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2008 07,22 00:08 |
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題名そのまんま。 なんていうか、シリアス度全開で1週間以上かけて書いていたSSが吹き飛んでしまった衝撃で書いてしまった。後悔はしていない(ぇ ギャグは勢いでかけるけど、シリアスは時間が欲しいのに、PCがいきなり電源消えるとかね 一瞬、何が起こったのかさっぱり分からなかったよ。 ノートPCだから、停電でも問題ないはずなのに電源ランプが止まっていて、もう苛立ちがMAXになったけど 夜中だけにもう寝るしかなかったというね(ぁ まあ、気にせず本編どうぞ。 世の中、悪巧みというのは古今東西、暗い部屋に集まってヒソヒソと話しているのがイメージであり まあ、いわゆるステレオタイプ(固定概念)である。 それは間違ってはいないのかもしれないが、ハイテク技術が支配する今の時代 そうそうわざわざ情報漏洩を恐れて、暗い部屋でヒソヒソするようなことは実際のところあまりなかった。 ――時空管理局特定遺失物管理部 機動六課 そこの部隊長室では、一連の書類に目を通す部隊長がいた。 ……何の書類か、はあえて言うべきではないのだろう、きっと。 「ふむふむ……電荷アルゴナイトの準備も出来た。時間の調整も変身魔法の一日使用許可も出た……」 はやてが読んでいた書類にはこと細かく、そんなことが書かれていた。 書いているのは下の方に「八神シャマル」と書かれていた。なんとなく、何かを企んでいる人達がいけないことを考えていることがありありと浮かぶ話である。 電荷アルゴナイトと言うのは、魔法を利用した物質透過型光化学迷彩(モノを透過、つまりはすり抜ける)に必要な第2級管理指定物質である。管理は局の許可によって、少量(効果一日未満)とされるものだったりする。 悪用すれば…… といっても、物質を透過してしまうのでせいぜい、覗き見ぐらいにしか使えないものだったりするが。 書類を読み終えるに連れて怪しげな笑みを浮かべる六課部隊長こと八神はやて二等陸佐。 中佐と言うと、大昔は軍人の貴族(大佐)を支えるための補佐役として平民出身者がなった地位というが 彼女の怪しい笑みはむしろ、単なる企みが好きな悪っぽい人である。 「これで準備は完了。ぐふふ……監視カメラ、自動偵察衛星、それに光学迷彩の小型追尾カメラも用意完了や。後は……これはいける!そ、想像しただけで鼻血が!?!?」 いけないいけないと、手元とティッシュで鼻を抑える悪巧みの首領。 悪特有の怪しい感じというよりも、それは変態のそれに近い気が……しないでもない。 「はやてちゃん……どうみてもどこかにいる変態さんですよ、それ」 「リ、リイン。それは違うで。変態の言う名の紳士なんや。 いや、紳士っていう人自身が変態なんやろなぁ」 イギリス人は、自らを紳士というが、あの国は建国以来、突飛なことを時折行う。 ちなみに隣人である(同じアングロサクソン国家でもある)ドイツ人は、製品製造に限って騎士的に変態なのは言うまでも無い。 もっとも、そんなことを言うと、彼女の養育費を出していたあしながおじさん、もといグレアム元提督辺りが 聞いたら衝撃を受けること間違いなしであろう。 しかし、はやての言葉をそのまま鵜呑みにすると、まったく自分が変態であることは否定していない。 むしろ、肯定しているかのような話口調である。 「いえ、それは何か違うんじゃ……」 「何を言っているんや。紳士なんていう存在が本当に紳士だった試しがあらへんで。 クロノ君のエロノ君を見てみぃ? エリオのエロオも同じやで?」 まあ、確かにクロノ・ハラオウンというのはイギリス風な名前ではあるが、それだけで変態紳士扱いされてはたまらないだろうに。エリオに至っては、名前のモンディアルはイタリアの車の名前と同じだ。なお、イタリア人は女性に関しては煩いことで有名である。 リインも、どういう理屈ですか、と問いかけたくなったが、かつてクロノ執務官は妹を見て顔を赤く染めたとか、どうみても怪しいという話が上がっていたことをはやてから聞いていただけに否定もできない。 