
と、興味深そうにシャーリーが三人の方を再び見つめる。 何かある……なのはですらそう感じた。いや、そう感じずにいられるはずがない。 なぜなら、シャーリーの目は好奇心・興味の塊だったから。 噂好きって意味ではシャマルに通じることがありそうや、とは八神はやて談。
「はい!そういえば、ユーノさんって、ユーノ・スクライア無限書庫司書長のことですか?」
「そうやよ、シャーリー……と呼んでもええよね?」
シャーリーの方を見るともちろん、という合図だろう、うんうんと、首を上下に振っていた。 それを見て承諾と捕らえるとはやては続ける。
「私となのはちゃんにフェイトちゃんにユーノ君。後は地球…私たちの故郷の星にいる アリサ・バニングスちゃんと月村すずかちゃん。で幼馴染って感じやなぁ」
「男性って、そのスクライア司書長だけだったんですか、なんだか……共感しそうな方です」
実はグリフィス、少年時代からシャーリーに振り回されたために、幼馴染は女性が多い、と自覚している。 男友達もそれなりにいるのだが、その中でさえ「女難のグリフィス」なんていわれるぐらいに。 そんなの、男友達がクロノぐらいで、幼馴染に男の友達がいないユーノに比べればマシなのだが。
「ああ、それはあるかもせえへんなぁ…… なんせ、この前なんかなのはちゃんが温泉旅行に誘おうとしたぐらいやから」
「ええ~!?だって、幼馴染皆で行こうって話しだったからだよ~?」
「えっと、高町教導官。個人的には喜劇のような悲劇です、それ」
冷静に突っ込んでおくグリフィス。意外と言う方らしい。まあ、母親を見れば納得だが。
「確かに!司書長一人男の子、相手がエースオブエース三人とは、本当に凄い幼馴染構成です! お話に聞く司書長が慌てている光景がマジマジに浮かびますね!」
シャーリーだけは相変わらずのハイテンションだった。本当に。 なお、ユーノ・スクライアと言えば「あの」無限書庫を使用可能にした化け物、として一部では言われている。 それだけ知名度はあるのだ。
それまで静観に徹していたフェイトも、そろそろ口を入れないと話が本当に混沌としそうだった。
「まあまあ、なのはもはやても。 うーん、でも、確かに温泉旅行に誘おうっていうのは過激かも…… ユーノなら、一緒に休暇、ぐらいがちょうど良いと私は思うけど……あっちの時間の都合もあるし」
ユーノとは自分が犯罪者としてつかまっていたときの裁判の証人として助けてもらってからと言うもの フェイトにとっても、毎回執務官資格を取るときに必要だった、応用魔法技術論についてで先生をしてもらっていた。応用魔法技術論は、基本的に数式と技術式が並び、クロノの苦手分野らしいのでユーノに教えてもらったと言うわけだ。
そして、執務官になってからも各種資料請求、と仕事柄あうことはそこそこある。 そういったお礼としての、休暇とかの付き合いならフェイトはむしろ歓迎だった。 それでユーノの助けになるなら、自分が親友としていてよかったかな、とも。
が、なのはとしてはなぜかフェイトのそういうところが面白くないらしい。 なのはとしてはユーノとパートナーという思いは未だにあるらしく、そういうのは自分の役目、らしい。
はやてからすれば 「どっちもどっち、というかなのはちゃん、そんな親友は普通あらへんよ」と言いたいところだ。
「ううん、ユーノ君には日ごろの疲れを取ってもらう意味で、温泉旅行が良いと思ったの!」
「なんや、温泉旅行になった理由は、そういうわけやったんか、なのはちゃん」
温泉旅行が良いと思った、が確信犯、じゃないところがミソだ。 別名、天然ボケという。 はやて的にはむしろチラッ!? 見られちゃった!?系をなのはには期待してほしいところらしい。 考えがとってもオヤジだが。
「えっ?そういうわけでもないけど、高町家は5月は基本的に温泉旅行って決まっていたから」
