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ユノはやSS「呼び捨てで呼んで」 それは、些細な思い付きから始まった。 時空管理局 本局 無限書庫 司書長室 書物・書物・書物……… そこに並ぶはひたすらに書物。本を仕事の中心にしているから当たり前なのだが、さすがのユーノでもここまで書物が並ぶと幾分疲れる。 机で管理局中央から送られてきた次期管理局統合再編計画についての書類に目を通しながらもユーノはため息をつく。 ――何々、管理局の無限書庫への公文書以下の主要情報の統合という第一段階は成功したため、第二段階として書庫内の部署の専門化と管理部などの再編計画を立案する……まったく、それなら最初から統合するなよ。 無限書庫は、すでに管理局における書類のほぼすべてを統括する場だ。 書物だけでなく、公文書までそこに保管しているために、管理局最大の情報管理機関になり、また同時に書庫にある情報を閲覧し、問題解決に使う最大の情報提出機関にもなっている。 だが、公文書や一般書など、あらゆる書物が統一されたことで、その区分け作業だけでなく、依頼された書類の検索に書庫の書物の整理までが混雑して行われるようにもなった。 情報の一括管理こそできるようにはなったが、逆にそれぞれのスピードは今までより落ち、また司書には情報の整理能力・捜索能力・管理能力とあらゆる部門の能力が求められるようになってしまったのだ。 ユーノのような有能で事務に関して万能とまでいえる人間ならともかく、普通の司書はそこまで広範囲の仕事をこなすことはできない。よって、統一した無限書庫という巨大組織を分化して、各部署とそれを統括する管理部に分割する案が第二段階の管理計画だ。 正直、書類上は綺麗に物事が運ぶように見えたのかもしれないが、現実は厳しい。 その移行作業中は混乱が多く、ユーノも腐心するはめになったのだ。おかげで六課設立前にするはずだったはやてへの告白も、大分後になってしまったという理由がある、 まあ、前にできたか、ユーノの心の問題としては不思議なところが多いが。 そして、計画の書類はまだ続く。無限書庫だけでなく、あらゆる局の再編に関する書類なのだから当たり前だが。 と、最後の方に来て ――なお、機動六課に関しては当初の予定通りに4月に解散とする。また、それにあわせて遺失物管理部の再編も行う予定だが、六課のメンバーの移動が不明な部分もあり、再編計画は六課解散後とする…… 「そういえば、機動六課なんてほとんど行ってないなー」 「なんや、ユーノはうちの部隊でも見たいんか?」 書類の山、その中から出てくる女性が一人。 管理局の服ではなく、あくまでも私服にエプロンをつけて汚い、とユーノも自覚しざるえない司書長室を掃除しているようだった。彼女の名前は、八神はやて。まあ、ユーノが告白した相手である。 はやてからの呼び方が私人のときは「ユーノ君」から「ユーノ」に変わって最初こそ戸惑っていたもののそれにも慣れた今は、1月半ば。11月の告白からはもう2ヶ月近くになる。 ――あの時は、本当に呼び捨てで呼ばれて驚いたけど。でも、それも悪くないかな、なんて思ってしまえて。 なお、まだ誰にもこのことは言っていない。 が、なぜかはやての家族とクロノにアコース査察官は知っていて、ユーノは合うたびにそのことをいわれる始末。アコース経由でカリムにも話は回っているらしく、はやてが庫の前聖王教会に行ったときはカリムに相当聞かれた挙句に 「それじゃあ、結婚式は聖王教会に任せて頂戴ね?」 なんていわれたりしたのだが、もちろんユーノはそんなことは知らない。 ともわれ、部隊長がこんなところでメイド見習いもとい、掃除をしてもらっていいものだろうか、とユーノは掃除をしようとしたはやてを止めようかと思ったのだが、別に今は部隊長としているわけやない、と言われてそのまま彼女は掃除をし始めて。 結果、司書長室を掃除するエプロン姿の部隊長と、そんななかで重要書類を処理する司書長なんていう構図が出来上がっていた。 掃除をしている彼女はちゃんとユーノから貰ったネックレスをしていて、若干の嬉しさをユーノに齎していた。 「別にそういうわけじゃないけど、アグスタのときにちょっとだけ、だからね、見たのは」 「まあ、そうなるなぁ……ああ、お茶でもいれよか?」 「ううん、ありがとう。書類はそろそろ終わるはずなんだけど……」 実際に書類の最後に六課のことは明記されていただけであり、書類にサインをすればそれで終わり。 