きっと、クロノが当初、フェイトのことをどう見ていたかの事実は往々として明かされないだろう。 と、それはどうでもいいわけではないとしても。 「はやてちゃん、理屈になってないです、それ というか、はやてちゃんが今からやろうとしていることの方がよっぽどエロエロです」 「リイン、人間は時には超えなきゃいけない一線っちゅうのがあってやなぁ」 「いや、それゼッタイに超えちゃいけない一線ですよ」 突っ込みはいれたものの、まったく彼女の主は聞いてなかった。 というか、超えなきゃいけない一線とはどういう線であろうか、未婚歴とか彼女いない歴とかそういうのだろうか。 とにかく、今ここで言っているのはそういうものじゃないのは疑いようの無い事実だった。 ぐふふ、と笑みを浮かべて関係各所に連絡を入れ始めるはやて部隊長。 それを見て、不安げにリインが一言。 「は、はやてちゃんが壊れたです……」 もっともリインの言葉も、はやての「今日は眠れへんでぇ……ぐふふ」という言葉にかき消されるように小さく言っただけに伴い、もはやこの変態紳士、もとい変態淑女を止めることは誰もできなくなったのであった。 ―――――――――― その日、睡眠に入った時点でユーノ・スクライア無限書庫司書長には心残りなどはほとんどなかったはずだ。 あえて言えば、無限書庫を管轄していたミッドチルダ政府の国務長官が辞意を表明したとかで一大事件になっていたことだが、無限書庫を管轄していても主には管理局の行政管理部なので影響が出るのはまだまだ後の話だった。 なので、仕事が終わって自室に入ってゆっくりと食事にシャワーを浴びてベッドに入った時点では何も問題が無かったはずだ。 なぜ、過去形で語らざるえないのは別の理由があるわけだが。 ゆっくりと睡眠を満喫しているユーノだったが、それも朝の到来によって終焉を迎えた。 と言っても、現在時刻6時20分。無限書庫の開始は8時30分なので、だいぶ早い朝である。 彼自身の美学というわけでもないが、朝食には煩い。 食事は栄養がしっかり取れなければ意味が無い、という完璧主義にも似た食事への気の使いようは まあそれがなければ、それなりの激務でよくもまあ肌も荒れず体調もしっかりとしていられるというべきだろう。逆に言うなら、食事のおかげで仕事をしっかりとこなしているのがユーノ・スクライアという青年のポイントの一つに上げられるのかもしれない。 ついでに言うと、ユーノが料理をするようになった原因は高町家の食事を見て、なのだが その高町なのはは、仕事が本格化するに連れて料理はおろそかになっていたりする。 同様にフェイトもはやても。美という形容をつけてもよいであろう女性三人は、料理に関しては離れた存在なわけだ。 と、ピピピとなる時計を手元に持ってきて止める。 自分の部屋にこんな時計があったっけ?と疑問詞をつけて困惑するが、もともと寝ぼけているのか、あるいは忘れているかだけだろうと片付けるとベッドから立って洗面台の方へ向かう。 やっぱり寝ぼけているのか、やけにユーノには違和感が感じた。 長い髪がいつもより多くて、さらにしっかりと伸びている印象がしたのだ。まるで自分の髪じゃないかのように。 まさか、そんなことあるはずないよ、とそんなバカげた考えを振り解いて洗面台で鏡でも見ればいいだけのことさと少し急ぎ足にする。 もっとも、すぐに急ぐんじゃなかった、もうちょっと心の準備が……と後悔することになる。 「……はぁ?……は、はいぃ!?」 鏡というのは、非常に光反射率の高い物質で作られた反射板である。 ミッドチルダでなら反射率100%以上にできないこともないが、それだとまぶしすぎるのでだいたいそれ以下で抑えられるわけだが。 ユーノが鏡で見たのは、とりあえず『自分』じゃなかった。 その姿も、容姿も、顔も。 すらっとした体系美に、長くてかつ質感も良い金色の髪。特徴ある雰囲気をかもし出す表情に・・・・・・ 「ど、どういう……声までなのね……」 声も、明らかにユーノ・スクライアと呼ばれる男性の声じゃなかった。 まあそりゃ自分の声だって女性に近いけど、と現実逃避のようなことを考えながら……認めたく無い事実だがといっても口に出さないわけにはいかなかった。 「って、なんで僕がフェイトになってるのさ!?」 