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2009 12,31 23:50 |
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サーバーにあげるのが面倒なので(ぁ 予告通りのSSです。なお、ユノスレにもあげました(ぉぃ
それは騒がしかった。 12月終わり。世間一般的には年末と呼ばれ、子供たちは冬休みに入るそんな時期。寒さは日に日に強まり、それだけに人々は出歩くときも重装備。コートに何重にも重ねた服を、というように。特に今年は歴史的に稀な大寒波。冬将軍の襲来も重なって例年以上に寒さが強まっていた。ひらりはらりと舞う粉雪よりももっと細かい小さな雪の結晶も落ちゆくほどに。
「こらこら、ヴィヴィオちゃん。そういうのは自分で取りにいかないと「コタツムリ」っていう魔物になっちゃうわよー。ちなみにランクはAAぐらい?」 「えええっ!?ソニカお姉ちゃん、ヴィヴィオ、魔物になっちゃうのー!?でも、AAはちょっぴり強くなるんだねっ!」 「いや、強くなるとかそういう問題じゃないって、ヴィヴィオ……」
別にユーノだって、もう15年近くなる関係が変わることを願っていないわけではないのだが、彼には今の関係を変革させようと思う積極性に乏しかった。現状でも、ユーノとヴィヴィオが顔を合わせるのは数日に一度は必ずあるし、ヴィヴィオが無限書庫にそうしてきているということは、逆にいえば迎えに来るなのはともそれぐらいの頻度で顔を合わせて話をして、時には食事もしているし、こうやって泊まることも決して少ないわけではない。 後、もうひとつあえて挙げるなら……
「どっちかというと冷たいカタツムリと違って、こっちは相当温かいけど。世の中一番近くにいるものが一番大切で温かくしてくれるもの……でも、実のところそれに気付かない人って結構多いのよ。『当代エースオブエース』のなのちゃん?」 「私はでも大丈夫です、ヴィヴィオはとっても大切ですから。ちゃんと気付いていますよっ!それにフェイトちゃんやユーノ君も助けてくれますしっ!『先代エースオブエース』のソニカ“先輩”?」
見ての通りにこれだけ鈍感なので、周りも既に諦めていたりする。どうせ、恋人になりたくなったら即日になってその日のうちに結婚届けを出していてもおかしくはない関係なのだから後はなのはが気付いて、ユーノがアプローチすれば終わりでしょう?、とはそんな噂をされてしまい周りからの目が痛いことに気付いている執務官談。人のうわさも七十五日というが、逆にいえばその間はしつこく回るものなのだ。
「いやぁー、司書長、もといユー君。家に帰っても誰もいないし、なのちゃんで言うフェイトちゃんやはやてちゃんみたいな親友は結構遠い世界にいて私は一人なんですよ……まどかは結婚するし、エリカは結構出世しやがって……どうせ、私はこの手の仕事にしか生きる道のない女よっ!」 「……色々と苦労しているんですね、ソニカさん。私はよくわかりませんけど……」 「私にはわからないとか言っちゃうなのちゃんが一番あれだと思うわ……」
そうはいっても、なら来年には24歳になり、現在のエースオブエースでかつこの頃は不慣れながらもユーノに教えてもらいながらヴィヴィオと一緒に書庫の本探しもやっているなのはも、年齢と彼氏いない歴も同じで、結構似ている人生を歩んでいるのだが、当人の自覚のなさゆえにこっちはなにも焦ってはいないらしい。人生、気の持ちようっていう言葉が妙に当てはまるケースである。
「そうですね……私はまだお仕事のほうとヴィヴィオと一杯一緒にいることでで手いっぱいですから。そういうのは私自身よくわからないのもあるんですけど……」
高町なのはにとっての唯一の誤算。ヴィヴィオのおかげで彼と一緒にいる時間が増えてから別の思いも小さいけど、だけど確実に大きくなっていること。 お仕事よりも、ヴィヴィオと、そしてその「彼」と一緒にいたいと思ってしまう時が本当にあること。だから今日も仕事があったのについ休んでしまった。ヴィヴィオと一緒にいたいから、という言葉こそ誤弁で本当は…… 「そう言われると私も……うぅぅぅ……どうせ、私はお仕事大好きですよーだっ!ユーノ君の意地悪ーっ!」 「なのはママのほっぺたが膨れて真っ赤ーっ!怒ってるのー?」 「ヴィ、ヴィヴィオ!?私はそういう意味で膨れたわけじゃなくてっ!?」 「なのはも、僕なんか気にしないで普通にのんびりしてくれればいいよ?」 「そ、そういうことでもなくて、私はだから、そのあのね!?」 「……なんだかなぁ……私の居場所がない」