重要書類で機密書類なので、扱いだけは気をつけないといけないが。 書類にサインをして、また次の書類に手を出す。 それほど書類の数が多いわけでもないが、すべて機密書類で、速読魔法が使えない類のものばかり。 書類にちょっとした手が加えられており、魔法による速読ができないようになっているのだが、速読魔法を使わなくてもユーノの書類決済は管理局でも有数のスピードだろう、次々の書類を読み、そしてサインをする。 そんな真剣な姿を見ながら次々と書物の山を片付けて(整理して)ゴミを掃いてと掃除をするはやて。 傍目にはどこの夫婦だ、といわんばかりの息のあいようだった。 お茶を入れてきたはやてが書類から少しはなれたところにお茶を置いて。 置くついでにユーノのお仕事もちょっぴり拝見。 「ユーノって、本当に書類を読むの早くて凄いね?」 「どうしたの、わざわざ関西弁使わないで?」 「まあ、私の標準は関西弁やけどな」 そういわれると自分は関西弁を多く使っている。 ちょっと今使わないで言っただけでそういわれると逆に自分=関西弁という考えがいかに定着していたかがわかるはやてだった。 だが…… 「でも、もともと関西弁は相手も関西弁を使う人じゃないと大半は使わないんよ? それに一応、標準語もしゃべれないことないし」 「でも、標準語話すはやてって想像つかないんだけど?」 「それってもしかしなくても、私をけなしてないん?」 「いや、そういうつもりはないけど、明日からなのはが関西弁話すぐらいに想像つかない」 明日、六課でなのはちゃんにあったら「おはようや、はやてちゃん」といってくるなのはを想像して・・・ 思いっきり不自然さいっぱいだった。 「確かに不自然や……でも、私は標準語も話せる、ぐらいは覚えておいて…ね?」 「分かったよ。でも、ね、ってつけるとやっぱり変っていうか…」 書類を読むのもやめて笑いをこらえようと必死なユーノ。 そこまで笑わなくていいのに、とむしろはやては顔が膨れ気味。 「ええい、笑わんでや! 決めた、これからも私は関西弁で通すわ!」 「まあそれがいいと思うよ。それと、お茶美味しかったよ。はやての料理も美味しいけどね」 「えへへ……私、料理に関してはなのはちゃんにも負けるつもりはあらへんし でも、六課を設立してからまともに料理してなかったから、実はユーノに食べてもらって嬉しかったんよ」 喫茶店の娘ということで大分料理は上手いなのは。 それを知っているし、その腕前も知っているユーノだが、別に彼女だからというわけでもなく 純粋に料理に関してははやての方が上手いと自信を持って言える。 喫茶店のお菓子などでは、なのはの方が上かもしれないが、はやては普通の料理全般では本当に凄い。 2週間前に八神家にお邪魔になって(ヴォルケンリッターは大体分かっていたらしい)料理を食べたときは 本当に彼女の料理の腕に驚いたのだ。 「とても美味しかったよ。あの一品いがいは」 「あれはシャマルが作ったのや、仕方あらへん」 今になっても……シャマルさんの料理下手は直っていないらしい。 ユーノも聞いてはいたが、もう直ったかと思っていただけに美味しい料理に隠れていたトラップを踏んだときは……思い出すのも億劫だ。 「でも、やっぱり六課に一度は正式に顔を出さないといけないんだよね」 「そりゃ、六課設立に関して、去年の管理局再編計画で推薦してくれたのはクロノ君たちと聖王教会。 それとユーノだけど、別に顔を出さないといけないってわけじゃないと思うんやけど?」 「形式上はそもそも僕が六課の推挙をしたことは載っていないけどね」 ユーノが六課の設立を支持したのは管理局の再編計画書においてだが 実際に六課設立を行った公的な書類は、管理局独立行動部隊第121書類、と呼ばれる方の書類。そこにおいて、六課の設立が事実上決定したものとなっている。 が、そっちにはユーノは支持していない、というのも、管理局全体の問題書(再編計画書)こそユーノは目を通し、それに関する意見を書く権利はあるが、実際の具体的な書類(第121書類)までは見ないのでそっちではユーノが意見を言うことは難しかったという点がある。 もっとも、再編計画書での定義によって、製作された第121書類なので、書類上はともかく、実際の支持者としてユーノは入るべきであるし、また事実はユーノの提案から出た部隊でもある。 もっとも、武官であるクロノでは部隊編成に関する書類が申請できないので、文官のユーノが提出した、という裏事情もあるのだが。 「そやけど……でも、実際に六課設立はユーノのおかげやで?」 