さっきの表現を総合すれば、そこにいる人物はまず間違えようもなく…… フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官だった。 慌てるな、慌てるな、素数を数えろととりあえず落ち着こうとしているユーノ、もといフェイト(ユーノ)。 そんなわけで慌ててさっぱり状況を飲めないところにひょろっと……狸さんが目の前に出てきた。 「まあまあまあ、とりあえずは落ち着くんや。ユーノ君」 「は、はやて……?っていうか、僕がユーノだって分かるの?」 「えっ?ああ、まあ色々と深い理由があってなぁ。 ちなみに、ここはフェイトちゃんが一人で仕事をするときにつかっとる執務室の仮眠室やから」 『コンピュータ、照明をランク4で』とはやてが命令を出すと、今まで朝とはいえ暗かった部屋に電気がつき確かにユーノに自分の自室ではないことを自覚させてくれた。 何の時計だ、と思っていたのは「9分の1 お目覚めユーノ君」という目覚まし時計だったようだ。 「って、なに、あの時計」 「私が数年前にフェイトちゃんにプレゼントしたやつやね。律儀に今でも使っていたんかぁ」 勝手に人をモデルに時計を作っていたのね、とフェイト(ユーノ)は強い目付きで睨んだが あいにく、ユーノじゃなくて実際に睨んでいるのはフェイトなので、あまり圧迫感がなかった。 「まあ、色々と理由があるんよ、ユーノ君が今の姿なのは。 ああ、ついでに言うと本局のユーノ君の部屋には、ユーノ君の姿のフェイトちゃんがおるで?」 「やっぱり、そういうことになるんだ・・・・・・あはは・・・・・・・」 笑い事ではまったくない。しかし、笑うしか無いじゃないか、とユーノは自分にツッコミを入れる。 「というのも、私が昨日ちょっと魔法をミスってなぁ……」 「って、やっぱりはやてのせいなんだね!はやてが変なことしたんだね! というか、僕とフェイトを今すぐに戻してよ!」 別にフェイトでいることにユーノは生理的に受け付けないわけでは無い(性別的にはさすがに受け付けない)。 一応、親友と言えるぐらいには仲があるんじゃないかなー、最低でも友達だとは思っても大丈夫だぞ、というぐらいの関係の彼女の体を険悪するわけではないが、さすがにこれは困る。あらゆる意味で。 主に目のやり場がない。困ったことに。 「でも、フェイトちゃんやでぇ?しらへんおっさんとか、露出度の多い知らない女性やない分マシやと思ってほしいもんやねぇ」 一方の狸さんは、自分のせいの癖にだいぶ偉そうで慌てた様子もなかった。 胆が備わっているというよりも、楽しんでいると言った感じである。 「さっき、フェイトちゃんの方には、って見た目はユーノ君か。には会って話はしてあるんやから」 「は、話ってどんな……?ま、まさか戻れないってことはないよね?」 もし戻れなかったら、これから自分はフェイト・テスタロッサ・ハラオウンとして過ごせってことだろうか、と絶望にも似た感情がユーノの心の中を吹き荒れる。それだけはゼッタイにいやだった。 主に女性として過ごすことが。 「いやいや、直すだけなら魔法の効果は今日いっぱいやから、それほど心配しなくてもええんよ」 「ほ、ほんと!?」 「まあ、変わりに今日一日はフェイトちゃんとして過ごしてもらわへんと困るんやけど」 「あっ……そ、そんなことできるわけないでしょ!」 「といっても、フェイトちゃんはもう納得しておるしなぁ?」 「……マジ?」 フェイトの姿、しかも今はネグリジェ……目が当てられないわけである……で「マジ?」という光景はあんまり見られない。はやて本人もおおっ、と声を上げる始末。というか、感心して欲しくないユーノだった。 とそんな中、突然一つのウインドウが開き、ユーノ(フェイト)が出てきた。 こっちもこっちで、相当困惑に怒りをミックスしたような表情であることは言うまでも無い。 『ちょっと、ユーノいる!?ってやっと出た!』 「……こうやってみて、始めて僕達入れ替わっちゃったんだなぁ……って思うよ」 「何か、感心するようなことがあったとは思えへんやけど」 何かを悟ったかのように落ち着いた様子で、部屋内コンピュータにコーヒーを要求しておくフェイト(ユーノ) ほど時間を待たず出てきたコーヒーを一口。砂糖は無糖。これが彼の基本だった。 