――なるほど、だからあのもう一人のなのちゃんの親友の執務官はここにいないのか。 これだけダダ甘空間じゃあ、あの執務官ことフェイトちゃんだって来ないわけだと今頃になって最初からいなかった彼女が来ない理由に納得。そして同時に自分も脱出したくなるほどのこの目の前のバカップル改め、バカ親友と娘一人。 自分の役としては非常にかったるいのだが……そう思念すると、ゆっくりと動きますかぁ……と、ヴィヴィオのほうへとまなざしを向けつつ、台所まで足をいったん伸ばして探し物……クルッと半回転して元のコタツをヴィヴィオを挟んでその両脇にいるなのはとユーノも見つめて一言。
…
「……その、なのは……」 「な、なにかな。ユーノ君?」
正直、二人だけというのは双方覚えている限り久しぶりだった。 ユーノがふと隣を見ればなのはが寒いのか頬を赤く染めたまま、コタツに足を入れながらじっとこっちを見つめていることに気づいて目のやり場に困ってしまい……
「そのことなら、来年……といっても、あとわずかだけど。その4月にお兄ちゃんと忍さんが結婚するらしくて、その時の顔を見せればいいかなぁって思って」 「そ、そうなんだ。でも、そっか、恭也さんと忍さんが……結構結婚まで時間かかっているよね、あの二人も……」 「にゃはは……忍さんに子供もできちゃっているらしくて、私もおばさんと呼ばれるようになるのも時間の問題みたいなんだよね。すずかちゃんとも親戚になっちゃうし」 「ああ、すずかとも親戚になるんだ。なのはは……って、ヴィヴィオっていう娘がいるのに今頃おばさんになっちゃうことを自覚したの?」
それと、目の前の女性との自分の関係をクロスオーバーさせてしまうと……思わず脳内が沸騰してしまうような感覚をユーノが襲ってしまう。 ――ソニカさん、どう見ても狙って二人にしましたよね!?変なところで空気読むんだよね、あの人って!? それでも、やっぱり一度意識すると離れないのが常なわけで。彼もやっぱり男なのである。好きな人のことを考えればそれだけで頭がいっぱいなのだ。
「ふふっ……そんなことないと思うのに、なのはらしいよ?」 「そう言ってくれるのは、その……ユーノ君だけだよ?皆揃って、やれ“白い悪魔”って呼ぶ人はいるし、火力馬鹿とかもっと酷いと魔王だよ!?……はうぅ……」
逆にいえば、ユーノ君には私もそういわれたくないってやっぱり思っているのかなぁ、と自分で自分自身に自問自答。おかしな話で自覚しているわけではないこの思い。よくわからないままなのだ。
「!?で、でも、前ばかり見て、横や後ろも見ない私でも好きなの?」 「好きじゃなかったら、ここにはいないけどね。フェイトだって、はやてだって、ヴィヴィオだって。皆なのはが好きだから君と一緒にいてくれるんじゃないかな」
本当はその「好き」はその「好き」ではなく、別の「好き」であってほしかったという思いが。 そんな気持ちの変化でいつもの凛としたなのはの表情とは違う、それは年相応でユーノからすれば彼女らしいと思える表情を曝け出してしまう。ある人はなのはのことを「憧れる」と言っていた。きっと、間違っていない。いつものなのははユーノでさえ憧れてしまうほど凛々しい女性だから。
「……本当に、優しすぎだよ、ユーノ君は」
そして、今も。 なのはの中の思い出がぐるぐると廻り廻る。今年や去年、そのまた前と……今年も今日で終わりで、もう目の前の彼との関係も凄い年月がたっていることを実感させられて。 いつだって、本当の自分を隠したいと願っていた。でも、いま自分はその一部を彼には見せている。フェイトちゃんにも見せたことはある。だけど、それとこれは別で。
――その「好き」じゃダメだから。 無意識で、そのことを理解していて。その思いが本当に何なのか、本人は理解できないままでも。
「え、えっと……?あの、なのはそれってどういう!?」
「どういう意味なのさ、だから……でも、僕も来年もなのはと一緒にもっと過ごしたい……かな?」 「うっ……そ、それじゃあなのはもそれよりももっとだよっ!」
結局、今年もまた二人の関係は変わらず平和に進む。それはきっと、二人とも納得しての関係。でも来年も同じ関係とは限らない。もしかしたら、いつまでも同じように親友のままで過ごすのかもしれない。もしかしたら、もっと強い仲になるのかもしれない。
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