一通りの掃除を終えたはやてがユーノが飲み終えたお茶を入れに再び台所の方に向かいながら…そう言って話を切り返す。 「まあ、それになのはたちのことも気になるし、ヴィヴィオだっけ?彼女のことも、ね」 「まあ、ユーノのなのはちゃん心配性は今に始まったことやないけどなぁ?」 お茶を入れて、司書長の席の前にそれをおきながら怪しげな笑みを浮かべて言うはやて。 あはは、と笑うだけは笑いつつさて、はやての機嫌をどうとるかと考えてしまうユーノだった。 実際にユーノは、魔法の世界になのはを巻き込んでしまった負い目が今でもある。 いや、むしろ怪我をして、ヴィヴィオが助けられて、その思いはむしろ大きくなったとすらいえる。 だから今でも、ユーノはなのはのことを忘れられない。単純に初恋の相手以上の存在なのだ、ユーノには。 とはいっても、それはそれ。これはこれ。目の前にいる彼女の機嫌を損ねては意味がない。 「一番大切なのははやてだけどね?」 「うぅ……その言葉、卑怯やで?ユーノ」 「そうかもね、それで六課の方に行きたいかなって。 君に仕事をする僕を見られることは多くても逆って言うのはないからね?」 「そっちが本心かいな。別に事件もない限りは普通に事務処理ばかり。 近代戦最大の敵は書類、なんていうぐらいや」 近代戦は戦闘ひとつにも多くの書類を必要とする。 命令許可書、命令書だけならいざ知れず、補給・部隊編成・出動に関する諸資料などなど……特にベルカ圏などでは書類がないと動かない聖王教会なんていう皮肉共にベルカの役人などが昔から行動に関して書類を提示してもらうことが多かったことが現実としてある。 現に今、ユーノがしていた書類も多くが許可書やら申請書やら、中には閲覧書、と見ることだけが仕事な書類もある。まったく、いくら時代が変わっても書類というのは減らないものなのだ。 仕事ばかりで退屈、なんていうことはないが…… 「で、仕事も終わったみたいやね?」 「まだまだ無限書庫での仕事はあるけどね……ありがとう、片付けてくれて。お礼は……そうだね」
「別に私はお礼がほしくてしたわ……」
途中まで言ってはやての声は出せなくなる。 突然のキス。しかもそんな甘いキスじゃなくて。もっと情熱的なもので。
「……ううぅ……!?……」
「んん………はぁっ……ぁ……」
互いの口の中で舌が交わって、それは非常に貪欲で、収まるところを知らないままで。 時々漏れるその声は、酷く現実味がある麻薬のように奥が深い。
「……ユー……ノ……ぁぁ……」
「……んん……はぁ……」
二人ともそれぞれにゆっくりと、だけと同時に思いっきり相手をほしがるように熱く、熱く、熱くする。 いくらか経った頃、それがどれだけの時間かはわからない……当人にとっては非常に長く感じた。 二人の唇は名残惜しく離れる。
「「…………」」
まだ足りない。二人とも同時に思ったが、そこまでだった。 六課が終わるまで、自分も彼女も20歳までは。そういうことが暗黙のルールだった。それまではしないと。
「……い、いきなりや………」
最初は驚いたのに、最後には離れるのが惜しくすら感じた自分に恥ずかしくて真っ赤な顔をするはやて。 それを見て、また笑顔なユーノ。彼女のそんなあどけない顔が何よりユーノは好きだった。
「ふふ、でも顔は嫌がってなかったし……ねえ?」
「……せやけど、恥ずかしいもんは恥ずかしい」
微妙なお年頃なのだ。いつもは凛として働く彼女が唯一こうなってしまうのはユーノの前だけだったから。 それは、画しているもののユーノも同じで。彼女だからできるし、彼女だから自分は心から愛せる。 彼の前だから、彼女の前だから。 「はやて。それでお礼はよかった?」 「それは……」 「それは……?」 そう、それは。 ユーノだけじゃない。はやてだって、目の前の彼を誰よりも…… そして、同時にユーノも、目の前の彼女を誰よりも…… 「当たり前や!私がこの世で一番好きなの、ユーノだけやもん♪」 「僕だって、この世界で一番すきなのははやてだよ」 ―――――――――― そして、そんな時間を過ぎれば、また二人は単なる二人。 六課がある間は隠しておかないといけなかった。 六課設立にユーノが密接にかかわった以上、はやてとユーノの関係が今ばれることは局としても 自分たちとしても好ましくなかったから。 「じゃ、気をつけてねはやて。ああ、六課の方に渡しておきたい資料はこれで……」 「おい、ユーノ。多すぎないのかぁ、その書類?」 後ろには無限書庫でユーノの手伝いをしているアルフが。 はやてに渡した書類はそれなりに厚い。 