『……というわけで、はやての話が本当なら明日までは元に戻れないのは間違いない……と思う』 あっちもあっちできっとどれだけ混乱したのかが察せるようなだいぶ暗い雰囲気をかもし出しているユーノ(フェイト)。まあ、朝起きたら男の人になっていたのだ。 と、ユーノは女の人になっていて、そっちの方が問題なのに他人の方を心配してしまう辺り、底無しの思いやりというべきなのだろうが。 「だからいっとるやろ、この分の謝礼は後でしっかり払うさかい。 今日は互いにたがいになりきって仕事をしてくれればええと」 と、この問題の張本人は未だにあっけらかんとしていた。 一応、責任は感じているようだが、それよりも他の仕事も詰まっているらしく、時間を気にしていた。 「なぁ!この分は後でしっかりと私からなんでもするから、今日のところは仕事してくれへんと 私の監督問題や、六課の運用にも色々と上が煩いんやよ」 そこまで言われるとユーノ(フェイト)もフェイト(ユーノ)も文句は言えない。 はやてにとって、六課設立は悲願であり、それをはやて自身のせいとはいえ、自分が休んだことであれこれ言われるのはさすがに悪いと感じただけに。 『わ、わかったけど……ユーノの姿で、無限書庫の司書長さんを私がやるの?』 「フェイト、一応言っておくと今日は本の探索業務はないけど、午前中は書類の決裁。午後には上の方との会議が一つ入っているから」 『あ、そうなんだ……後で日程をちゃんと確認しないと、大変だよね?』 というよりも、大変というレベルジャネーゾ、とレベル男なら言うこと必見の過密スケジュールである。 もっとも、ユーノやフェイトといっている本人がその人なので、傍から見ていると…… 「あーだめや、頭が混乱してくるわ」 フェイトがユーノと話しているように見えるのにフェイトが普通にユーノに向かって「フェイト」と話しかけて、それを当然のようにユーノがフェイトに「ユーノ」と言っている。ああ、ややこしいというのはこういうことを言うのか、ということを理解させるのには十分過ぎる光景だ。 「とりあえず、ちゃんと姿どおりになりきって仕事してほしいわぁ……」 一応、部隊長としての建前があるので無茶はしてほしくない。 それだけははやての思いだった。まあ、それ以外は思いっきり楽しんでいるのが狸たる所以ではあるが。 ―――――――――― さて、通信も終わり、時間も8時。 無限書庫の司書長室で通信をずっとしていたユーノ(フェイト)だったが、さすがに時間が経つに連れて無限書庫に入ってくる人が増え始めていた。 正直、フェイトはユーノになりきる自信がない。それはユーノがフェイトになりきるに比べれば十分ラクなのだが、こっちにはサポートしてくれるであろうはやてがいない。 その分、一人と言うのは精神的にも厳しいものだ。 「ユーノ司書長、第七課より書類です。無限書庫へ依頼していた書類はまだか、というものですが」 「えっと、そ、それならクリア司書に一任してあったはずです」 「司書長!管理局機動三課ですが、依頼してあった書類が送られてきてないのだが!」 「それは、えっと……管理局の中央データベースを保安レベル10の権限を持つ人が調査してくれれば分かるはずです。部隊長にデータを引き出すように指示を出してください。レベル10以下の人に明かすことはできませんので、ここは一度戻っていただくしかありません。ここまで足を運んでいただいてすみません」 「い、いえ……こちらこそ」 「スクライア司書長!あんたに頼んでいた書類がまだこないんだが、どうなっているんだよ!」 「本当にごめんなさい。まだ、司書さんたちが全力で探していて、私からも言っておきますから 今日のところはお引取りください。本当にすみません」 「えっと、あーー。分かりました」 フェイトは一つ一つ要求が来て、それを一つ一つ丁寧に対応していた。 対応だけでなく、その姿勢まで丁寧(ユーノも丁寧だが)なので、押しかけてきた人も頭を下げてしまう始末だった。何より、どことなくユーノは今までも女性っぽいと言われたのが、性格までそれに近い(そりゃ、仲間はフェイトなので当たり前なのだが)となると、司書たちまで困惑してしまう。 もちろん、そんなことは表面上おくにも出して無いで、仕事をしていt…… 「おいおい、なんか司書長に色気が増しているような気が」 「ああ、さっきの機動三課の毎回偉そうに言って行くホルトシュタイン3尉が顔真っ赤にして戻ってったぞ」 「マジかよ、あいつも男だろ?」 