「でも、ユーノって休暇あまり取れてないし。やっぱり、旅行は無理があると思うよ?」
いつの間にかなのはとはやての言い争いがなのはとフェイトのユーノ論に発展していた。 なのははともかく、いつもは抑え役のフェイトなのに、不思議なこともあるもんやなー とBDディスクに映像保存するはやて。 カメラを常時持っているあたり、この手の騒ぎ好きなのかもしれない。
「あの、八神一等陸尉~?」
「シャーリー、どうかした?」
カメラの手ぶれ補正機能を使って、しっかり取っているはやての横で 少しばかり驚きというか呆れ様子のシャーリー。
「いえ、あれで……ユーノ司書長とは親友なだけなんですよね、特に高町教導官は?」
「……そういうことになっとるし、なのはちゃんはユーノ君に特別な感情持ってないはずなんやけどなー。 よくクロノ・ハラオウンとフェイト・T・ハラオウンの二人はシスコンっていう話があるけど、なのはちゃんのあれはフレコンやな。フレンド・コンプレックス?フェイトちゃんのは、まあ私にはわからんなぁ?」
はやての造語誕生。まあ、リインフォースだって、別に意味は祝福の風でもなんでもない。 いや、そこら辺はつけたもの勝ちであり、はやてたちにとってリインフォースは祝福の風の意味なのだけど。
ただ、シャーリーはそのまま真顔で聞き返す。
「でも、それって普通恋って言わないんですか?」
「これが、なのはちゃんの分からないところなんよ。うん」
はぁ……?と納得するしかないシャーリー。 と、後ろのグリフィスはというと……
「スクライア司書長、何だか今度会いたくなりました。同志っぽいです」
思いっきり、大変そうなユーノに同情一色。 後に幼馴染と仕事仲間の二股疑惑のあがる、グリフィスだった。
ひとまず、そのなのはVSフェイトのユーノ論も一区切りついて(結果は温泉じゃない旅行だそうだ) お仕事の方の話に戻す。 その間にはやてがグリフィスとシャーリーからある程度聞いていたので話は凄く早く進んだ。
「というわけで、これがそのロストロギアのある場所の地図です。 ポイントまでは私たちは通信で誘導・ナビゲートします」
「というわけや、なのはちゃんもフェイトちゃんもそろそろ行くで?」
このままいて、口論の第二ラウンドは勘弁なはやて。 とりあえず、なのはもフェイトも資料を見てある程度わかってくれたようで、納得の様子。
これが後の呼ばれる 「第一次レリック攻防戦(最初のレリック事件)」事件の前章なのだから、歴史って奴は…… 存外、酷い奴である。
後書き コミックとあわせて、個人的にはガジェット・ドローン戦まで書きたかったのに いやー意外とコミックの数ページに時間がかかるかかるw ここまでで、コミックの9ページ目w エピソード01が、全24ページだから、前途は多難だw なお、二次創作再構成、ということもあって、コミック版の流れを忠実に再現しつつ(台詞含め)、追加、情景描写をしてあります。だから、一部では大きな違いがあるw なのはさんの幼馴染話。ユーノ君を私がメインにしたい、という考えで書いてる以上は話にあがるのは宿命です。ええ、宿命なんです(ぁ シャーリーはなぜか、こんな性格に。まあ、本編でも何だかそんな感じがしないでもない。 グリフィスは、ほらあれですから! 本編で、幼馴染だったシャーリーとは何もイベントが起きないで、ルキノと最後一緒の仕事している罰だ(ぉぃ 彼には美味しい厳しい役になってもらおう。まあ、ユーノもそれだとなのユノっぽい気がユノフェイっぽいフェイトさんだし。まあ、どっちもはやて曰く「親友(なのはは永遠の親友やら、フレコン呼ばわりされてますが)」ですけどねーというか、部隊長が一番役どころが難しい。 なお、本編で断言しているとおりにフレコンは造語。というか、友達に恋愛感情持ったら、それは普通に恋だと思うし。