「いつも来るとこんなやからなぁ、ユーノ『君』は?」 まだ、普通に呼び捨てでは呼べない仲。 ふと、アルフは気づく。はやての首にかかっているネックレスに。 雰囲気の微妙な違いにも。 (まあ、司書たち全員知ってるし……大半はトトカルチョに失敗して泣いてたけど) それでも言わないのが優しさっていうものだろう、とアルフは気づかないままを装っておく。 まあ、二人が何しようと、個人の自由。 つまりはそういうことだ。 ……まあ、たまにはフェイトのところに帰って話すのもいいかもしれないけど、なんて邪なことを思うアルフ。 「それじゃあね、はやて、また」 「それじゃ、またな、ユーノ『君』」 さてさて、六課解散の日が楽しみだ、と思う人はいったい何人なのやら。 あとがき 私は何を書いているんでしょう(ぁ なんか、果てしなく遠いどこかにきてしまった気分です ちなみにこれもスランプですね、でも公開したのは短編で後日談だからです。ごめんなさい。 というか、はやてがユーノのことを呼び捨てで呼んでみるってアリじゃね?と思っただけですごめんなさい。 ちょっぴりシリアスな二人の話が、これじゃ惚気(のろけ)じゃないか、これじゃあ……これから精進しますw スランプすぎて、むしろ公開が数日限定ですがごめんなさい(汗 18日か19日までは公開します。一応w では感想返事~ >はじめまして、ポコ丸と申します。 >はやユーすっごい面白かったです!ユーノの相手ってなのはが多いですが、はやてが相手だと普段見れな>いユーノが見れて、とても新鮮でした。そしてユーノにだけ弱い部分を見せるはやてが可愛かったです。 ポコ丸さん始めましてー^^ ありがとうございます。あれもスランプが微妙にありまして、上手くいっていない感じなのですが、それでも楽しんでいただけて嬉しいです。ユーノとはやての関係を作ると難しいんですよね。本編では一度もしゃべらない関係ですからw
セブンウィンズさんこんにちわー^^ ちなみに婚約指輪というか、ネックレスです。まあ、事実上の婚約ネックレスみたいなものですが(ぁ 二人って上で書いたとおりに関係まったくといっていいレベルでないので、そこら辺は大変ですよね。後日談は完全に惚気ですが、呼んでいただければ幸いです。 >毎回思うけどグリさんの表現能力はすごいなぁ・・と。 >グリさんの小説を読んでるといそがしいときでも絵を描きたくなるかこま(ry >私は全然スランプには感じないけど、がんばってー 白ぅ神さんこんばんわー?(ぁ いえいえ、上手くいかないの連続ですよ~^^ スランプといっても、ユノなのが書けないっていうだけですし。まあ、電波が悪いんだよ、きっとw >本当にありがとうございます。 >いや、ユノはや にちょっと飢えていたもので、こういうの読みたかったんです。 >不安になってるはやてさんがツボでした。 >ユーノの作った笑顔に気付くまでとか、その本物笑顔を取り戻すまで何々をしたとか、二人付き合いをクロノが手助けしようと思うまでに色々とあったとか。 >想像の翼を広げられそうな話ですね。 >きっと某空曹長がいち早くネックレスに気付くんだろうなあ。 >今回の話とかのクロノ見てると、良い「クロノとユーノ」とか書いてくれそうだなとか思ってしまいます。 >いや、勿論友達的な意味でですよw >リクエストに関しては、僕は第一版も読んでみたいです。 >でも、それがグリフォンさんの信念に反するのなら、その意向に従いますよw >まあ、グリフォンさん次第と云う事で。 >スランプとの事ですが、口惜しくも僕には「頑張って下さい」としか言えません。 >貴方のSSをのんびりとお待ちしてます。 hikoukiさんこんにちわー?(時間的な意味で 空曹長さんは出てこない後日談でごめんなさい。でも、今書いてるこの話の昔の方の話では出るので勘弁w クロノとユーノはぼちぼち『ユノフェイ』のお題SSで書こうかなぁ…と。 兄さんですからね、フェイトの。もし結ばれればクロノをお兄さんと呼ばないといけないわけで。 これは恭也と忍が結ばれたから、なのはとすずかで、どっちかがお姉さん呼ばないといけないのと同じですかね(ぇ とにかく、クロノ君で一発書きたいと思いつつシナリオでは出てこない彼とw また、読んでくれている皆様方にもお礼をここで言わせて貰います。10万ヒットしてますしw 10万ヒットは上のとおりに恋人になる前のはやてとユーノ、かもし今のユノなのが書けない症候群を脱せれば、ユノなのの短編のどっちかになるかと思いますー^^ それではー^^