「いや、あの司書長になら俺も惚れる!」 「というか、萌え燃えっす!」 「朝、「今日もがんばりましょー司書ちょー」と挨拶したら『あ、はい!がんばりましょうね!』なんて返されて、俺はもう今日死んでも良いと思ったね!」 「もーう!今まで以上に私、ユーノ司書長にほれちゃうわー」 ……訂正、司書たちは男女関係無く、この話でもちきりだった。 唯一ユーノ(フェイト)にとって幸運なことに、そして本来のユーノにとっては不幸なことに、仕事をしているユーノ(フェイト)自身は、そんな噂が立っているとも知らずに仕事をしていたことであろうか。 「司書長!ハラオウン提督から、直接書類請求に来ましたが、通しちゃっていいですか!?」 「えっ、に……クロノ・ハラオウン提督からですか?」 「いや、それ以外にはうちに資料請求してくるハラオウン提督はいないですけど……やけに他人行儀な言い方っすね、司書長」 大丈夫かな、と心配そうな目でユーノ(フェイト)を見る司書A(名前無し)。 しまった、と冷や汗が出てくる。 ばれたら変態確定みたいなものだ。なんせ、自分は女性で、この体は男性なのだから。 「い、いや。もし、リンディか……総務官だったら困るかなと思いまして」 「ああ、なるほど。で、とりあえず入れて良いですか?」 どうするべきか、とユーノ(フェイト)は悩んだ。なんせ相手は兄である。 あの兄にばれたら最後、何があるか分からない。本当のユーノの方が後で殴り殺されるぐらいは安易に想像出来た。兄としては優しい兄さんなのだが、ことシスコンとはやてが賞するほど、そっちはダメらしい、とはやてにこれまた聞いていたからだ。 しかし、ここで入れないと、それは後になって 「ユーノ、お前、昨日人を拒否しただろ!」と本当のユーノに言うことは見えていた。 どうするべきか、と色々と葛藤を繰り広げた挙句。 「わ、分かりました。通してください」 そういうしかないのだ。彼女には。 ―――――――――― フェイトからすれば、はやてがいる分、ユーノの方がマシに思えたのかもしれない。 が、しかし現実と言うのはそれほど甘くない。 「うん。やっぱり、ユーノ君に中身が入れ替わっても胸の弾力もサイズもかわらへんかぁ……」 「って、何をしてるのさ、はやて!」 「なにって、朝の胸サイズチェック。毎日しているんやで?」 「……本当?」 「あー、本当や本当」 そんなことあるわけがない。 朝の六課食堂では、ちゃんとしたコーヒーに自分で作った朝食を食べているフェイト(ユーノ)と後ろで胸を触って楽しんでいる八神はやて部隊長がいた。 結局、日課だからと料理を作ったが、はやてに急かされて食堂で食べることになった。 一応、カフェテラスも兼ねる食堂なので、明るくこっちの方が気分は優れるが、逆に自分はフェイトに見えるだろうかと心配ばかり心身に負担を与えていた。 「……ねえ、はやて。なんで日課なら、周りの人が変なものを見たような表情でこっちを見てくるのさ」 「……ちっ、ばれたか」 「ちょっと、ばれたかってどういうことだ……なのよ」 「うーん。フェイトちゃんらしいようならしくないような感じやね」 うるさい、と一喝だけして朝食を続けるフェイト(ユーノ)。 できる限り、今日は問題ごとからはおさらばしたいところなのだ。 一応、執務官で捜査官という仕事の関係上、一日中自分のオフィスで仕事してもおかしくは無い。 貴重な一日なのかもしれないが、生憎彼にとっては生死を決める一日なので、できるだけほかの人との接触はさけたかった。JS事件が終わっていても、フェイト(ユーノ)には毎日仕事はちゃんと来る。 それの三分の一ぐらいは本来はやてが処理するべき仕事だったりもするが。 しかし、それは無理というものであった。 ここは食堂で、これから人が集まるわけで。人と会わないなんて限界があった。 「あー、おはようございます、フェイト執務官、八神部隊長」 「もう、スバルもうちょっとしゃきっとしなさい! フェイト隊長に八神部隊長おはようございます」 「えっ……えっと、うん、おはようだね」 一応、ここに来る前に六課の全員の顔と名前、特に前線メンバーとバックヤードスタッフの名前から性格まである程度覚えたつもりのフェイト(ユーノ)だったが、いきなりのことで困惑していた。 