そこら辺が一筋縄でいかないなのはさん? なお、なのはさんだけエリートコースじゃない、というのは事実です。 空を飛ぶ教導隊では、限界があります。空の人は、地球に合わせれば、基本的にパイロットが尉官や場合によっては佐官を持っている場合もありますが、基本的に将官にはなりえません。 たたき上げという可能性はあることはありますが。 変わりにはやてとフェイトは、その立場上、将来将官になる可能性もあります。もっとも、はやては六課を設立して、本局の主流派とは距離をとって独自行動を取っているので、エリートコースを外れた、ととも取れます。 事務処理こそが平時の軍の仕事。まあ、そういう能力をはやてとフェイトは求められていると。 なのはは……ま、まあ本編でも一尉のままですが、現実世界には三佐のパイロットもいますのでねー。 まあ、あの歳で、となると将来教導隊司令(一佐か准将。もっとも日本には准将という呼び方は無い。改定されるという噂はありますけど)ぐらいにはなりそうですけどね。 っと、第二話は今度こそ、ガジェットとの戦闘の予定。戦闘描写はどーなるのか!? やったことがほとんどないだけに、怖いよー!w と、感想返事でーす >螺旋でーす。 >とりあえず、この長編非常に楽しみです。StSはなかったことにしてやりはじめたいと思っている自分がいますw。 >ていうか、設定の詳しいところがなかったりしてるし、特になのはが大怪我したときのこと、はっきり言って回想でこまかくやってほしかったなあ。せっかく26話だったんだから。とりあえず、参考になるかはわかりませんが、私の考えているユーノについて書きます。 >とりあえず、何もなければ、なのはたちがいるかぎり、無限に資料があるかぎり、無限書庫にいると思います。でも、誰か(特になのは)に何かあったら場合によっては簡単に辞めてしまうと思います。 >一人でジュエルシード封印しようとするくらいだし。人のためなる無茶する度合いはおそらくなのは以上かと思う。そしてある意味そのとき一番止められない人だと思います。そういう意味ではほんとにこの二人は同じだと思う。ただ二人の恋愛観は作者の書いているssが実に共感してます^^。 >他のところでもありますが、私個人としてはStSのユーノになのはが告白しても簡単にOKするとは思えません。熱く語りすぎると本当に終わらないのでこのくらいにしときます。続き待ってます。 感想ありがとーですー螺旋さん。 第一次レリック攻防戦(最初のレリック事件)からなので、結局なのはの怪我は回想になりそうです。 なので穴掘ってきます(ぉぃ 無限書庫にいるのも、なのはが理由ですからねーユーノ君なら、なのはのためなら、なんていいそうだ。 なのはとユーノの関係は、これで初期の状態を前回と今回で描いたつもりです。なのは、フレコン(仮称)ですw なのはにとっての親友、という意味とも関係するのかもしれませんが、とりあえずはフレコン(仮称)ですw
セブンウィンズさんありー^^ ユーノの苦労に気づくだけなら、きっと一番ははやてさんでしょうけど、それを助けるのは誰なのやら(ぁ っと、ユーノの嫁探しは、事前に言った様な気がしますが、こちらのシナリオと統合しています。はやてもユーノの相手として可能性としてはあります。予定では、一番ユーノに近いのははやてに成りえるはず(ぇ 予定は未定とも言いますが(ぁ 見守っている思いかどうか、ユーノ自身自覚できてないですからね。 親というよりも、親友のがんばりを支える親友、って感じかな?
上条さんありがとーですー! ソニカさんは思いっきり書いていてキャラがたってしまった極系です。ええ。 本来は、ソニカさんチョイ役だったのですが、名前をつけると愛着が湧くって本当だねー困った困った(ぉぃ 無限書庫の描写はほとんど無いので、困りますね。実際に中がどうなっているのやら。やっぱり禁書とかあるんでしょうねー魔道書の類とか。