えっと…・・・と記憶を引き出して、思い出す。 と、スバルは寝ぼけているのか、まだほわわんとしたまぶたできっと食堂の方で作っていたのであろう朝食を山盛りにしてフェイトとはやての座っていたテーブルの近くのイスに座る。 それを横でサポートしながら、しっかり自分の分を運んでいるティアナ。なかなかにペアな二人だ。 フェイト(ユーノ)も、それを見ていて凄い、と正直に思うほどに。 しかし、会話が出ない。一応、隣と言ってもいいぐらい近くにいるのに無言は厳しい。 ここは喋った方がいいじゃ、と思う。だんまりがフェイト(ユーノ)は苦手なのだ。無限書庫はあれでアットホームな環境なので、喋ることはよくある。というか、喋るなと言っても喋るのが無限書庫司書陣だった。 そんな環境にいたので、やっぱり喋った方がいいよね、と内心「フェイトだ、自分はフェイトなんだ……」と呪文のように呟くとティアナの方を向いた。 「えっと、ティアナ?」 「あ、はい。フェイト隊長、どうかしました?」 いきなり声をかけられたティアナとしては、むしろびっくりであった。 フェイトは、常として仕事が多いので一緒に食事することが稀なのだ。それだけにこうやって食事をする機会がないだけにどういう話題を振ればいいのか困っていた。 目の前のバカ、もといスバルはまだ寝ぼけているらしく、本調子ならこの空気をどうにかしてくれるのに、まったく仕えないわね、と失礼なことを考えていた矢先だったわけだ。 「いえ、そのちょっとスバルとパートナーだと大変だろうなぁ、と思ったから」 「ああ、大丈夫です。こんな奴ですけど、もう数年来のパートナーですから」 訓練用の学校時代を入れれば、もう長いパートナー生活である。それを思い出せば、今はだいぶマシな方なのだ。最初の頃の大変さとくれば、聞くも涙語るも涙だ、とティアナは自信を持って言えるほどに。 「なにを言っておるんや、フェイトちゃんはなのはちゃんとパートナーやろーがー」 「は、はやて……」 予想外のところから声が飛んできた、と思ってフェイト(ユーノ)が向きを変えるとそこにはみごと復活したはやてがイスに座っていた。どうせなら復活しないで欲しいところだ。というか、ネタを振るな、と念話もせず、無言の目線で訴える。 目線で気づいた様子のはやてだったが、むしろ楽しそうに口笛をひき始める始末。嫌な上司である。 「そういえば、なのはさんとパートナーで困ったことってあるんですか?なんだか、完全無欠って感じですけど」 「そうだよねー。だってなのはさん凄いもん」 「あんたは黙ってなさい、話が進まないから」 「もうー、ティアのいけずぅー」 ティアナとスバルのいつものツッコミ(はやて談)を眺めつつ、いったい自分はなんて言えばいいのか悩むフェイト(ユーノ)。というか、フェイトとなのはのパートナーとしての話など知るわけが無い。 ユーノがそんな話を知っていたら、変態扱いだろう……いや、そもそも今の時点で世間一般的には変態と言われてもおかしくないが。 女性の体で、女性になりきって会話をしている。どうみても変態だった。 「で、どうなんの?フェイトちゃん?」 「そ、そうだね……何か目標を見つけると、そこに到着するまで決して進むことをやめないこと……かな?」 むしろ、それはユーノとしてなのはを心配する要因だったりする。 それでも、ちゃんとフェイトと話した時に二人の共通意見として出たのがそれだったりする。 それを聞いて横にいたはやてはつまらなさそうな顔をする。悪かったね、つまらなくてとユーノが心の中で突っ込むのとほぼ同時にティアナとスバルはなるほど納得な表情をする。 「なのはさんって、確かにそういうことあるわね。私達が見てもヴィヴィオの前では」 「あー、それあるかもだね、ティア」 「で、でしょ?あはは……」 苦笑いだけが寂しくこだまする。ヴィヴィオは無限書庫にも偶に来るのだ。それを溺愛しているなのはも。 それを思い出せば、ここでもどうなっているのか想像がつくものである。 「でも、それはフェイトさんもな気が。特にヴィヴィオにはフェイトさんの方が甘いと私は思いますよ?」 「あ、あはは、そ、そうかな?」 ええ、とティアナだけでなくある程度頭が回転し始めて目を覚まし始めたスバルも頭を上下に振る。 フェイト(ユーノ)は、別にそんなことはないだけに、そう言われても対応が困る。あはは、と笑うフェイト(ユーノ)の顔にも余裕があまり見られなかったりするのは、そういうことなのだろう。 しかし、神様というのはあんまり優しくないらしい。増援追加、である。 「あ、フェイトさんおはようございます!」 「おはようございます、フェイトさん、皆さん。ほら、フリードも挨拶して?」 「くるーくっくるー!」 どうやら、桃色の髪の少女……キャロ・ル・ルシエの頭の上に乗っかっている竜は「おはようございます!」と言っているようだった。もちろん、誰にも(キャロと当のフリードを除いて)分からないが。 ちなみに、彼女のもう一つの竜であるヴォルテールは地球において、哲学者に同名の人がいて、その人は金儲けの天才の異名を持っていたりする。何でも、宝くじを全部買い占めると利益の方が多くなるというとんでもない間違いを見つけて、出来るかぎりの金を集めて買い占めたらしい。まるで、今横にいる悪魔のようだ、とフェイト(ユーノ)は思わずにはいられない。自分の責任の癖にどうみても今の状況を楽しんでいた。 と、キャロと一緒に来ていたエリオは、フェイトの隣のイスとその隣のイスに座った。もう片方の隣ははやてがいるのでそうしたのだろう。ますます困るのは言うまでも無いが。 「あれ、フェイトさんのだけ朝食違います、よね?」 「あ、ほんとだ。エリオ君の言う通り違うね」 フェイト(ユーノ)が食べていた朝食は、どちらかというと和風なご飯とお味噌汁にサラダと卵を使ったスクランブルエッグ。栄養は確かに理想的な朝食に近い。彼、実は栄養学も学んでいるのかもしれない。 いかにユーノが料理に関しては気を払っているのが分かる内容なのだが、エリオもキャロも洋食なパンメインの朝食らしく……どうやら、今日の食堂は洋食メインらしい。 「えっとね、今日はぼk……ゴホン。私が作ったんだよ、キャロ、エリオ」 一瞬、つい僕を言い掛けて何とか飲み込む。隣では、はやてが笑みをこぼさぬように全力で我慢していた。 だから、はやてが一番迷惑だよ、と念話でツッコミをいれるのも忘れない。正直、はやてはいるだけ邪魔だった。 一方のキャロとエリオ、さらにはその後ろにいたスバルとティアナは驚きの目線で料理とフェイトを眺めていた。 料理に驚かれても……と、フェイトって料理できない方だっけ?といまさらながら考えてしまう。 と、ポツリとエリオが声に出した。 「フェイトさんが、朝食料理するなんて珍しいです、よね?」 「いつも料理の話だと恥ずかしそうにしないのに、どうかしたんですかフェイトさん?」 キャロも続けて不思議そうにフェイトの方を向いて尋ねる。 さすがのフェイト(ユーノ)も、予想外だった。フェイトが恥ずかしい? 時々「料理を作って見たんだけど」とユーノに試食を頼みに来ていたぐらいなので、そういわれてもユーノ自身はあんまり実感がわかなかった。 「まあ、フェイトちゃんってなのはちゃんや私よりは料理下手やからなぁ。いつもは恥ずかしがってつくらへんやん?私やなのはちゃんよりヘタだから、って言って」 あ、なるほどと納得するフェイト(ユーノ) もちろん、表面上はまったくそんな素振りは見せないが。 始めてはやてが役にたったよ、と……以外とユーノは元からはやてはあまり当てにならないと思っていたらしい。 しかし、はやてがさっきからずっとおかしくて楽しそうな顔ばかりしているのにフェイト(ユーノ)は気に入らなかった。お前のせいだろうと……と、ちょうど良い物をフェイト(ユーノ)は見つけると、手元へと取り出した。転送魔法で。 「はい、はやて?」 「うん、なんやフェイ……いたっ! な、なんやそのハリセンは!?」 「とりあえず、うるさいんだもの?恥ずかしいんだから、そういうことはいわないの!」 「ちっ……マネもたのしんどるやないかい……」 「何か言ったはやて?」 「いや、何もいっとらへんわ」 手元に取ったハリセンではやてを2、3度叩いて見る。以外と気持ち良い。彼女の定位置なのかもしれない。 もちろん、周りにいた前線メンバーは呆然だったが。 「え、えっと。その作って見たくなってね、朝食ぐらいなら上手く行くかななんて持ってその……」 完全にフェイトになりきって言って見るユーノ。事情を知っているはやてからすれば、涙ものだが、今涙流してもハリセンに叩かれて悲しい以上に見えないのが残念だった。 ちなみにフェイト(ユーノ)は心の中で泣いていた。号泣だった。 と、隣に座っていたキャロが気になるようにその料理を指しながら話しかけてくる。 「あのー、フェイトさん?」 「な、なにかなキャロ?」 「その料理、一口いただけますか?」 「べ、別にいいけど……あんまり美味しいか自信はないよ?」 というか、ユーノの料理はユーノ以外食べたことが無かった。 彼自身、誰かに料理を作るようなことは過去一度も無かった。大半が料理は誰かが作ってくるのが常だった。 あのはやてですら、ユーノに料理を作ってくるぐらいなのだから。 フェイト(ユーノ)は困惑の後にいいよ、と言うとキャロは一口、お味噌汁とスクランブルエッグを口にする。 「……美味しいですよ、フェイトさん!とっても!」 「そ、そうかな?ありがとうね、キャロ」 「はい!」 息が止まるかのようだった。 フェイトを知る人達の中でフェイトを演じることの難しさは生半端なことじゃないのだ。 それでも、フェイト(ユーノ)をフェイトと信じているみんなと一緒に食事を何とかクリアする。 とにかく……これはゼッタイに大変な一日になる、とフェイト(ユーノ)は実感した朝食であった。 まあ、土台ユーノがフェイトになりきるのは無理があるのかもしれない。 ――フェイトとユーノが元に戻るまで、後約20時間 続く♪(ぁ ―――――― 後書き まあ、実はこれ書いているときに、さらに二度ぐらい突然PCの電源が切れた。PCを壊してやりたい(ぁ おかげさまで後半はぐだぐだですが、そこは22日中に直して23日にしっかり上げたいです。 しかし、書いて見てから「なのはと変えた方が良かった」と思ったり。 フェイトとユーノって、あんまり違わないしさぁw 変化をつけるのに体力と言うか時間をかけてしまったw そして、久しぶりという理由でまったく話に流れが無いw なお、フェイト(ユーノ)がネグリジェからどう着替えたかは次回ってことでよろしく(ぁ とにかく、久しぶりすぎてすべてが劣化しました。あーあ、シリアス系は最初に言った通りに書くと消えるジンクスでまったく書く気が起きない(ユノなのの中編SSも同様に消えたw) どーすればええんやぁぁ!? ああ、次回は某協会のお姉さまがちょっぴり登場します(ぁ ちなみに実はこれ、三人称で始めてしっかり書いたSSだと思いますw 他は大半が一人称だったかと思うんですよね。短編に限って言えばまず一人称のはずなので、私らしくないSSですw どんな感じに思えたか言っていただけると光栄ですw PR |
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お初にお目にかかります、夜魔斗っていいます。
まず、最初になにこのおもしろいSS すんごい続きか気になります! 自分はユノフェ好きなので、このまま ユノフェな感じの終わり方を激しく望みますよぉ~(イカンイカン これからも、体には気をつけて頑張ってくださいまし では夜魔斗でした~ 【2008/07/2218:49】||夜魔斗#8de949bccc[ 編集する? ]
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今回の電波ネタは流石に色んな意味でヤバイのではと思いました。一日とは言え性別逆転、同姓ならまだ良いのですが性別の逆転はいろんな意味でやばいですよ。トイレとか処理とか<オイ!!処でコレを読んで気に成っていたのですが体の逆転によって本来(自分の体のでの)能力は出せないのですか?では次回STSのアザーの更新待っています<切実に!!
【2008/07/2220:13】||セブンウィンズ#2aa0513733[ 編集する? ]
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ここまでどきどきした性転換入れ替わりなお話は久しぶりです
とりあえず、主はやての結末含めてこのどきどきをどうにかする方向で都築を期待してます! |
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